松田哲夫の王様のブランチ出版情報ニュース

「王様のブランチ」本のコーナー(2008.11.22)

2008年11月24日

『恋愛嫌い』と「2009年版カレンダー特集」


<2009年版カレンダー特集>
国内外3000種類のカレンダーを揃える丸善丸の内本店で、売れ筋商品を見て、今年の人気の傾向をチェック。近年、カレンダーの種類は細分化。日付を確認する他に+αの機能を持っている商品が急増しています。この道8年、全国のカレンダーの売れ行きを研究している丸善店員・渡辺さんにコメントしてもらいます。
*空気をキレイにするカレンダー(紙にコーティングした二酸化チタンが、紫外線や蛍光灯の光を受けると、タバコ、ホルムアルデヒド、汗の臭いを分解・消臭する効果を発揮。)
*節約レシピカレンダー(節約術が毎日の生活に取り入れ易いと“節約系”が多数登場。)
*カイくんカレンダー(Softbankお父さん初カレンダーが売上5万部の大ヒット。)
◎男性タレント人気ランキングTOP5(Amazon調べ)
1位 上地雄輔 発行部数約8万部
2位 佐藤健  ※コメントあり
3位 小池徹平
◎女性タレント人気ランキングTOP5(Amazon調べ)
1位 蛯原友里 ※コメントあり 発行部数約5万5千部
2位 堀北真希
3位 皆藤愛子
◎番外編・人気スポーツ選手
*ハニカミ王子・石川遼  ※コメントあり
*テニスの王子様・錦織圭 ※コメントあり


<今週の松田チョイス>
◎平安寿子『恋愛嫌い』(集英社)



松田 恋愛小説の常識を破った、平安寿子さんの『恋愛嫌い』です。
 恋愛に不向きな女たちの姿をリアルに描いた短編集、平安寿子の『恋愛嫌い』。恋愛したいという欲が湧かない喜世美29歳。ペットとブログがあれば彼氏なんていらない翔子26歳。美人なのになぜかモテない鈴枝35歳。恋愛って難しい、面倒くさいし、結局、いつもうまくいかない。それならいっそ、一人で生きちゃ、ダメですか?>
松田 なんと言っても、歯切れのいい、歯に衣着せぬ突っ込みが、読んでいて楽しいんですね。コミカルな語り口なんで、わりにシニカルな部分も出てくるんですが、落語を聞いているような感じで楽しめるお話なんですね。三人の女性の恋愛模様が描かれているんですけども、本物の恋愛になりそうなところで、普通のありがちな方向じゃなくて、違った方向に行ってしまう……。かといって、決してネガティブなわけではないんですね。自分自身に正直でいたい、それを曲げてまで男性に追随したくないっていう、そんな女心がよく描かれている作品なんですね。最後にはホッとする、とっても温かいラストが待っているんで、そんなにシニカルなお話ではない。楽しんでいただければ。

「王様のブランチ」本のコーナー(2008.11.15)

2008年11月16日

『スリーピング・ドール』と「大沢在昌『黒の狩人』」


<総合ランキング>(三省堂書店全店調べ・11/3~11/9)
① 竹中平蔵『竹中式マトリクス勉強法』(幻冬舎)
② 東野圭吾『聖女の救済』(文藝春秋)
③ 海藤尊『イノセント・ゲリラの祝祭』(宝島社)
④ 太田あや『東大合格生のノートはかならず美しい』(文藝春秋)
⑤ 姜尚中『悩む力』(集英社)
⑥ 東野圭吾『ガリレオの苦悩』(文藝春秋)
⑦ 神谷秀樹『強欲資本主義ウォール街の自爆』(文藝春秋)
⑧ フィリップ・C・マグロー『史上最強の人生戦略マニュアル』(きこ書房)
⑨ 神田昌典+勝間和代『10年後あなたの本棚に残るビジネス書100』(ダイヤモンド社)
⑩ 水野敬也『夢をかなえるゾウ』(飛鳥新社)


<特集・大沢在昌『黒の狩人』>
◎大沢在昌『黒の狩人(上・下)』(幻冬舎)



