松田哲夫の王様のブランチ出版情報ニュース

「王様のブランチ」本のコーナー(2008.1.26)

2008年01月26日

『戦後腹ぺこ時代のシャッター音』と「阿川弘之」


<総合ランキング>  (1/13~19 有隣堂書店全店調べ)
 1位 坂東真理子『女性の品格』(PHP研究所)
 2位 坂東真理子『親の品格』(PHP研究所)
 3位 大庭史榔『1分間骨盤ダイエット』(三笠書房)
 4位 勝間和代『お金は銀行に預けるな』(光文社)
 5位 田村裕『ホームレス中学生』(ワニブックス)
 6位 『広辞苑 第六版』(岩波書店)
 7位 阿川弘之『大人の見識』(新潮社)
 8位 森博嗣『タカイ×タカイ』(講談社)
 9位 勝間和代『効率が10倍アップする新・知的生産術』(ダイヤモンド社)
10位 ロンダ・バーン『ザ・シークレット』(角川書店)


<特集・阿川弘之『大人の見識』>
◎阿川弘之『大人の見識』(新潮社)



文壇の最長老、現在87歳の阿川弘之さんが「ブランチ」に初登場します。阿川さんは、「古き善き日本人」を取り戻すべく、旧制高等学校時代・海軍時代などの経験や見聞、読書や思索、人との交流などからえた叡智を満載した『大人の見識』を書きました。この本は昨年11月に発売されて以来、30万部突破の大ヒットになっています。今回は、阿川さんの横浜のお宅を訪問し、インタビューとともに、その暮らしぶりも拝見しました。また、娘の阿川佐和子さんにも、お父さんの横顔を「娘の見識」をもって語っていただきました。
松田 「見識」なんてついていると、上からお説教されるんじゃないかという風に思うかも知れませんが、(VTRの中で阿川さんが)おっしゃったように、長い人生の中で、いろんな人と出会って、たくさんの本を読んで、その中から得た豊かな知恵を、ユーモアも交えて、穏やかに語りかけてくれているんですね。だから、若い人たちにも、生きる上での大切なヒントみないなものを教えてくれる素晴らしい本になっていると思いますね。


<今週の松田チョイス>
◎赤瀬川原平『戦後腹ぺこ時代のシャッター音』(岩波書店)



松田 「路上観察」や「老人力」でおなじみの赤瀬川原平さんの『戦後腹ぺこ時代のシャッター音』という本です。
N 1950年代にヒットしたフォトドキュメント『岩波写真文庫』。「東京案内」「スポーツ」「芸術」など、時代の空気をとらえた1冊1テーマの写真百科です。これは、写真好きで名高い赤瀬川原平さんが、そんな『岩波写真文庫』を厳選してまとめた1冊。貧しくも夢を忘れなかったあの時代を振り返ると、懐かしさを味わえるとともに、楽しい発見が一杯です。>
松田 この『岩波写真文庫』が出されていた1950年代というのは、ちょうど「三丁目の夕日」の時代なんですね。みんな物もなくて、貧しくて腹ぺこで、だけど、未来に向かっていろんなものが光り輝いていた。そういう時代なんですね。そして、おなかも減っていたんだけども、知識や文化とか、写真とか映像とかへの飢えもすごくあったんですね。そういう人たちのニーズに応えたのが、「写真文庫」というシリーズなんです。もう一つ、写真というものが、今より大事なものだったんで、1カット1カット、シャッターチャンスを狙って撮っている写真が、すごく力があるんですね。だから、時代を超えて、いま、じっくり見ていくと……赤瀬川さんの絶妙な解説を読みながら見ていくと、いろんな発見がある楽しい本ですね。
優香 本当に活気があるというか、なんかしゃべりかけてくる感じですよね。この時代をまったく知らないんですけど、なんか懐かしいというような気持ちになれるってすごいですね。
松田 ぼくらは、さっき出てきた小学生ぐらいだったんですね。自分が行っていた教室という感じで懐かしいんですけども。
谷原 たしかに、古い写真を見ていると、自分たちの親たちの世界をかいま見られて、ちょっと温かい気持ちになったりしますよね。

「王様のブランチ」本のコーナー(2008.1.19)

