『弩』と「祝!直木賞作家・北村薫を直撃!」


<総合ランキング> (文教堂書店全店調べ・7/6~7/12)
① 『ドラゴンクエストⅨ 星空の守り人 大冒険プレイヤーズガイド』(集英社)
② 村上春樹『1Q84 BOOK1(4月-6月)』(新潮社)
③ 村上春樹『1Q84 BOOK2(7月-9月)』(新潮社)
④ 天野明『家庭教師ヒットマンREBORN!隠し 3』(集英社)
⑤ 蛇蔵・海野凪子『日本人の知らない日本語』(メディアファクトリー)
⑥ くるねこ大和『くるねこ 其の4』(エンター・ブレイン)
⑦ 藤井旭編『欠ける太陽を見よう!皆既日食』(星の手帖社)
⑧ 小林よしのり『ゴーマニズム宣言SPECIAL 天皇論』(小学館)
⑨ 加藤由子ほか『くらべる図鑑』(小学館)
⑩ エリカ・アンギャル『世界一の美女になるダイエット』(幻冬舎)


<特集・祝!直木賞作家・北村薫を直撃!>
◎北村薫『鷺と雪』(文藝春秋)



7月15日に第141回芥川賞・直木賞が発表されました。そこで、急遽、私(松田)と英玲奈さんで北村薫さんを訪れ、直撃インタビューしてきました。北村さんはデビューから20年、直木賞候補に選ばれたのは6回目でした。受賞作は昭和初期を舞台にした作品、当時の世相を織り交ぜながら上流階級のお嬢様英子とおつきの女性運転手ベッキーさんの活躍を描いたミステリー短編集です。インタビューでは「魅力その① 女の子が大活躍」、「魅力その② 殺人のないミステリー」、「魅力その③ 超!読書家」など北村作品の魅力を徹底解剖しました。
谷原 松田さん、今回の北村さんの受賞作、いかがですか。
松田 北村さんのファンとしては嬉しいですね。今回の受賞作は北村ミステリーの集大成みたいな作品なんですね。昭和初期という時代を背景にして、日常の中の謎を優しい語り口で解き明かしていくお話なんですが、そこに日常を踏みにじる戦争の足音が聞こえてくる。最後には劇的なクライマックスがやってくるんです。面白いです。


<今週の松田チョイス>
◎下川博『弩』(小学館)



松田 ドラマチックな歴史小説の傑作、下川博さんの『弩』です。
N およそ650年前、今の鳥取県智頭町に侍を雇った村が実在した。野心はあるが、無名の農民・吾輔。家族を、そして村を豊かにしたい、彼は溢れる行動力で道を開いていく。そんな村に巻き起こる悪党集団との戦い。吾輔たちの味方したのは青い目の侍、そして日本には馴染みの薄い武器「弩」(クロスボウ)だった。史実をもとに描かれた農民たちの熱き人間ドラマ。>
谷原 さあ、松田さんの一言は?
松田 <*松田の一言*「村人たちの息づかいが聞こえる」>
これは、ある村の人たちが自ら武装して悪党集団を撃退する、というお話なんです。でも、クライマックス・シーンに行くまでの、この人たちの悩みや葛藤などがドラマチックに描かれていて、最後の人びとが戦に立ち上がっていくシーンも感動的です。こういう時代に、こういう人たちが一生懸命生きていたんだということが切々と迫ってくるお話なんですね。人間ドラマとしても戦の物語としても素晴らしい傑作だなあと思いました。
谷原 時代小説好きなもんで、読ませていただきました。今回のお話はノンフィクションをベースに、とても読み応えのあるフィクションが展開されているんですね。もともとは、一つの史実をもとにしてるんですよ。この小説は、史実から始まり、壮大なフィクションが展開されて、最後はたんなるハッピーエンドに終わらず、ちょっとしたリアリティのある、納得の終わり方をするんですよ。
松田 歴史の中にとけ込んでいくという感じが素晴らしいですね。