『海獣の子供』と「間瀬元朗『イキガミ』」


<コミックランキング> (三省堂書店全店調べ・9/8~9/14)
① 矢沢あい『NANA―ナナ―』20巻(集英社)
② 尾田栄一郎『One piece ワンピース』51巻(集英社)
③ 葉鳥ビスコ『桜蘭高校ホスト部』13巻(白泉社)
④ 北条司『エンジェル・ハート』27巻(新潮社)
⑤ 星野桂『D.Gray―man』16巻(集英社)
                                             
<特集・間瀬元朗『イキガミ』>
◎間瀬元朗『イキガミ』1~5巻(小学館)



この国には、国家繁栄維持法という名の法律がある。そこでは、多くの人間を生かし、国を繁栄させるため、選ばれた若者をあの世へ逝かす紙「逝紙(イキガミ)」が配られている――。突然届けられる死亡予告証「逝紙(イキガミ)」。それを受け取った者に残された時間はわずか24時間。前代未聞の“生きるドラマ”が、いま始まる! 松田翔太さん主演で映画化され、9月27日に公開される、今、一番泣ける物語です。今回、映画化を記念して著者の間瀬元朗さんにインタビューします。「イキガミ」というシステムをどこから発想したのか、物語の今後の展開や映画化されることなどについてお伺いしました。
松田 「イキガミ」が来るという恐怖ですね。それと、「イキガミ」という制度を作る権力に対する恐怖、二重の恐怖がギリギリと迫ってくるんで、本当に、誰でも読むと、「自分に『イキガミ』が来たらどうするんだろう」って、考えさせられますよね。


<今週の松田チョイス>
◎五十嵐大介『海獣の子供』1~3巻(小学館)



松田 壮大なスケールの海洋冒険ファンタジー・コミック、五十嵐大介さんの『海獣の子供』です。
N 自然の描写に定評のある五十嵐大介が描くファンタジー『海獣の子供』。ある夏休み――少女・琉花が出会ったのは、ジュゴンに育てられたという少年「海」。大きな流れ星、光となって消える魚……彼に出会ってから次々と起こる不思議な出来事。一方、世界各地でも海洋にまつわる異変が相次いで起こる……。港町と水族館を舞台に繰り広げられる、五感をふるわす少年少女海洋冒険コミック。>
小林 はい、こちらをご覧下さい。今回はですね、『海獣の子供』の原画の複製をお借りしてきました。
優香 すごーい。細かいですよね。美しい。
翔太 引き込まれますね。
松田 とにかく絵が素晴らしいんですね。自然の絵が素晴らしくて、海原の広がりとか海流のうねりとか、水しぶきとかの繊細なきらめきとか、本当に絵だけでも見とれてしまうような。本当に、大自然が主役だなっていう気がするコミックですね。
谷原 そうですね。人間って、一番高い山は登れていても、一番深い海って潜れていないんですよね。地球の三分の二は海で、まだまだ未開の地が海の中にはある。ぼくも波乗りが好きで海によく行ったりするんですけども、海の中には何が潜んでいるのかわからないという恐怖があったりして。
松田 そういう大自然を背景にして、登場人物たちが個性的で、静かなんだけど大自然と絡み合いながら、謎に迫っていくんですね。本当にスケールの大きいファンタジーで、これからどうなっていくんだろうって、ワクワクしますよね。
谷原 ファンタジーなんだけどリアリティがあるのは、海のもつ不思議さみたいなものが一役買っているのかなと思います。