2008年01月20日

『みなさん、さようなら』と「桜庭一樹」


<総合ランキング>  (1/7~13 三省堂書店全店調べ) 
 1位 坂東真理子『女性の品格』(PHP研究所)
 2位 坂東真理子『親の品格』(PHP研究所)
 3位 阿川弘之『大人の見識』(新潮社)
 4位 田村裕『ホームレス中学生』(ワニブックス)
 5位 勝間和代『お金は銀行に預けるな』(光文社)
 6位 島田裕巳『日本の10大新宗教』(幻冬舎)
 7位 勝間和代『効率が10倍アップする新・知的生産術』(ダイヤモンド社)
 8位 上野千鶴子『おひとりさまの老後』(法研)
 9位 茂木健一郎『脳を活かす勉強法』(PHP研究所)
10位 ロンダ・バーン『ザ・シークレット』(角川書店)


<特集・桜庭一樹>
◎桜庭一樹『私の男』(文藝春秋)



谷原 今週は、芥川賞・直木賞が発表されましたが。さて松田さん、見事当てましたね。
松田 はい。配当はないんですね(笑)。
谷原 配当は個人的に……(笑)。
<16日に第138回芥川賞・直木賞の選考会が行われ、芥川賞には川上未映子さん「乳と卵」、直木賞には桜庭一樹さん『私の男』が選ばれ、二人のシンデレラが誕生しました。「ブランチ」では、さっそく発表の翌日、金田美香ちゃんとぼくの二人で桜庭一樹さんをお訪ねしてインタビューしました。>
金田 桜庭さん、このたびはおめでとうございます。
松田 おめでとうございます。
桜庭 ありがとうございます。
金田 一夜明けて、改めて受賞の感想は。
桜庭 まだ実感が湧かない感じで。二回目の候補で受賞なんですけども、前回の落ちたときの方が「落ちたんだあ」ってきたんですけども……(笑)。
N 過酷な現実と闘う少女たちの物語を得意とするライトノベル作家として活躍してきた桜庭さん。ここ数年は、一般小説の世界に飛び出し、『赤朽葉家の伝説』では、前回の直木賞候補になるなど、いままさに注目の若手作家。>
金田 それでは、突然ですが、「桜庭一樹さんへの5の質問」(拍手)。まず、『私の男』を書くきっかけを教えてください。
桜庭 最初のきっかけの一つになったのが、男の子の友達の失恋話というのがあって。3、4年前に聞いたんですが、そん時はあまり深く考えなかったんですけど、その子は、女の子に振られた、そしたら、「もう、女性は信じられなくなった。他人の女性は、いま自分のことを好きでも、心変わりしたら離れていっちゃうと思ったら、怖くなっちゃった」と言っていて。「でも、お母さんとか妹とか、血の繋がりがある女性は、何か変化しても離れていくことはないから、血の繋がっている異性しか、もう信じられない」って言っていたことがあって。「どうしてしまったんだろう」って思って(笑)。後から考えてみて、それは極端な例だけど、他人では得られない一体感とか血の繋がりを大事に思う気持ちというのは、誰にでもあって、そういう意味では、血の繋がりって、家族の絆の美しさと怖さって、みんなが持っているもんだなあって思った時に、私はすごく普遍的なテーマだと思ったので……。
金田 続いて、第二問。
桜庭 クイズみたい(笑)。
金田 ヒロインの名前を「腐野花」というインパクトのある名前にした理由を教えてください。
桜庭 若いときは素敵だけども、うまく歳をとって成熟していけない人間というのが現代的なんじゃないかなと思ったので、腐っていく花束のイメージで「腐野花」って、そのままつけたんですね。
N そんな花の父が、荒んだ雰囲気を醸し出すキザな男・腐野淳悟。物語は、こんな1行から始まる。「私の男は、ぬすんだ傘をゆっくりと広げながら、こちらに歩いてきた。」>
松田 1行目から、ある種キザな男ですよね、淳悟というのは。ああいうのを書くときの気持ちというのは、どんなものでした。
桜庭 例えば、映画だったら、出てきた瞬間、どういう人かわかるから感情移入できるというのがあるので、ある種、映像的に、パッと見た瞬間、この人がどんな人かわかって、そのまま物語にもっていけるという風にしたかったので……。
N そこで、桜庭さんが考えたのが、傘を躊躇なく盗むという行為。>
桜庭 善悪の判断基準がゆるい人は怖いと思うんですね。私はよく自転車に乗っていて、駅から家まで自転車で通っていて、時々、盗まれるんですよ。「なんだよ」と思っていたら、もう10年来の友達の男の子が、みんなで飲んでいたときに、「飲んで遅くなったら、よく駅前で自転車を盗む」って言ったんですよ。「お前かっ!」って。傘も、盗んじゃうではなくて、スッと取っちゃう人って怖いと思ったんで。そういう善悪の判断基準を突きつけられる話だよということが最初のシーンでわかるということで、このシーンを思いついて、ようやく『私の男』が書けると思って、書き始めました。
松田 すごい「つかみ」だなあって思いました。
金田 第四問、趣味を教えてください。
桜庭 格闘技で、空手を少し習っているぐらいです。
金田 また、すごい真逆なものを……。
松田 試合とか出たことはあるんですか。
桜庭 私ね、全日本女子というのに2回出て、2回とも1回戦で負けて、それっきりです。
松田 でも、出たんですか。
金田 それでは、最後の質問です。いま、興味のあるテーマは。
桜庭 すごく暗くて怖いんだけども、誰にでもあるものとか、そういう人の暗い面とか悪意とかを、怖い話とかで終わるのではなくて、人の共感を得る話として書いていきたいというのがあります。


