松田哲夫の王様のブランチ出版情報ニュース

「王様のブランチ」本コーナー情報 (2009.06.27)

「王様のブランチ」本コーナー(2009.6.27)

「重松清『かあちゃん』」


<総合ランキング>  (日販オープンネットワークWIN調べ・6/15~6/21)
① 村上春樹『1Q84 BOOK1(4月-6月)』(新潮社)
② 村上春樹『1Q84 BOOK2(7月-9月)』(新潮社)
③ 蛇蔵・海野凪子『日本人の知らない日本語』(メディアファクトリー)
④ エリカ・アンギャル『世界一の美女になるダイエット』(幻冬舎)
⑤ 出口宗和『読めそうで読めない間違いやすい漢字』(二見書房)
⑥ 森田まさのり・濱崎達弥・いずみ吉紘『映画ROOKIES一卒業―』(集英社)
⑦ 小林よしのり『ゴーマニズム宣言SPECIAL天皇論』(小学館)
⑧ 出口宗和『読めそうで読めない間違いやすい漢字 2』(二見書房)
⑨ 吉崎達郎『子育てハッピーアドバイス 知っててよかった小児科の巻』(1万年堂出版)
⑩ 西尾維新『偽物語 下』(講談社)
谷原 『1Q84』、今週も1位、2位ですよ。ぼくは2巻を読み終わったんですが、「これは終わっているのか?」、「どうなっていくのか?」っていう感じですよね。
松田 ものすごく大きな謎が残りますよね。
谷原 そうですよね。
松田 3巻があるんじゃないかって思いますよね。
谷原 思いますよね。
松田 村上春樹さんのインタビューを読むと、チラッとそういう感じがありますよね。
谷原 終わってほしくないですよね、あそこで。
松田 まだ読みたいですよね。
谷原 ですよね。


<特集・重松清『かあちゃん』>
◎重松清『かあちゃん』(講談社)



生まれてきた瞬間、いちばんそばにいてくれるひと。――あなたのおかげで、僕はひとりぼっちではありません。昭和の母から平成の母、強い母から優しい母。連鎖するストーリーとともに登場するかあちゃんたちが、胸と涙腺を揺さぶる。母が子どもに教えてくれたこと、子どもが母に伝えたかったことを重松清が初めて描く、母と子の感動の物語。なぜ母と子の物語を描かれたのか? 母と子をモチーフに今回初めて描いた理由、重松さんとお母さんのとの関係、さらに重松さんと家族との関係などを仕事場でインタビューしました。
谷原 優香ちゃん、『かあちゃん』は号泣したということですが、そのポイントは?
優香 はい。重松さんて、泣かせよう泣かせようとしないんですよね。でも、深く響いてくるんですが、自分で泣けるポイントじゃないなと思っているのに、ホロッとやられてしまうんですね。だから電車で読まない方がいい。わたしはこの中でも、28歳の女性教師が出てくるところがあるんですけども、その女性は、学校では本当にしっかりしている方なんですが、子育てと家事に追われていて、本当はものすごく大変で、それをお母さんに頼むんですけども、それも気が引けたりもするんですが、でも、お母さんと他愛のないことでけんかをしてしまったりとかするんです。わたしは歳も近いし、そういうことがあるので、その人にすごく感情移入して、なんでこんなことでけんかしちゃうんだろう、こんなことを言っちゃうんだろうって思うんですけども、お母さんは、それをわかっていて、許してくれるというか、そういう優しさが……。この『かあちゃん』というタイトルが素晴らしくてね、松田さん。
松田 はい。一言で言いますと、この作品は「重松ワールドのさらなる進化と深化。」(*松田の一言*)です。重松さんはこれまでも、心温まる物語をたくさん書いているんですが、今回も、さらに深い感動をぼくたちに届けてくれたっていう感じですね。いろんな母親が登場してくるんですが、難しい問題を抱えて苦しんでいる子どもたちの姿から決して目を逸らさないんですね。そして、本当に必要な時には、そっと支えてくれるっていう、本当に素敵なお母さんばかりで。本当に、深ーい感動をもらったという感じでしたね。
優香 ジーンと染みわたりますよね。「かあちゃん」て呼びたくなりますよね。
谷原 皆さんも、『かあちゃん』で温かい涙を流してみたらいかがでしょうか。電車の中では気をつけて。

