「太宰治生誕100年記念・特集」


<総合ランキング>  (リブロ池袋本店調べ・6/1~6/7)
① 村上春樹『1Q84 BOOK1(4月‐6月)』(新潮社)
② 村上春樹『1Q84 BOOK2(7月‐9月)』(新潮社)
③ 『忌野清志郎1951-2009』(ロッキングオン社)
④ エリカ・アンギャル『世界一の美女になるダイエット』(幻冬舎)
⑤ 酒巻久『「会社のアカスリ」で利益10倍―本当は儲かる環境経営』(朝日新聞社)
⑥ 『もっとからだにおいしい野菜の便利帳』(高橋書店)
⑦ 君島十和子『ザ・十和子本-43歳。女のキレイは止まらない』(集英社)
⑧ 蛇蔵・海野凪子『日本人の知らない日本語』(メディアファクトリー)
⑨ 小林よしのり『ゴーマニズム宣言SPECIAL天皇論』(小学館)
⑩ 山崎豊子『運命の人 (三)』(文藝春秋)


<太宰治生誕100年記念・特集>
◎齋藤孝『若いうちに読みたい太宰治』(筑摩書房)



今年で生誕100年を迎えた太宰治。未だに若い人を中心に多くの読者に読み続けられています。今回は、太宰治のゆかりの地・三鷹にある太宰治文学サロンで、教育学者の齋藤孝さんにお話を伺いました。齋藤さんは、最近『若いうちに読みたい太宰治』(ちくまプリマー新書)を刊行したばかりです。「自意識との葛藤や社会との距離感で心が苛まれる人間の様子を、豊かに表現した太宰治」と語る齋藤さんに、いつまでも輝きを失わない太宰治文学の魅力を紹介していただきました。
<取り上げる作品>
*「新樹の言葉」(生きる元気をもらいたい時に……)
*「ヴィヨンの妻」(恋に悩んだ時に……)
*「トカトントン」(気持ちが萎えそうな時に……)


<今週の松田チョイス・番外編>
◎『ちくま日本文学 太宰治』(筑摩書房)



優香 松田さんから見た太宰さんの魅力は何ですか?
松田 太宰治を一言で言いますと「物語の天才」(松田の一言・フリップ)だと思います。いま、爆発的に売れている村上春樹さんも天才的な物語作家ですが、太宰さんの場合には文章が素晴らしいですね。読みやすく心に響いてくる文章ですし、それに、お話の作り方がものずごく巧みなんですね。僕はいろんな短編が好きなんですが、齋藤さんも取り上げていた「トカトントン」という作品。擬音、金槌の音がタイトルというのもものすごくユニークです。何かに熱中しようとすると、トカトントンという音が聞こえてきてしらけてしまうんです。ある意味では、とことん絶望的なお話なんですが、あっけらかんと明るいんですよね。ついつい笑ってしまうくらいで。「明るい絶望」みたいな物語を楽しく書けちゃうというところが、太宰が天才であるゆえんかなあと思いますね。
優香 木本さんも読まれたんですよね?
木本 思ってた以上に読みやすくて面白かったんですけど。本当に死んじゃいたいと思ったときでもしらけてしまうような絶望的な状況なんですが、これは、手紙が届くという物語なんですよ、作家さんに。太宰治さんに送られてきた手紙という感覚なんですよ。最後に、手紙が終わったところに、その作家さんの感想が「気取った悩みですね」というんですよ。それが清々しくて、そんな戦後の絶望的に時代に、あっ「ルーキーズ」があったらよかったのに、と思いましたね。
松田 本当に素晴らしい短編がたくさんあるんですが、もう一つ、「満願」というたった3ページの作品があるんですが、こんなに短い中に豊かなイメージと味わい深いドラマが盛り込まれているんです。世界中、作家はたくさんいますが、こういう作品を書ける人って滅多にいないと思いますね。
谷原 松田さんのペンもいいですよね。
松田 太宰ペン(と、胸に挿した「太宰治ボールペン」を見せる)。
出水 ちなみに、松田さんオススメの短編は、こちらの『ちくま日本文学 太宰治』に収録されています。皆さんも、是非、この機会に太宰治の世界に触れてみてはいかがでしょうか。