谷原 美香ちゃん、実際にお会いして、桜庭さん、どうでした。
金田 小説のイメージとは、また違って、ファッションもすごく可愛らしいものがお好きで、本当に女性らしい一面もお持ちで、すごく魅力的な方だなあって思いました。
谷原 それでも、空手とかやったりしてるとか。
金田 そうなんです。いろんな面をお持ちですよね。
谷原 松田さん、桜庭さんの、どういうところに才能を感じますか。
松田 受賞作『私の男』というのは、選考委員のなかでも「反道徳的」だという声もあったぐらいで、なかなか強烈なストーリーなんですけども、ただ、時間をさかのぼっていくに従って、ある種の浄化がされていって、最後には光り輝くラストシーンに読者を連れて行くという。すごい筆力だと思いますね。選考委員もそれに圧倒されたんだと思いますけども。これだけ書ける人が、次にどういう作品を書いてくれるのか、楽しみだなあと思いますね。


<今週の松田チョイス>
◎久保寺健彦『みなさん、さようなら』(幻冬舎)



松田 新進気鋭の作家・久保寺健彦さんの長編小説『みなさん、さようなら』という作品です。
N 昨年、文芸誌の新人賞を受賞した久保寺健彦さんのデビュー作『みなさん、さようなら』。小学校の卒業式に起こったある事件がきっかけで、生まれ育った団地から外の世界に出ることができなくなった主人公・悟。しかし、団地の中には何でもあった。彼はここで友達をつくり、働き、恋愛をし、婚約にもこぎ着ける。時代とともに減っていく友人たち。果たして悟は団地から出て行くことはできるのか? 団地の中で生き続ける男のサバイバル・ストーリー。>
松田 小学校を卒業してから30歳まで、団地から一歩も出られなくなった男の話っていう、非常に奇抜なシチュエーションの物語なんです。団地に住んでいるからといって、引きこもっているわけではなくて、いつも体を鍛えているし、独学で勉強もするし、恋もするし、自分が憧れだった菓子職人にもなれるし。本当に、人の数倍も努力して、充実した人生を送っている。だけども、時代とともに団地がだんだん荒廃してくるんですね。その中で、生き抜いていかなければいけないというので、過酷な人生をたどるんです。団地という地味な場所を舞台にして、冒険小説というかサバイバルストーリーをつくっているという、非常に面白い小説でしたね。
優香 私も読みました。タイトルも暗い感じだし、最初から団地に籠もっているということもわかっているので、暗いお話なのかなと思ったら、そうではなくて、団地の中にいるみんなを心配している男の人で、とても前向きな方なんです。生きてるということがすごく伝わる、そういう18年間の人生を目撃しているような気持ちで読める、濃厚な人生だなという感じで読めるものでした。

「王様のブランチ」本のコーナー(2008.1.12)