中国人ばかりを狙った惨殺事件が続けて発生した。手がかりは、頭部と四肢を切断された死体のわきの下に残された「五岳聖山」の刺青だけ。手詰まりとなった捜査に駆り出されたのは、新宿署のアウトロー刑事・佐江と謎の中国人・毛、そして外務省の美女・由紀。中国人殺しは、中国政府による”処刑”なのか。やがて事件は、日中黒社会を巻き込んだ大抗争へと発展した──。裏切りと疑惑の渦の中、無数に散らばる点と点はどこで繋がるのか。誰が誰の敵で、誰の味方なのか。やがて、国家をも揺るがす真実が浮かび上がる。逆転につぐ逆転、予測不能──。現実を凌駕した驚天動地のエンターテインメント巨編、ついに刊行。今回、著者の大沢在昌さんをインタビュー。作品ついてはもちろん、ハードボイルドな作風にも伺える、大沢さんにとっての男性像について伺います。
谷原 松田さん、新作の『黒の狩人』いかがでした。
松田 魅力的で癖のある登場人物が次々と出てきて、場面ごとに迫力あるドラマが展開されていくんですね。だから、かなり複雑な物語なんですけども、ぐいぐい読まされますし、最後まで緊張の糸が途切れないという感じで、さすがに大沢さんだと思いましたね。本当に熱いドラマですね。


<今週の松田チョイス>
◎ジェフリ・ディーヴァー『スリーピング・ドール』(文藝春秋)



松田 リンカーン・ライム・シリーズでおなじみの、ジェフリ・ディーヴァーの新作『スリーピング・ドール』なんですが、新らしいヒロインが誕生しました。
 ドンデン返しの魔術師と呼ばれる人気ミステリー作家ジェフリ・ディーヴァー。彼の最新ミステリーが『スリーピング・ドール』。一家惨殺事件を起こしたカルト指導者ダニエル・ペルが脱獄、逃走した。捜索の指揮をとるのはキャサリン・ダンス。人間のしぐさや表情を読み解く「キネシクス」の名手。嘘を見破るダンスと他人をコントロールする天才ペル。お互いの裏をかく頭脳戦が始まった。>
松田 とにかく面白いです、これは。ヒロインのキャサリン・ダンスがとっても魅力的で……。リンカーン・ライムというのは超人的な探偵だったんですが、ダンスの場合には、人間的な弱さも持っているんですね。家族とのつきあい方なんかも、よく描かれていますし。そういうダンスが摑まえようとしているのが、凶悪犯のペルという男で、これがまた、人間の心を操る天才なんですね。二人の駆け引きが、本当に手に汗握るという感じで……。そして、ジェフリ・ディーヴァーお得意のどんでん返しが、「エーッ」という感じで、何度も来るんですね。
谷原 ぼくも読ませていただいたんですが、本当は、来週紹介するという話が、急に今週になって、夢中になって三日半で読んだんです。『ウォッチメイカー』のサブストーリー的なところがあるじゃないですか。『ウォッチメイカー』の犯人って、自分の定めたルールは絶対に守っていくという、とっても理知的な知能犯なんですが、それと対照的に、今度のペルというのは、同じように人をコントロールする天才なんですけども、時に、自分で自分をコントロールできない、直情的な欲望に身を任せるというか……。
松田 人間的な弱さをもっているんですね。それが、捜査官のダンスの人間的な弱さとちょうどいい感じでハラハラさせるんですよ。
谷原 魅力的なんですよね、キャラクターが。
松田 本当にキャサリン・ダンスがチャーミングで素敵だなあと思いますし、このシリーズ、ずっと続けていってほしいなあって思いますね。
谷原 そうですね。松田さんとぼくをトリコにしたキャサリン・ダンス、皆さんもきっと、その魅力にはまると思います。

「王様のブランチ」本のコーナー(2008.11.8)

