松田哲夫の王様のブランチ出版情報ニュース

「王様のブランチ」本コーナー(2009.5.23)

2009年05月23日

「道尾秀介『龍神の雨』」


<総合ランキング>  (有隣堂書店全店調べ・5/10~5/16)
① エリカ・アンギャル『世界一の美女になるダイエット』(幻冬舎)
② 国分太一・ケンタロウ『太一×ケンタロウ 男子ごはんの本』(M.Co.)
③ 小宮一慶『どんな時代もサバイバルする会社の「社長力」養成講座』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
④ 山崎豊子『運命の人 1』(文藝春秋)
⑤ 出口宗和『読めそうで読めない間違いやすい漢字』(二見書房)
⑥ 蛇蔵『日本人の知らない日本語』(メディアファクトリー)
⑦ 山崎豊子『運命の人 2』(文藝春秋)
⑧ 『もっとからだにおいしい野菜の便利帳』(高橋書店)
⑨ 中山美穂『なぜならやさしいまちがあったから』(集英社)
⑩ 湊かなえ『告白』(双葉社)


<特集・道尾秀介『龍神の雨』>
◎道尾秀介『龍神の雨』(新潮社)



降りしきる雨よ、願わくば、僕らの罪を洗い流しておくれ――。人は、意図せずに犯した罪に対し、どこまで償いを負わねばならないのだろう。暗転する事件の果て、二組の子供達がたどり着いた、慟哭と贖罪の真実とは? 現代版『罪と罰』とも言うべき贖罪の物語。今回、独特の世界観をもつ作家として、大きな注目を集めている道尾秀介を特集。道尾さんの仕事場にて、新作『龍神の雨』について、作家・道尾秀介についてインタビューしました。道尾さんの執筆方法や趣味(ギターが仕事場に4本ある)、過去にバンドをやっていたり営業をやっていたりした時の話、作家・道尾秀介が誕生するきっかけ、作家になろうと思った理由などを伺いました。
(道尾秀介 2004年、『背の眼』で第5回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞しデビュー。2006年、『向日葵の咲かない夏』で第6回本格ミステリ大賞候補。同年、『流れ星のつくり方』で第59回日本推理作家協会賞短編部門候補。2007年、『シャドウ』で第7回本格ミステリ大賞受賞。2009年、『カラスの親指』で第140回直木賞候補、第62回日本推理作家協会賞受賞。「このミステリーがすごい!2009年版」作家別投票第1位。)


谷原 松田さん、道尾さんの新作『龍神の雨』の「松田の一言」は……。
松田 こうです。(フリップを出して)「土砂降りの雨・子供たちの哀しみ」。
この物語は、あらゆる場面で烈しい雨が降っているんですね。道尾さんの非常に優れた描写力で描かれているんで、読んでいると、ぼくたちも降り注ぐ雨を浴びているような感じがしてきます。この雨が、実は、子供たちを追い詰めていく、歪んだ家庭環境のようなものを象徴しているんです。そして、お話は最悪の方向に向かっていくんですね。人間の醜い部分まで踏み込んでいくお話なんですけども、終始、どこかに清潔感があるんですね。だからこそ、より一層、子供たちの哀しみが切々とぼくたちの胸に迫ってくるんですね。本当に迫力のある物語ですね。

「王様のブランチ」本コーナー(2009.5.16)

2009年05月17日

『遠くの声に耳を澄ませて』と「茂木健一郎vs竹内一郎」


<総合ランキング>  (三省堂書店全店調べ・5/4~5/10)
① 出口宗和『読めそうで読めない間違いやすい漢字』(二見書房)
② 山崎豊子『運命の人 1』(文藝春秋)
③ 東野圭吾『パラドックス13』(毎日新聞社)
④ 湊かなえ『告白』(双葉社)
⑤ 副島隆彦『日米「振り込め詐欺」大恐慌』(徳間書店)
⑥ 山崎豊子『運命の人 2』(文藝春秋)
⑦ 蛇蔵『日本人の知らない日本語』(メディアファクトリー)
⑧ 国分太一・ケンタロウ『太一×ケンタロウ 男子ごはんの本』(M.Co.)
⑨ 真山仁『レッドゾーン 上』(講談社)
⑩ エリカ・アンギャル『世界一の美女になるダイエット』(幻冬舎)