2008年01月12日

『警官の血』と「山崎ナオコーラ」


<第138回芥川龍之介賞・候補作品>
☆川上未映子「乳と卵」(「文學界」12月号)
☆田中慎也「切れた鎖」(「新潮」12月号)
☆津村記久子「カウソウスキの行方」(「群像」9月号)
☆中山智幸「空で歌う」(群像」8月号)
☆西村賢太「小銭をかぞえる」(「文學界」11月号)
☆山崎ナオコーラ「カツラ美容室別室」(「文藝」秋号)
☆楊逸「ワンちゃん」(「文學界」12月号)
松田 女性作家が候補者の過半数を占めています。なかなか華やかな顔ぶれですね。中でも、本業が歌手だという川上未映子さんですね。饒舌な関西弁で独特の色気がある文体なんですけども、ちょっと注目したいなあと思っていますね。


<特集・山崎ナオコーラ>
◎山崎ナオコーラ『カツラ美容室別室』(河出書房新社)



コーラ好きなので、自分の名前にもコーラを入れてしまったという山崎ナオコーラさん。2004年、『人のセックスを笑うな』で第41回文藝賞を受賞してデビュー。同作品が、第132回芥川賞の候補作になり、さらに、この1月には永作博美、松山ケンイチ主演で映画化されるなど、大注目されている若手実力派。そういう山崎さんの最新作が『カツラ美容室別室』。美容室とそのお客たちとの、恋愛とも友情ともつかない微妙な関係を描いた作品。小説の舞台になっている高円寺を散策しながら、作品について語ってもらいました。
谷原 松田さん、ナオコーラさんの候補作はいかがでした?
松田 随所に出てくる、キャッチフレーズのような言葉がとてもリズムがいいんですね。ちょっと短歌みたいな感じでポーンと入ってきたりして。ドラマにならないような日常を描きながら、そこに、人と人との微妙な距離を感じさせる作品なんですけどもね。なんか、「地上10センチのリアル」といった感じがして、とっても不思議なテイストの作品ですね。面白かったです。


<第138回直木三十五賞・候補作品>
☆井上荒野『ベーコン』(集英社) 
☆黒川博行『悪果』(角川書店)
☆古処誠二『敵影』(新潮社)
☆桜庭一樹『私の男』(文藝春秋)
☆佐々木譲『警官の血』(新潮社)
☆馳星周『約束の地で』(集英社)

谷原 今年の直木賞は重量級のミステリーが揃っているという印象なんですけども、さあ松田さん、本命に選んだ作品は?
松田 力作揃いで、いろいろ悩んで、「ダブル本命」ということで2作あげたいと思います。1作目は桜庭一樹さんの『私の男』ですね。
◎桜庭一樹『私の男』(文藝春秋)



松田 「松田チョイス」でも取り上げましたけども、男と女の強烈で濃厚な物語を、臆することなくグイグイ書ききった筆力は並大抵のものじゃないなと思いましたね。
谷原 たしか、これは優香ちゃんが読んでショックを受けたという。
優香 衝撃的、かなりの衝撃作です。
谷原 ぼくも衝撃を受けてみたいのですが、さあ、もう1本の本命作品は?
松田 もう1本はですね、佐々木譲さんの『警官の血』という上下二巻の作品ですね。
◎佐々木譲『警官の血(上・下)』(新潮社)



松田 『このミステリーがすごい!』の国内部門でも1位に輝いています。実直な警官として生きようとした3代の男たちの物語なんですけども、戦後の闇市から全共闘、そして現代の経済犯罪まで、その時々の事件を織り込みながら、この男たちの人生が描かれていくんですよ。本当に大河小説といっていいと思うんです。そして、第3部の和也という男の話あたりになると、サスペンスがすごくて、最後に本当に衝撃的な「真実」が明らかにされるという、ミステリーとしての醍醐味もあるんですけども、警察とは何かという、警察の姿を赤裸々に描いている問題作でもあるんですね。非常に迫力のある力作だと思います。
谷原 ぼくも是非読んでみたいですね。はい、芥川賞、直木賞の決定は来週の16日になります。松田さんの予想当たるのでしょうか。皆さん、注目しましょう。

「王様のブランチ」本のコーナー(2008.1.5)

2008年01月05日

『ウォッチメイカー』と「三浦しをんと文楽の世界」


<特集・三浦しをんと文楽の世界>
三浦しをん『あやつられ文楽鑑賞』(ポプラ社)



