『風の中のマリア』と「佐藤和歌子『悶々ホルモン』」


<マンガ大賞ランキング>
①末次由紀『ちはやふる』(講談社)
②小山宙哉『宇宙兄弟』(講談社)
③羽海野チカ『3月のライオン』(白泉社)
④安倍夜郎『深夜食堂』(小学館)
⑤小林まこと『青春少年マガジン1978~1983』(講談社)
⑥中村光『聖(セイント)☆おにいさん』(講談社)
⑦河合克敏『とめはねっ!鈴里高校書道部』(小学館)
⑧東村アキコ『ママはテンパリスト』(集英社)
⑨島袋光年『トリコ』(集英社)
⑩久保保久『よんでますよ、アザゼルさん。』(講談社)


<特集・佐藤和歌子『悶々ホルモン』>
◎佐藤和歌子『悶々ホルモン』(新潮社)



雑誌「モーニング」で連載され好評を博した、ホルモンが食べられる44軒のガイドブック『悶々ホルモン』。20代にしてひとり焼き肉常連の著者が、究極のホルモン道を開拓したこのエッセイは、女子が、しかも20代がホルモンの旨さを伝えきっていると話題になっている。佐藤さんは、なぜひとりで焼肉屋に通うようになったのか? それは「男に失望し、同時に女としての自分にも失望したから」。そんな佐藤さんと「テナム」(五反田)という焼肉屋で待ち合わせ。ホルモンど素人の渡辺志穂(21)に、本の内容に沿った形でホルモン道を披露してくれる。実際に食べながら、ホルモンの魅力を描ききったエッセイにまつわる話を聞く。


<今週の松田チョイス>
◎百田尚樹『風の中のマリア』(講談社)



松田 去年、『ボックス!』で「ブランチBOOK大賞・新人賞」を受賞した百田尚樹さんの最新作『風の中のマリア』です。
N 百田尚樹の書き下ろし最新作『風の中のマリア』。主人公は、なんとスズメバチのハンター。その名はマリア。彼女の命はたったの30日。恋もせず、母となる喜びを味わうこともなく、ひたすら狩りを続ける、自然界最強のハタラキバチ。短く激しい命が尽きるとき、マリアが見たものとは?>
谷原 松田さん、主人公は「ハチ」ということですが、感情移入できるんですか。
松田 いやあ面白かったですね。なんといっても、オオスズメバチの生態が、驚くべきことばかりなんですね。女王バチを中心に「女だけの帝国」を作り上げていくという、その生き方、戦い方、そして死に方が正確に描かれているんです。そこに、スズメバチの内面に、人間の気持ちを当てはめていくと、そこから、スケールの大きなスペクタクルとか神話的世界が立ち上がってくるんですよね。
優香 わたしも読ませていただきましたけども、ハチの話で250ページですか、こんなに書けるというのはすごいなと思いました。それと、女性って、昆虫って苦手じゃないですか。
はしの 節の感じとか……。
優香 そうなんですよね。ハチというとよけいね、接したこともないですけれども、すごく面白くて。全然知らなかったこともたくさんあって、30日しか生きられないとか。そういうことも勉強できたりとか……。あと、わたしが好きなシーンはですね、マリアとオスバチのラブシーンがあるんですよ。淡い恋なんですけども、触覚同士をチョッとあわせるというキスシーンのような。一生、恋はできないんですけども、そこでちょっと恋心のようなものが……。
松田 本当に、主人公のマリアのけなげな生き方がすごく切なく胸をうつんですね。読み終わると、昆虫の話なのに、もっと大きな「いのち」の物語として、ぼくらに迫ってきて……。
優香 そうですね。
松田 素晴らしい物語だと思いましたね。
優香 かっこいいんですよ、戦士マリアが。
谷原 たしかに知らない世界ですからね。『風の中のマリア』で皆さんも心を刺されてみてはいかがですか。