<特集・茂木健一郎vs竹内一郎 対談>
◎茂木健一郎『化粧する脳』(集英社)



◎竹内一郎『見た目で選ばれる人』(講談社)



今回は、『化粧する脳』(集英社)の著者茂木健一郎さんと『見た目で選ばれる人』(講談社)の著者竹内一郎さんに“見た目の重要性”そして「見た目」でモテる方法について対談をしていただきます。“伝えることよりリアクション”とか“化粧することの隠された意味”とか“見た目を磨くレッスン”など、必見の知識が満載でした。
(茂木健一郎 1962年東京都生れ。脳科学者。『脳とクオリア』、『「脳」整理法』、『ひらめき脳』など著書・訳書が多数あり、軒並みベストセラーになっている。またTV番組などでもお馴染みである。)
(竹内一郎 1956年福岡県生まれ。宝塚造形芸術大学教授。『戯曲 星に願いを』で、文化庁舞台芸術創作奨励賞佳作、『哲也 雀聖と呼ばれた男』で講談社漫画賞を受賞。『人は見た目が9割』がミリオンセラーに。)


<今週の松田チョイス>
◎宮下奈都『遠くの声に耳を澄ませて』(新潮社)



松田 ていねいに物語を紡ぎ出す期待の新人・宮下奈都さんの『遠くの声に耳を澄ませて』です。
N 「ほんの少し心をほどけば、私たちはいつだってどこにだって行ける。」 OL、母親、大学生、看護婦。毎日を頑張って生きる人たちのもとに、突然届く「声」。疎遠になってしまった人たちからのメッセージや思い出。それが、彼女たちの日常に小さな変化をもたらす。少し前に進む勇気をくれる12の物語。>
谷原 松田さん、この本は?
松田 一言で言いますと、こういう本です。「貴女(あなた)の小さな応援団!」です。十二の短編小説が収められているんですが、そのほとんどが女性が主人公なんですね。彼女たちは、気を張って、頑張って生きているんです。でも、なにかのきっかけで、立ち止まってしまうことがあって、そういう時に、どこか「遠く」からの「声」が聞こえてくる。たとえば、地球の裏側のラジオ放送だったり、南の島からの電話だったり、旅先からの絵葉書だったり、身近な人のちょっとした一言だったり……そういうささやくような声が、彼女たちのこわばりとかこだわりを優しく解きほぐしてくれて、そこから新たな一歩を踏み出すためのささやかな勇気をくれるんですね。そういう、いい話がぎっしり詰まっている素敵な一冊ですね。
谷原 そういう音に耳を澄ますということですね。
松田 そうですね。
谷原 えみちゃんも読んだんですか?
はしの はい、読みました。私が一番印象的だった短編はですね、ちょっと人間関係とかで気持ちがモヤモヤしている女性が、ある不思議なお医者さんのところに行って、そのお医者さんが「流しなさい」って言うんですよ。言葉の処方箋みたいなのを出したんですよ。で、私も何かあると、「何でだろう」とかクヨクヨしたり考えちゃったり、堂々巡りしちゃうんですよ。でも、「流す」ってマイナスの響きにも聞こえるけども、そこを潔く流すというのも、何かいい選択肢の一つではあるんだなということを、その短編を読んで思いましたね。
松田 そうですね。何か、ちょっとインチキ臭いお医者なんだけど、その言葉が自分にとって励ましになるというか、勇気を与えてくれるっていう感じなんですね。
谷原 なるほど、みなさんも小さな応援団の声に耳を澄ませてみてはいかがですか。

「王様のブランチ」本コーナー(2009.5.9)

2009年05月09日

『学校で愛するということ』と「西川美和『きのうの神さま』」


<総合ランキング>   (有隣堂書店全店調べ・4/26~5/2)
① 山崎豊子『運命の人 1』(文藝春秋)
② 東野圭吾『パラドックス13』(毎日新聞社)
③ 国分太一・ケンタロウ『太一×ケンタロウ 男子ごはんの本』(M.Co.)
④ 小宮一慶『どんな時代もサバイバルする会社の「社長力」養成講座』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
⑤ くるねこ大和『おばさんとトメ』(幻冬舎)
⑥ 副島隆彦『日米「振り込め詐欺」大恐慌』(徳間書店)
⑦ 湊かなえ『告白』(双葉社)
⑧ 北方謙三『楊令伝 9』(集英社)
⑨ 山崎豊子『運命の人 2』(文藝春秋)
⑩ 勝間和代『断る力』(文藝春秋)