三浦しをん『仏果を得ず』(双葉社)



直木賞作家・三浦しをんさんが、いまはまっているのが日本の伝統芸能「文楽」の世界です。どこか敷居が高く、難しそうというイメージがある「文楽」ですが、三浦さんは、この世界に魅せられて、昨年、2冊の本を刊行しました。ちょっととっつきにくいけど、じっくりつきあってみると楽しい「文楽」の世界を三浦さんの案内で覗いてきました。
谷原 松田さん、本の方もかなり面白いですか。
松田 小説の『仏果を得ず』というのがとても面白いんです。伝統芸能の話っていうと、面倒くさそうな気がするんですが、これは物語を楽しみながら、文楽の魅力を知ることができるんです。出てくる登場人物が、ものすごく個性的で愛すべきキャラクターばかりで、その人達が、しをんさんの絶妙な語りにのって物語が展開されるあたりは素晴らしいですね。文楽の世界に出会って、しをんさんの語りが、また一段と冴え渡っているという気がしますね。


<今週の松田チョイス>
◎ジェフリ・ディーヴァー『ウォッチメイカー』(文藝春秋)



松田 『このミステリーがすごい!』と「週刊文春」という二つの権威あるミステリー・ランキング海外部門で1位に輝いたジェフリ・ディーヴァーの『ウォッチメイカー』という作品です。
VTR 世界中で愛されるジェフリ・ディーヴァーの「リンカーン・ライム・シリーズ」。第1作『ボーンコレクター』は映画化もされ、大ヒットに。主人公は、事故によって体の自由がきかなくなった一流の科学捜査官リンカーン・ライムと彼の手足となって現場に赴く新任の鑑識捜査官アメリアのコンビ。現場に残されたわずかな手がかりを頼りに、冷酷な殺人鬼と息詰まる頭脳戦を繰り広げます。そのシリーズ最新作となるのが『ウォッチメイカー』。犯人は、ウォッチメイカーを名乗り、残忍な殺人現場に必ず名刺代わりのアンティーク時計を遺していく。時計のように緻密な連続殺人計画をライムたちは食い止めることができるのか? 『このミステリーがすごい!』海外部門で1位、「週刊文春」ミステリー・ランキングでも1位に輝いた、いま必読の1冊です。>
松田 さすがに、軒並みNO.1に輝いた作品だけあって、読み出すと、超高速のジェットコースターに乗せられたみたいに、グイグイグイグイ、ハラハラしながら読み進むんですね。で、このリンカーンとアメリアのコンビというのは、『ボーンコレクター』から7作目になるんですが、サスペンスも意外性も飛び抜けて優れた作品です。色濃いキャラクターがたくさん出てくるんですけども、特に、冷酷な事件を計画して実行していくウォッチメイカーという犯人像が強烈で、圧倒的で、本当に魅力を感じてしまうほど悪い奴なんです。それで、物語を読んでいくと、ほかの事件がからんできたり、途中で意外とあっさりと犯人が捕まってしまうんですね。これで終わりかと思っていると、それから、とんでもないどんでん返しが次々にやってくるという、もう、ミステリーファンにはたまらない1冊ですね。
谷原 ぼくも読ませてもらったんですが、ウォッチメイカーというキャラクターが、とても緻密な犯罪計画を立てていくんですね。で、そのウォッチメイカーのキャラクターに引きずられるように、ぼくは、かれこれ4日間ぐらいで読んだんですけども。おかげで、大掃除がどんどん遅くなりましたけどもね(笑)。ウォッチメイカーという人物を作り上げたジェフリ・ディーヴァーさんというのはすごい方だなあと思いますね。松田さんもおっしゃったように、これで終わったと思ったら、さらに別の展開が待っているという、もう、ずーっとジェフリ・ディーヴァーの手の上で転がされ続けた506ページでした。ミステリーファンの方、必読です。是非読んでください。

「本のコーナー」をネットしているのは、TBS・HBC(北海道)・TUY(山形)・TUF (福島)・SBC(長野)・UTY(山梨)・TUT(富山)
MRO(石川)・SBS(静岡)・ RCC(広島)・RSK(岡山)・ITV(愛媛)・NBC(長崎)・RBC(沖縄)・BS-iです。

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