2008年11月09日

『茗荷谷の猫』と「話題の勉強本」


<総合ランキング>(有隣堂書店全店調べ・10/26~11/1)
① 東野圭吾『聖女の救済』(文藝春秋)
② 東野圭吾『ガリレオの苦悩』(文藝春秋)
③ 竹中平蔵『竹中式マトリクス勉強法』(幻冬舎)
④ 東野圭吾『流星の絆』(講談社)
⑤ 大沢在昌『狼花 新宿鮫 9』(光文社)
⑥ 神谷秀樹『強欲資本主義ウォール街の自爆』(文藝春秋)
⑦ 姜尚中『悩む力』(集英社)
⑧ フィリップ・C・マグロー『史上最強の人生戦略マニュアル』(きこ書房)
⑨ 水野敬也『夢をかなえるゾウ』(飛鳥新社)
⑩ 太田あや『東大合格生のノートはかならず美しい』(文藝春秋)


<特集・話題の勉強本>
①太田あや『東大合格生のノートはかならず美しい』(文藝春秋)



②竹中平蔵『竹中式マトリクス勉強法』(幻冬舎)



①東大合格者の“ノート術”を紹介し、ていねいに解説した、まったく新しい視点の参考書。多数の「東大ノート」を原寸大で公開して、授業ノートを効果的にとる技術を徹底的に解剖しています。ブランチが赤門前で現役東大生を直撃、本当に「東大ノート」は美しいのかを検証します。インタビューでは、本書に登場するノートの持ち主数名と、著者の太田さんに「7つの法則」を教えていただき、リポーターが持参した授業ノートを東大合格生に評価していただきます。さらに、東大合格生対リポーターのノート取り対決も実施しました。
②1の努力で10の成果をあげるという日本一の学習法を初公開。何を勉強したらいいのかわからない人は、座標軸に書いてみると、面白いほど今の自分がわかるのです。将来が見えない、今の仕事がつまらないという、悩める若い女性たちへのアドバイスをいただくとともに、竹中式メモ術の極意を教えていただきました。


<今週の松田チョイス>
◎木内昇『茗荷谷の猫』(平凡社)



松田 なんとも不思議な味わいの連作小説、木内昇さんの『茗荷谷の猫』です。
 『茗荷谷の猫』木内昇。主人公は、幕末の江戸から昭和の東京を生きた市井の人々。江戸の染井で新種の桜作りに心を傾ける植木職人。大正時代、茗荷谷に構えた住まいで売れない絵を描き続ける主婦。つつましく暮らす彼らを襲った怪奇な出来事の正体とは。異なる時代を生きた人々の夢と挫折が、時を超えて交錯する不思議な連作物語集。>
松田 この本の中には九つのお話が入っているんですけども、どれも東京のいろんな「町」を舞台にしてまして、そこで何かの「怪異」とか「不思議なこと」とか、ちょっと恐ろしげなことが起きるんですが、でも、そんなにおどろおどろしいものじゃないんですね。全体に、ふんわりとした幻想みたいなものが漂っている、不思議な味わいの連作集ですよね。
谷原 ぼくも読ませていただいたんですけども、江戸時代から昭和の30年代まで描いているんですが、なんか一つ不思議なものでも、おどろおどろしく見えるものも、それを客観的なところから見たら不思議でも何でもない、ありふれたことだっていうことで、その両方の視点で描いているのが、とても素敵だなと思いました。
松田 そうですね。なんか、一つ一つのお話そのものが幽霊みたいな感じで、摑まえようとするとスルッと逃げていくという感じで……。それでいて、じゃあ、バラバラなお話かというと、その後の話を読むと、前のことがわかったりするという、不思議な構造になっているんですね。だから、いろんな味わい方ができる、ちょっと独特の小説集だなあって思いました。本好き、小説好きの人が読むと、すごく楽しめる作品だと思いますね。
谷原 後半に行けば行くほど、味わいが増していきますからね。不思議です。読まないと、なかなか実感しにくいところがあるんですけども、ぜひ本屋でチェックしてみてください。

「王様のブランチ」本のコーナー(2008.11.1)

2008年11月02日

『聖女の救済』と「蜷川実花『Ninagawa Woman』」


<総合ランキング> (三省堂書店全店調べ・10/20~10/26)
① 東野圭吾『聖女の救済』(文藝春秋)
② 東野圭吾『ガリレオの苦悩』(文藝春秋)
③ 竹中平蔵『竹中式マトリクス勉強法』(幻冬舎)
④ フィリップ・C.マグロー『史上最強の人生戦略マニュアル』(きこ書房)
⑤ 東野圭吾『流星の絆』(講談社)
⑥ 水野敬也『夢をかなえるゾウ』(飛鳥新社)
⑦ 姜尚中『悩む力』(集英社)
⑧ 福岡伸一『できそこないの男たち』(光文社)
⑨ 伊坂幸太郎『モダンタイムス』(講談社)
⑩ 神谷秀樹『強欲資本主義ウォール街の自爆』(文藝春秋)