<特集・西川美和『きのうの神さま』>
◎西川美和『きのうの神さま』(ポプラ社)



映画監督西川美和さんは、06年公開の映画「ゆれる」で第61回毎日映画コンクール・日本映画大賞をはじめ数々の映画賞を受賞、世界的な評価も獲得しました。また自らが小説化した『ゆれる』が第20回三島由紀夫賞候補になりました。その西川さんが、3年ぶりの書き下ろし小説を発表しました。日常に潜む人間の本性を渾身の筆致であぶりだした短編集です。この作品は、笑福亭鶴瓶、瑛太らが出演、西川さんがメガホンをとった映画「ディア・ドクター」から生まれた、もうひとつの物語です。今回、僻地医療の小説を執筆し映画を製作する際に、西川さんが取材した西伊豆の診療所を訪問し、診療所の先生や看護師さんなどにお話を伺い、往診にも同行させて頂きました。インタビューでは、僻地医療をテーマにした映画と小説のことをお伺いしました。
谷原 松田さんは、西川さんの小説のどんなところに魅力を感じますか?
松田 西川さんて、映画と小説の表現の違いがよく分かってる人なんですね。だから、言葉でしか表現できない心の揺らぎとか気配とか匂いとかを、すごく効果的に使ってまして。ところが、それを読んでいますと、ぼくたちの頭の中に鮮明な映像が浮かんでくるんですよね。すごい才能の人だと思いますね。


<今週の松田チョイス>
◎中森明夫『学校で愛するということ』(角川書店)



松田 いまや世界でも知られている「おたく」という言葉の生みの親である中森明夫さんが21年ぶりに書いた小説『学校で愛するということ』です。
 ねぇ、君。学校は好きかい? 希望第一高等学校、通称「キボコウ」で月一回の小論文授業が。課題は「学校で愛するということ」。学園祭、部活、生徒会……さまざまな出来事を通して、学校で過ごす日々のことを読者に問いかける。サブカル系のビッグネーム・中森明夫の学園恋愛小説。>
谷原 松田さん、この本の魅力は?
松田 (フリップを出し)一言で言いますと「なつかしの胸キュン感覚!」。
谷原 「胸キュン」懐かしいですねえ。
松田 みんなが青春のひとときを過ごす「学校」なんですけども、やっぱりいろんな意味で、胸をときめかせてくれる場所だったなあっていう気がするんですね。このお話の中では、学校の屋上とか、校庭とか、教室とか、体育館とか……いろんな場所でいろんな出来事が起きて、それがパノラマのようにちりばめられていくんです。そこで、甘い思い出も、楽しい思い出もあるし、苦い思い出も、つらい思い出もあるんです。でも、そういうことも含めて、やっぱり学校って特別な場所だったし、特別な時間だったということが、過ぎ去って、振り返ってみると、しみじみと感じられる。そういうことをこの物語を読んで思い出しましたね。
谷原 思い出すと甘酸っぱい時ってありますよね。
優香 学校って皆さん行くし、それぞれに思い出があると思うんですけど。私は、中高と女子校だったんで、あこがれる先輩が女子だったんですね。私、フェンシング部だったんですけども、高校生の先輩が格好良くて、その先輩のようになりたくて、「書いてください」って透明な下敷きにメッセージを書いてもらったりとか、お手紙のやりとりをやらせてもらったりとか、そういうことを思い出したりとかしましたね。

「王様のブランチ」本コーナー(2009.5.2)

2009年05月04日

『ちはやふる』『とめはねっ!』と「手塚治虫展」


<特集*GWはここへ行こう!>
◎「生誕80周年記念特別展 手塚治虫展」(江戸東京博物館)



手塚治虫さんは、日本における「ストーリーマンガ」のパイオニアとして、また「テレビアニメーション」の創始者として昭和の時代に活躍し、その生涯においてマンガ作品約 700 タイトル(原稿枚数約 15 万枚)、アニメ作品約 70 タイトルという膨大な作品を産み出しました。今回の展覧会には、直筆のマンガ原稿やアニメーションの資料、愛用品などが数多く展示されています。番組では、わたし(松田哲夫)が斉藤慶太さん、森山愛子さんを、手塚ワールドに案内しました。「手塚さんが初めてマンガを描いたのは何歳のとき?」「ペンネームの由来は?」など折々に“手塚治虫クイズ”を出しながら天才の足跡を追いました。


