『恋文の技術』と「宝島社ブランドムック」


<総合ランキング>  (日販調べ・4/6~4/12)
① 空知英秋・大崎知仁『銀魂 3年Z組銀八先生 4』(集英社)
② 湊かなえ『告白』(双葉社)
③ 中村克『最後のパレード』(サンクチュアリ出版)
④ 浜崎あゆみ『Ayuのデジデジ日記』(講談社)
⑤ 海堂尊『極北クレイマー』(朝日新聞出版)
⑥ 渡辺淳一『欲情の作法』(幻冬舎)
⑦ 菅野和夫『ポケット六法』(有斐閣)
⑧ 梨花『Love myself・梨花』(宝島社)
⑨ 加藤久仁生・平田研也『つみきのいえ』(白泉社)
⑩ 出口宗和『読めそうで読めない間違いやすい漢字』(二見書房)


<特集・宝島社ブランドムック>
◎『キャス・キッドソンへようこそ』1~2(宝島社)
◎『Cher 2009 Spring/Summer Collection』(宝島社)
◎『LESPORTSAC 35th Anniversary Special!!』1~3(宝島社)



成熟した消費社会である日本に、特定の“ブランド信仰”はもはやないに等しい。しかし、ブランド好きのDNAは、幅広い年代に受け継がれている。そんな人達の嗜好を巧みに掬い上げているのが、宝島社のブランドムック。国内外のブランドと提携し、デザイナーや新商品などをオールカラーで紹介するムックに、ロゴ付きの雑貨(バッグ、Tシャツなど)をセットした。価格はそのアイテムによって1000円~3000円台の幅があるが、中心は1000円台前半。大人気の理由は、1冊にそのブランドの最新情報やコンセプトが詰め込まれ、しかもアイテムつきで1000円台で入手できるという「お得感」。不況の今、1000円台で好きなブランドアイテムをもつ夢を叶えるブランドムックに、ますます期待が寄せられる。4月中旬発売のバッグブランド「LeSportsac」のブランドムック制作過程に密着。編集者やブランド担当にインタビュー。ブランドムック本の魅力などを伺いました。


<今週の松田チョイス>
◎森見登美彦『恋文の技術』(ポプラ社)



松田 森見登美彦さんの奇想天外な面白小説、『恋文の技術』です。
N 地方に飛ばされた、うだつの上がらない大学院生。退屈を紛らわすために考えたのが「文通武者修業」。かつての仲間たちに手紙を書きまくる。友人の恋の相談に乗り、妹に説教を垂れ。でも本当に気持ちを伝えたい人には、思うような手紙が書けなくて。森見節満載、ほろにが可笑しい新・書簡体小説。>
松田 今の時代、携帯やメールが全盛で、「手紙」ってあまり書かなくなっていると思うんですね。こういう時代に、あえて全編「手紙」だけの小説を書くというところが、森見さんの面白いところで。手紙を書く人は一人でも、送る相手によって、文体とか表現とか内容とか変わってきますよね。そのへんの微妙なニュアンスを楽しんでいると、お話は、だんだんあやしげな雰囲気を漂よわせてくるんですね。最後には、アッと驚く仕掛けが待っているんですが。終始、森見さんの愉快なたくらみにのせられながら楽しんでいける、風変わりな恋愛小説でしたね。
谷原 デミちゃんも読んだんだよね。
出水 読ませてもらいました。なかなか、人の手紙って見ることないじゃないですか。だから、人のプライベートな部分を覗いているような、ドキドキするような感じもあるんですけども。やはり、送る相手によって、文体とか言葉の使い方が変わっていくので、人間のもつ多面性のようなものを垣間見ることができるようで。私も、アメリカに住んでいたときに、祖父母に手紙を送っていたんですが、実は、自分の意外な一面を、その手紙を通じて見られちゃったんじゃないかと、いま思い返して、恥ずかしくなっちゃったんですが。お手紙っていいなあ、書きたいなあと思う一冊でした。
谷原 宛てた人以外に読まれると恥ずかしいですね。さあ、皆さんも手紙の魅力、再認識してみたらいかがでしょうか。