『体育座りで、空を見上げて』と「特集・『島耕作』」


<文庫ランキング>  (6/23~6/29 三省堂書店全店調べ)
① 東野圭吾『さまよう刃』(角川書店)
② 梨木果歩『西の魔女が死んだ』(新潮社)
③ 小林多喜二『蟹工船』(新潮社)
④ 中山真敬『たった3秒のパソコン術』(三笠書房)
⑤ 村山由佳『夢のあとさき』(集英社)
⑥ 石田衣良『愛がいない部屋』(集英社)
⑦ 雫井脩介『クローズド・ノート』(角川書店)
⑧ 堂場瞬一『久遠(上)』(中央公論新社)
⑨ 有川浩『空の中』角川書店
⑩ 横山秀夫『クライマーズ・ハイ』(文藝春秋)


<特集・「島耕作」>
◎弘兼憲史『課長島耕作』(小学館)



◎弘兼憲史『部長島耕作』(小学館)
◎弘兼憲史『取締役島耕作』(小学館)



1983年から連載が始まった「島耕作」シリーズ。「課長編」、「部長編」、「取締役編」と着実に出世を重ね、現在も雑誌「モーニング」にて連載中だが、ついに社長に就任! まさに他に類を見ない「サラリーマン漫画の金字塔」として、存在感を放ち続けています。この社長就任を記念して「島耕作」を徹底特集しました。「島耕作」シリーズの大・大・大ファンである中川翔子さんに島耕作の魅力を語ってもらいました。さらに、しょこたんによる島耕作モテポイントBEST3を発表しました。(3位・博識、2位・冷静で聞き上手、1位・仕事への姿勢)


<今週の松田チョイス>
◎椰月美智子『体育座りで、空を見上げて』(幻冬舎)



松田 中学生という微妙な年頃の心の揺らぎを見事に描き出した、椰月美智子さんの『体育座りで、空を見上げて』です。
N 『しずかな日々』で野間児童文芸賞、坪田譲治賞を受賞した椰月美智子さんの新作『体育座りで、空を見上げて』。主人公の妙子は、ごくごくフツーの中学生。そんな彼女の中学3年間がきめ細かく描かれます。友人との関係、教師や親への反発、部活、試験、受験。揺らぐ思春期の心を綴った青春グラフィティです。>
松田 この小説では、ちょっとした波乱や軋轢はあるけれども、とりわけ大きな事件が起こるわけじゃないんですね。でも、だからこそ、少女の内面でブツブツと沸き上がってくるような不安とか不満とか、そういった感情の揺らぎみたいなものが、本当に切々と迫ってくるように伝わってくる作品なんです。こういう心の内面なんかも含めて、中学生という微妙な年代のかけがえのない輝きみたいなものを、本当に見事にとらえられていて、いま中学生の人も、かつて中学生だったあらゆる人も、是非読んでほしい青春のグラフィティだと思うんですね。
谷原 ぼくも読ませていただいたんですけども、主人公は女性なんですけども、思春期って、男とか女とか関係ないんですよね。多少、違う部分があっても、子どもから大人に変わり始める第一歩っていうのは、感じていることっていうのは、みんな一緒だと思うんですよ。読んでみて思ったのは、最後の方で、すごく「大人はわかってくれない」って言ってるんですけど、ぼくも同じように思っていたんですけども、結局、いま振り返ってみると、あのときは、ぼくもわかろうとしていなかったな、大人のことを。だから、わかろうとしなかったら、わかってもくれなかったんだよなって思いましたね。
松田 そういう余裕がないということもあるんですね。
優香 わたしも読みまして、中学生の時って、思春期の時期に誰もが思う、独特の気持ちってあるじゃないですか。特に何が起きたわけじゃないんだけど、なにか苛立ったり、どうしていいかわからない。これから高校になって大人になるんだけど、子どもでいたいとか。その狭間で、どうしても身近にいる家族に当たってしまうという。でも、当たったときに、自分で悪いことしたなって思うんだけど、すぐに謝れず、それもどうしていいかわからないというモヤモヤ感が、すごくよく、上手に出てて共感しましたね。
松田 大人にみられたいけども、子供でいたいみたいな、矛盾していますよね。
優香 そうですね。
谷原 皆さんも、この作品で青春時代を思い出してみて下さい。