「王様のブランチ」本コーナー情報 (2009.06.21)

「王様のブランチ」本コーナー(2009.6.20)

『きりこについて』と「東村アキコ『ママはテンパリスト』」


<総合ランキング> (有隣堂書店全店調べ・6/7~6/13) 
① 村上春樹『1Q84 BOOK1(4月-6月)』(新潮社)
② 村上春樹『1Q84 BOOK2(7月-9月)』(新潮社)
③ 西尾維新『偽物語 下』(講談社)
④ 小林よしのり『ゴーマニズム宣言SPECIAL天皇論』(小学館)
⑤ エリカ・アンギャル『世界一の美女になるダイエット』(幻冬舎)
⑥ よしたに『ぼく、オタリーマン。 4』(中経出版)
⑦ 出口宗和『読めそうで読めない間違いやすい漢字』(二見書房)
⑧ 蛇蔵・海野凪子『日本人の知らない日本語』(メディアファクトリー)
⑨ 横浜市ふるさと歴史財団:編『横浜 歴史と文化 (開港150周年記念)』(有隣堂)
⑩ 出口宗和『読めそうで読めない間違いやすい漢字 2』(二見書房)


<特集・東村アキコ『ママはテンパリスト』>
◎東村アキコ『ママはテンパリスト』1~2(集英社)



「すいません。育児ナメてました」。「コーラス」(毎月28日発売)で、連載当初から爆発的人気を誇るこの作品は、革命的面白さの新世代育児エッセイコミック。漫画連載を多数かかえる作者は、初の育児に毎日テンパりまくり(=あわてて動揺しっぱなし)。そして、ママは授乳を止めさせる珍妙なゴルゴ作戦をたてるかと思えば、イタズラを叱るママに対して、あまりにも予想外すぎる爆笑リアクションを繰り返す息子ごっちゃん。そのデンジャラスな魅力に夢中になるファンが、年齢・性別問わず続出。育児に役立つ情報が一切ないという漫画なのに、読み始めたらやみつきになること間違いなし。今回、ブランチでは東村さんの仕事場を直撃。彼女の爆笑育児エピソードや執筆環境など、漫画家として母としての日常についてうかがいました。


<今週の松田チョイス>
◎西加奈子『きりこについて』(角川書店)



松田 いつも活きのいい物語を届けてくれる西加奈子さんの最新作『きりこについて』です。
N 「きりこはぶすな女の子」。だけど、両親の愛情をいっぱいに浴びて育ったから、自分がぶすだなんて思ってもみなかった。大好きなこうた君から冷たく言われるまでは。体育館の裏で出会った猫「ラムセス2世」は、そんなきりこに美しさの意味、生きる意味を問いかける。西加奈子が描く、心温まる物語『きりこについて』。>
谷原 松田さん、この本の魅力を一言で言うと?
松田 「元気印のおとぎ話」(松田の一言フリップ)です。風変わりなお話なんですが、読むと元気をもらえる、勇気をもらえる、現代のおとぎ話なんですね。主人公のきりこは、団地に住む女の子なんですが、「お姫様」のような気持ちで日々を暮らしています。でも、ある出来事がきっかけとなって、落ち込んで引きこもってしまうんです。彼女に付き従っているのが、人の言葉のわかる賢い猫「ラムセス2世」なんです。その猫の手助けで、きりこは再び元気を取り戻していくんですね。その間に、深刻な問題が次々に出てくるお話なんですが、とってもチャーミングな登場人物がたくさん出てきますし、語り口がとても不思議な語り口なんで、だんだんと、読んでいるぼくたちが幸せな気分になっていく、元気になっていく。とっても素敵なおとぎ話だなあって思いましたね。
谷原 デミちゃんも読んだんだよね。
出水 そうなんです。主人公のきりこちゃんというのが、ちょっと美的な尺度から言うと、容姿というのがあまり恵まれていないんですけども、それを一時期コンプレックスに思うところはあっても、結局は、そういうところにはとらわれないで、自分の中で確固たる信念をもって力強く生きる様が描かれていて、それが「ラムセス2世」という猫の視点で描かれていて、それがちょっと面白いポイントでもあるんですけども。前向きに生きていく姿勢が、私は共感できましたし、世の中の流れにとらわれすぎて、意外に自由になれない自分がいたりするので、自由になっていいんだなあって力をもらえた一冊でした。
谷原 男が読んでもいい感じですかね。
出水 はい、面白いと思いますね。
松田 猫好きには楽しいと思いますし、ぼくは、それほど猫が得意ではないんですが、この「ラムセス2世」は結構好きになりましたね。
谷原 梅雨の時期に爽やかに気持ちにさせてくれる、この1冊、是非読んでみてはいかがでしょうか。

