『さようなら窓』と「特集・森田まさのり『べしゃり暮らし』」


<総合ランキング>  (4/21~4/27 文教堂書店全店調べ)
 1位 水野敬也『夢をかなえるゾウ』(飛鳥新社)
 2位 Jamais Jamis『B型自分の説明書』(文芸社)
 3位 Jamais Jamis『A型自分の説明書』(文芸社)
 4位 『あいのり10 Fate~めぐり逢い~』(学研)
 5位 北方謙三『楊令伝5 猩紅の章』(集英社)
 6位 小川糸『食堂かたつむり』(ポプラ社)
 7位 小栗左多里、トニー・ラズロ『ダーリンは外国人 with BABY』(メディアファクトリー)
 8位 高橋克徳他『不機嫌な職場―なぜ社員同士で協力できない』(講談社)
 9位 大庭史榔『1分骨盤ダイエット』(三笠書房)
10位 伊坂幸太郎『ゴールデンスランバー』(新潮社)


<特集・森田まさのり『べしゃり暮らし』>
◎森田まさのり『べしゃり暮らし』1~5(集英社)



累計5000万部を超える大ヒット作となった『ろくでなしBLUES』で連載デビューし、現在放送中のドラマ「ROOKIES」の原作者でもある森田まさのりさんの最新作『べしゃり暮らし』を特集しました。ウケるためなら命がけ!? 吉竹高校3年の吾妻圭祐は自称「学園の爆笑王」。その才能を昼の放送で遺憾なく発揮していた。ある日、大阪から転校してきた元芸人・辻本潤と出会い、コンビを結成。紆余曲折しながらもプロのお笑い芸人を目指す青春ストーリー。森田さんの作品の特徴は、超リアルで写実的な絵。その秘密は、森田さん自らによるカメラ取材にありました。今回は、お笑いライブの舞台裏取材に同行し、その綿密な取材ぶりを目の当たりにします。また、仕事場では、森田さんが、最も神経を使うという、人物の表情を描く瞬間も披露してくれました。また、作品への熱い思いも語っていただきました。


<今週の松田チョイス>
◎東直子『さようなら窓』(マガジンハウス)



松田 歌人の東直子さんが書いた最新長編小説『さようなら窓』です。
N この家はあたしの家じゃない。ゆうちゃんの家。繊細な感受性から複雑な家庭に疲れてしまったきいちゃん(築)。そんな彼女が安らかに眠れるように、彼氏のゆうちゃん(佑亮)は夜ごとお話を聞かせてくれる。それはどこかはかなく哀しい人たちのお話だった。きいちゃんが優しいゆうちゃんにさよならするまでが綴られる、切なくも温かい恋物語。>
松田 主人公のきいちゃんに、本当に心優しいゆうちゃんが夜ごとに話をしてくれるんですね。そのお話に包まれて、幸せな時を過ごしているんです。言ってみれば「現代版・千夜一夜物語」といったテーストのお話なんですね。そのお話に出てくる登場人物は、どこかはかなげで、哀しみを抱えていて、だけど、一話一話、とってもしみじみ温かさを感じさせられるお話なんですね。繊細なきいちゃんなんですけども、縁の薄かった実の父親の最期を看取ることになって、そのことがきっかけになって、自分の足で歩きだす。自分の哀しみみたいなものを抱えながら、歩き出そうとして、それで、優しいゆうちゃんと別れる、「さようなら」する。だけど、悲しい別れじゃなくて、自分がもっと成長していくための別れなんで、きいちゃんに「また逢おうね」って言いたくなるような優しいラストなんですね。
小林 本当にゆうちゃんが優しくて、こんな優しい男性がいるのは、きいちゃん幸せ者だなあって思いながら読んでいたんですけども。東さんの独特の表現で、ゆうちゃんがきいちゃんにお話してくれるお話の登場人物とかが、すごく不思議なんだけど、また愛すべきキャラクターで、なんかあったかくなるような。私は、こういう恋愛もあるんだなと最後に思いました。