<今週の松田チョイスHYPER*GWはこれを読もう!>
優香 今回は、マッチョイもスペシャル! ということで、GWにオススメのコミックを2作品選んでくれたんですよね?
松田 いま、少女漫画でも青年漫画でも、人気の「文化系熱血コミック」というのがあるんですが、その中から2作品を取り上げさせていただきました。
◎末次由紀『ちはやふる』①~④(講談社)



<先日、「マンガ大賞」を受賞した『ちはやふる』。夢は自分の姉が有名モデルになること、という地味な小学生・千早。そんな彼女が競技かるたのチャンピオン・新と出会い、本当の自分の夢に目覚めていく。かるたでつながった友情を軸に描かれる、鮮烈青春ストーリー。読者も思わず熱くなる、主人公たちと競技カルタを戦っているような臨場感が魅力。実際にカルタの練習場に行き、担当編集者の坪田さんにインタビューをしました。かつては競技かるた・大学2年生の部で全国準優勝したこともあるほどの実力を持つ坪田さん。その実力を見せてくれると共に、競技かるたが、マンガの題材として、いかに面白いかを語ってくれました。>


◎河合克敏『とめはねっ!』①~④(小学館)



<書道に賭ける高校生を描いた『とめはねっ!』。上級生たちに脅されて書道部に入部することになった気弱な帰国子女・大江縁と、やはりだまされて入部した柔道の天才・望月結希。しかし、そこには思いもかけない奥深さと青春を賭ける切磋琢磨があった。でも、なぜいま書道なのか? 作者の河合さんが直筆メッセージをくれました。「ある日、たまたま高校の書道部を取り上げたドキュメンタリー番組をTVで観て、書道に打ち込んでいる女の子たちがカワイイなあと思ったことがキッカケです。」いま、高校部活動の一環として広まり始めた書道パフォーマンス、その要素を取り入れた『とめはねっ!』。思いもかけない面白さに、あなたもヒートアップするはずです。>


松田 両作品に共通するキーワードは二つあります。まずは「スポ根!!!」です。文化系のクラブ活動なのに、「友情・努力・勝利」というスポ根のお得意のテーマが満載されています。それだけじゃなくて、「ラブコメもの」の面白さもあるんですね。そして、二番目の「ウンチク満載!」というのは、書道とか百人一首とか、日本の伝統文化に関わるウンチクが盛りだくさんに入っていて、それも楽しめるんですね。谷原さんは『ちはやふる』をお読みになって……
谷原 はい、出ちゃいました(とフリップ「今年のNO.1!!」を示して)。百人一首とか、小さい頃、家とかでやるじゃないですか、お父さんやお母さんと。でも、『ちはやふる』の中で扱っているやりかたは、原平合戦といって、25枚、25枚で、相手と競っていくんですけども、5人で団体競技でやっていくんですよ。そのキャラクターがとても素晴らしくて、例えば、取ることだけに情熱を燃やしている子もいれば、もともとカルタが好きになったきっかけが、お祖父さんが名人で、そのお祖父さんの影響を受けたりだったり、初めて自分が得意なものを見つけたりだったり、もしくは歌そのものの世界観にひかれて打ち込んでいる子がいたりと、それぞれの切り口の面白さでグイグイ引き込まれていくんですよね、松田さん。
松田 『ちはやふる』も面白いんですが、『とめはねっ!』も書道という地味なものをテーマにしていながら、面白いキャラクターが次々出てくるんですね。コミカルで熱いお話なんで、谷原さんも是非読まれるといいと思いますね。
谷原 そうですね、「NO.1」という前に、読まなきゃいけないですね。 

「本のコーナー」をネットしているのは、TBS・HBC(北海道)・TUY(山形)・TUF (福島)・SBC(長野)・UTY(山梨)・TUT(富山)
MRO(石川)・SBS(静岡)・ RCC(広島)・RSK(岡山)・ITV(愛媛)・NBC(長崎)・RBC(沖縄)・BS-iです。

「王様のブランチ」の情報については、ここ をクリックしてください。