『遠くの声に耳を澄ませて』と「茂木健一郎vs竹内一郎」


<総合ランキング>  (三省堂書店全店調べ・5/4~5/10)
① 出口宗和『読めそうで読めない間違いやすい漢字』(二見書房)
② 山崎豊子『運命の人 1』(文藝春秋)
③ 東野圭吾『パラドックス13』(毎日新聞社)
④ 湊かなえ『告白』(双葉社)
⑤ 副島隆彦『日米「振り込め詐欺」大恐慌』(徳間書店)
⑥ 山崎豊子『運命の人 2』(文藝春秋)
⑦ 蛇蔵『日本人の知らない日本語』(メディアファクトリー)
⑧ 国分太一・ケンタロウ『太一×ケンタロウ 男子ごはんの本』(M.Co.)
⑨ 真山仁『レッドゾーン 上』(講談社)
⑩ エリカ・アンギャル『世界一の美女になるダイエット』(幻冬舎)


<特集・茂木健一郎vs竹内一郎 対談>
◎茂木健一郎『化粧する脳』(集英社)



◎竹内一郎『見た目で選ばれる人』(講談社)



今回は、『化粧する脳』(集英社)の著者茂木健一郎さんと『見た目で選ばれる人』(講談社)の著者竹内一郎さんに“見た目の重要性”そして「見た目」でモテる方法について対談をしていただきます。“伝えることよりリアクション”とか“化粧することの隠された意味”とか“見た目を磨くレッスン”など、必見の知識が満載でした。
(茂木健一郎 1962年東京都生れ。脳科学者。『脳とクオリア』、『「脳」整理法』、『ひらめき脳』など著書・訳書が多数あり、軒並みベストセラーになっている。またTV番組などでもお馴染みである。)
(竹内一郎 1956年福岡県生まれ。宝塚造形芸術大学教授。『戯曲 星に願いを』で、文化庁舞台芸術創作奨励賞佳作、『哲也 雀聖と呼ばれた男』で講談社漫画賞を受賞。『人は見た目が9割』がミリオンセラーに。)


<今週の松田チョイス>
◎宮下奈都『遠くの声に耳を澄ませて』(新潮社)



松田 ていねいに物語を紡ぎ出す期待の新人・宮下奈都さんの『遠くの声に耳を澄ませて』です。
N 「ほんの少し心をほどけば、私たちはいつだってどこにだって行ける。」 OL、母親、大学生、看護婦。毎日を頑張って生きる人たちのもとに、突然届く「声」。疎遠になってしまった人たちからのメッセージや思い出。それが、彼女たちの日常に小さな変化をもたらす。少し前に進む勇気をくれる12の物語。>
谷原 松田さん、この本は?
松田 一言で言いますと、こういう本です。「貴女(あなた)の小さな応援団!」です。十二の短編小説が収められているんですが、そのほとんどが女性が主人公なんですね。彼女たちは、気を張って、頑張って生きているんです。でも、なにかのきっかけで、立ち止まってしまうことがあって、そういう時に、どこか「遠く」からの「声」が聞こえてくる。たとえば、地球の裏側のラジオ放送だったり、南の島からの電話だったり、旅先からの絵葉書だったり、身近な人のちょっとした一言だったり……そういうささやくような声が、彼女たちのこわばりとかこだわりを優しく解きほぐしてくれて、そこから新たな一歩を踏み出すためのささやかな勇気をくれるんですね。そういう、いい話がぎっしり詰まっている素敵な一冊ですね。
谷原 そういう音に耳を澄ますということですね。
松田 そうですね。
谷原 えみちゃんも読んだんですか?
はしの はい、読みました。私が一番印象的だった短編はですね、ちょっと人間関係とかで気持ちがモヤモヤしている女性が、ある不思議なお医者さんのところに行って、そのお医者さんが「流しなさい」って言うんですよ。言葉の処方箋みたいなのを出したんですよ。で、私も何かあると、「何でだろう」とかクヨクヨしたり考えちゃったり、堂々巡りしちゃうんですよ。でも、「流す」ってマイナスの響きにも聞こえるけども、そこを潔く流すというのも、何かいい選択肢の一つではあるんだなということを、その短編を読んで思いましたね。
松田 そうですね。何か、ちょっとインチキ臭いお医者なんだけど、その言葉が自分にとって励ましになるというか、勇気を与えてくれるっていう感じなんですね。
谷原 なるほど、みなさんも小さな応援団の声に耳を澄ませてみてはいかがですか。