『いのちのパレード』と「大野智『FREESTYLE』」


<総合ランキング>  (1/28~2/3 三省堂書店全店調べ)
 1位 坂東真理子『女性の品格』(PHP研究所)
 2位 坂東真理子『親の品格』(PHP研究所)
 3位 阿川弘之『大人の見識』(新潮社)
 4位 勝間和代『お金は銀行に預けるな』(光文社)
 5位 平岩弓枝『新・御宿かわせみ』(文藝春秋)
 6位 桜庭一樹『私の男』(文藝春秋)
 7位 水野敬也『夢をかなえるゾウ』(飛鳥新社)
 8位 茂木健一郎『脳を活かす勉強法』(PHP研究所)
 9位 城山三郎『そうか、もう君はいないのか』(新潮社)
10位 Jamais Jamis『B型自分の説明書』(文芸社)


<特集・大野智『FREESTYLE』>
◎大野智『FREESTYLE』(角川書店)



「嵐」の大野智さんが10年にわたって制作してきた、オリジナル・フィギュア100点、ペインティング20点、オブジェ2点など、アート作品を1冊にまとめました。この作品集には、アーティスト大野智の独創的なポートレート、制作への思いをじっくり語ったロング・インタビュー、10年間、制作過程を見つめてきた「嵐」メンバーからの一言なども収録されています。作品の現物を見せていただきながら、大野さんに、制作意図などについてインタビューしました。


<今週の松田チョイス>
◎恩田陸『いのちのパレード』(実業之日本社)



松田 いま、物語を書く人はたくさんいますけども、その中で飛び抜けた力をもっている、面白さ、うまさで言えば恩田陸さんだと思います。その、恩田さんの最新作『いのちのパレード』です。
N 本屋大賞、吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞、山本周五郎賞。幅広いジャンルで評価を得てきた恩田陸さん。その集大成ともいえる短編集が『いのちのパレード』。ホラー、SF、ミステリー、ファンタジー。15の短い物語に込められた壮大な想像力が、読者を圧倒します。>
松田 この本には奇妙な味の短編小説が十五編収録されています。一つ一つが20ページぐらいの短いお話なんです。だけども、それぞれが壮大なスケールの物語だったり、果てしない永い永い歴史の一部を一部を切り取ってきたみたいな、桁外れの大きさを感じさせられる物語ばかりで、それで、最後には意外なラストが待っているという、それぞれが楽しめるお話ばっかりですね。谷原さん、読んでどうでしたか。
谷原 あ、松田さんにふられた。ぼくも読ませていただいたんですが、恩田さんという人はとっても文章が上手じゃないですか。で、読んでいく内に、日常生活で、普通の人だったら見過ごさすようなところを、恩田さんが注目してみると、どっか隙間というかほころびのようなところを見つけて、それを想像力でどんどんふくらましていったっていう感じがしたんですね。日常なんだけども、ちょっと位相がずれた世界。どの短編も、最後のオチはゾクッとするようなものが多いんですが、中には可愛いお話で、「夕飯は七時」というのがありまして、子どもって想像力が凄くあるじゃないですか。で、大人が訳のわからない単語を言うと、それは何だろうと、勝手に生き物だとかを想像して、それが実際に出てきちゃうというお話。それが微笑ましくて好きでしたね。松田さんはいかがでした。
松田 ぼくはね、「かたつむり注意報」という作品が面白くて。ある作家の生涯を追っている人が、その最期の地に行くんですけども、そこで、巨大なかたつむりが夜、町中を歩いているという幻想的なんだけどリアルな光景に遭遇するというお話です。その映像が鮮明に焼き付いているという感じで、本当に繰り返し読みたくなる素晴らしい短編集ですね。