『茗荷谷の猫』と「話題の勉強本」


<総合ランキング>(有隣堂書店全店調べ・10/26~11/1)
① 東野圭吾『聖女の救済』(文藝春秋)
② 東野圭吾『ガリレオの苦悩』(文藝春秋)
③ 竹中平蔵『竹中式マトリクス勉強法』(幻冬舎)
④ 東野圭吾『流星の絆』(講談社)
⑤ 大沢在昌『狼花 新宿鮫 9』(光文社)
⑥ 神谷秀樹『強欲資本主義ウォール街の自爆』(文藝春秋)
⑦ 姜尚中『悩む力』(集英社)
⑧ フィリップ・C・マグロー『史上最強の人生戦略マニュアル』(きこ書房)
⑨ 水野敬也『夢をかなえるゾウ』(飛鳥新社)
⑩ 太田あや『東大合格生のノートはかならず美しい』(文藝春秋)


<特集・話題の勉強本>
①太田あや『東大合格生のノートはかならず美しい』(文藝春秋)



②竹中平蔵『竹中式マトリクス勉強法』(幻冬舎)



①東大合格者の“ノート術”を紹介し、ていねいに解説した、まったく新しい視点の参考書。多数の「東大ノート」を原寸大で公開して、授業ノートを効果的にとる技術を徹底的に解剖しています。ブランチが赤門前で現役東大生を直撃、本当に「東大ノート」は美しいのかを検証します。インタビューでは、本書に登場するノートの持ち主数名と、著者の太田さんに「7つの法則」を教えていただき、リポーターが持参した授業ノートを東大合格生に評価していただきます。さらに、東大合格生対リポーターのノート取り対決も実施しました。
②1の努力で10の成果をあげるという日本一の学習法を初公開。何を勉強したらいいのかわからない人は、座標軸に書いてみると、面白いほど今の自分がわかるのです。将来が見えない、今の仕事がつまらないという、悩める若い女性たちへのアドバイスをいただくとともに、竹中式メモ術の極意を教えていただきました。


<今週の松田チョイス>
◎木内昇『茗荷谷の猫』(平凡社)



松田 なんとも不思議な味わいの連作小説、木内昇さんの『茗荷谷の猫』です。
 『茗荷谷の猫』木内昇。主人公は、幕末の江戸から昭和の東京を生きた市井の人々。江戸の染井で新種の桜作りに心を傾ける植木職人。大正時代、茗荷谷に構えた住まいで売れない絵を描き続ける主婦。つつましく暮らす彼らを襲った怪奇な出来事の正体とは。異なる時代を生きた人々の夢と挫折が、時を超えて交錯する不思議な連作物語集。>
松田 この本の中には九つのお話が入っているんですけども、どれも東京のいろんな「町」を舞台にしてまして、そこで何かの「怪異」とか「不思議なこと」とか、ちょっと恐ろしげなことが起きるんですが、でも、そんなにおどろおどろしいものじゃないんですね。全体に、ふんわりとした幻想みたいなものが漂っている、不思議な味わいの連作集ですよね。
谷原 ぼくも読ませていただいたんですけども、江戸時代から昭和の30年代まで描いているんですが、なんか一つ不思議なものでも、おどろおどろしく見えるものも、それを客観的なところから見たら不思議でも何でもない、ありふれたことだっていうことで、その両方の視点で描いているのが、とても素敵だなと思いました。
松田 そうですね。なんか、一つ一つのお話そのものが幽霊みたいな感じで、摑まえようとするとスルッと逃げていくという感じで……。それでいて、じゃあ、バラバラなお話かというと、その後の話を読むと、前のことがわかったりするという、不思議な構造になっているんですね。だから、いろんな味わい方ができる、ちょっと独特の小説集だなあって思いました。本好き、小説好きの人が読むと、すごく楽しめる作品だと思いますね。
谷原 後半に行けば行くほど、味わいが増していきますからね。不思議です。読まないと、なかなか実感しにくいところがあるんですけども、ぜひ本屋でチェックしてみてください。