<特集・2008年上半期BOOKムーブメント総まとめ>


*文学界に続々シンデレラ誕生!
★川上未映子『乳と卵』(文藝春秋)



・第138回芥川賞作家。(インタビューVTRあり)


★小川糸『食堂かたつむり』(ポプラ社)



・ブランチ絶賛本。(インタビューVTRあり)


★和田竜『のぼうの城』(小学館)



・ブランチ絶賛本。(インタビューVTRあり)


*ビジネス本の二大ヒットメーカー!
★勝間和代『効率が10倍アップする新・知的生産術』(ダイヤモンド社)
  『お金は銀行に預けるな』(光文社)ほか
・(インタビューVTRあり)
★水野敬也『夢をかなえるゾウ』(飛鳥新社)
・上半期ベストセラー第1位 。(インタビューVTRあり)


*超簡単!3ステップレシピ本ブーム
★西健一郎『日本のおかず』(幻冬舎)
★編集工房桃庵『おつまみ横丁』(池田書店)


*驚異のリバイバル「蟹工船」大ヒット!
★小林多喜二『蟹工船』(新潮文庫)


*タレントの赤裸々自伝本がバカ売れ!
★田村裕(麒麟)『ホームレス中学生』(ワニブックス)

・222万部突破。コミック&ドラマ&映画化もされました。
★大島美幸『ブスの瞳が恋されて』(マガジンハウス)
・8万部突破
★上地雄輔『上地雄輔物語』(ワニブックス)
・初のフォト&エッセイ集。発売3日で28万部突破!(インタビューVTRあり)


谷原 松田さん、タレント本は本当に盛り上がりましたが、上半期、文芸書のメガヒットというのがなかったじゃないですか。
松田 そうですね。ただ、そのかわり、次々と魅力的な作品を書く新人作家が登場したんで、これからメガヒットになる作品を書いてくれるんじゃないかと期待したいですね。


<今週の松田チョイス>
松田 ぼくが上半期に読んで一番面白かった本を取り上げてみました。
◎川上弘美『風花』(集英社)



N ある日突然、匿名の電話で夫の不倫を知らされた主人公のゆり。「自分はいったいどうしたらいいのか」。途方に暮れ、そしてのゆりは夫婦の意味、自分の人生を問い直し始める。女性心理をきめ細かい筆致で描いた恋愛小説の傑作。「登場する夫婦を通して、川上さんが伝えたかったこと」、そんな質問への答えは?
川上 たぶんね、小説書いてて、伝えたいことって、私はないかもしれない。私が書いた通りのそのものを、「ああ、そうですか」って受け取って、その通りのものっていうことじゃなくて、一行があったら、その一行で自分のことを考えたり、今までのことを思い出したり、それで全然違うことを考えたり。とにかく、読んでいただいて、読んだ方が何かを感じてくだされば嬉しい。>
谷原 本当に、いまでも覚えていますよ、この本。二人、優香ちゃんとぼくで読んで、意見がそれぞれ違ってたじゃないですか。
優香 読む人によって、全然違っていて。特別大きいことがあるわけじゃないんだけれど、日常がすごくリアルなんですよね。女性目線が上手だなあというのを覚えています。
松田 そうですね。読む人によって、というのは、何となく、ぼくなんかもそうなんですけども、トリコにされるというか、いつの間にか主人公の気持ちになっているみたいな。やはり、川上さん独自の日本語の力だと思いますね。すごく、しなやかで、柔らかい、本当にきれいな日本語なんですよね。その言葉に乗せられて、いつの間にか女性の気持ちになって体験をしていく。だから、ものすごく苦しいこともあるし、楽しいこともあるっていう。で、それをズーッと体験していると、あっ、人間って不思議な動物、生き物だなあって、人間のことをすごく考えさせられる、単なる恋愛小説というレベルを超えた小説だなあっていう気がしますね。
谷原 あらためて、女性は本当にこわいです。