<特集・蜷川実花『Ninagawa Woman』>
◎蜷川実花『Ninagawa Woman』(講談社)



今、日本で一番写真集が売れるというフォトグラファー蜷川実花(36)。2000年、『Pink Rose Suite』で“写真界の芥川賞”木村伊兵衛賞受賞。現在までに30冊を超す写真集を発表し、『Baby Blue Sky』、『永遠の花』、『蜷川妄想劇場』など数々のヒット作を発表。昨年は、映画「さくらん」で監督デビュー。若手の写真家が演出したにもかかわらず、国内外で高い評価を得た。蜷川作品の共通点は「極彩色」。“ニナガワカラー”と称される色の鮮やかさは、彼女の作品の最大の特徴。カラフルでグラフィカルな作品が目立つが、撮影の時はCG合成も特別な照明を作りこむことも、滅多にしないという。最新写真集『Ninagawa Woman』の撮影中のフォトスタジオにお邪魔して、北乃きいさん撮影の裏側を見学&蜷川さん独占インタビュー。極彩色の背景セットを作る様子、蜷川さんの写真を撮るときのコツやポリシーを伺い、また出産(去年12月11日に長男を出産)は作品づくりに影響を与えたか、などを話してもらいました。
▽最新写真集『Ninagawa Woman』(10月27日発売)
蜷川さんが14年間のキャリアを通して撮影してきた、現在最も活躍している女性100人のポートレイト集。(SHIHO、土屋アンナ、堀北真希、長澤まさみ、引田天功、沢尻エリカ、安室奈美恵、中谷美紀、北乃きい、吉田美和など)
▽蜷川実花展「地上の花、天上の色」東京オペラシティーアートギャラリー(11月1日から)
松田 ちょうど展覧会が今日から始まるんです、オペラシティで。すごく大きい会場なんですけども、その会場のスケールに負けないパワフルな展示なんですね。色が鮮やかですから、色彩のシャワーを浴びてるような感じで、別世界に入っていくようなワクワク気分があって……。人物もいいんですけども、風景とか花とか金魚とか、スケールの大きい写真ですね。


<今週の松田チョイス>
◎東野圭吾『聖女の救済』(文藝春秋)



松田 映画にドラマに大人気の東野圭吾さんの最新ミステリー『聖女の救済』です。
N 東野圭吾のミステリー小説『聖女の救済』。大人気ガリレオシリーズの最新刊。ガリレオこと湯川が迎えた新たな敵は「女」。男が自宅で毒殺された時、容疑者である妻には鉄壁のアリバイがあった。彼女が仕掛けた驚愕のトリックとは。「理論的には考えられるが、現実的にはありえない。……これは完全犯罪だ」。果たして湯川はトリックを証明することができるのか。>
松田 人気の<ガリレオ・シリーズ>が2冊読めるという、東野ファンには楽しみですね。この『聖女の救済』というのは、『容疑者Xの献身』に続いて湯川=ガリレオが活躍する話なんです。『容疑者Xの献身』は、トリックやどんでん返し、人間ドラマといろんな要素があったんですが、この新作ではトリックが想像を絶すると言えば想像を絶する、こういうことがありか、と思わされるぐらい驚かされるんですが、それにからんでいく語り口というか人物像も面白いんで、ついつい引き込まれて読んでしまいますね。それから、テレビドラマや映画のイメージがありますから、福山雅治さんとか柴咲コウさんの姿が立ち上がってきて、それはそれでまた違う楽しみもあるんです。
優香 ありますね。わたしも読みました。やっぱり、飽きさせないなあっていう感じがありました。あと、湯川準教授の人間味のあるところが、今回はたくさん見れるかな。なかなかトリックが解けない模様も、なんかいいなあ、そこが面白いなあって。
松田 おたおたしているところが可愛らしいんですよね。

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