「王様のブランチ」本コーナー情報 (2009.06.14)

「王様のブランチ」本コーナー(2009.6.13)

「太宰治生誕100年記念・特集」


<総合ランキング>  (リブロ池袋本店調べ・6/1~6/7)
① 村上春樹『1Q84 BOOK1(4月‐6月)』(新潮社)
② 村上春樹『1Q84 BOOK2(7月‐9月)』(新潮社)
③ 『忌野清志郎1951-2009』(ロッキングオン社)
④ エリカ・アンギャル『世界一の美女になるダイエット』(幻冬舎)
⑤ 酒巻久『「会社のアカスリ」で利益10倍―本当は儲かる環境経営』(朝日新聞社)
⑥ 『もっとからだにおいしい野菜の便利帳』(高橋書店)
⑦ 君島十和子『ザ・十和子本-43歳。女のキレイは止まらない』(集英社)
⑧ 蛇蔵・海野凪子『日本人の知らない日本語』(メディアファクトリー)
⑨ 小林よしのり『ゴーマニズム宣言SPECIAL天皇論』(小学館)
⑩ 山崎豊子『運命の人 (三)』(文藝春秋)


<太宰治生誕100年記念・特集>
◎齋藤孝『若いうちに読みたい太宰治』(筑摩書房)



今年で生誕100年を迎えた太宰治。未だに若い人を中心に多くの読者に読み続けられています。今回は、太宰治のゆかりの地・三鷹にある太宰治文学サロンで、教育学者の齋藤孝さんにお話を伺いました。齋藤さんは、最近『若いうちに読みたい太宰治』(ちくまプリマー新書)を刊行したばかりです。「自意識との葛藤や社会との距離感で心が苛まれる人間の様子を、豊かに表現した太宰治」と語る齋藤さんに、いつまでも輝きを失わない太宰治文学の魅力を紹介していただきました。
<取り上げる作品>
*「新樹の言葉」(生きる元気をもらいたい時に……)
*「ヴィヨンの妻」(恋に悩んだ時に……)
*「トカトントン」(気持ちが萎えそうな時に……)


<今週の松田チョイス・番外編>
◎『ちくま日本文学 太宰治』(筑摩書房)



優香 松田さんから見た太宰さんの魅力は何ですか?
松田 太宰治を一言で言いますと「物語の天才」(松田の一言・フリップ)だと思います。いま、爆発的に売れている村上春樹さんも天才的な物語作家ですが、太宰さんの場合には文章が素晴らしいですね。読みやすく心に響いてくる文章ですし、それに、お話の作り方がものずごく巧みなんですね。僕はいろんな短編が好きなんですが、齋藤さんも取り上げていた「トカトントン」という作品。擬音、金槌の音がタイトルというのもものすごくユニークです。何かに熱中しようとすると、トカトントンという音が聞こえてきてしらけてしまうんです。ある意味では、とことん絶望的なお話なんですが、あっけらかんと明るいんですよね。ついつい笑ってしまうくらいで。「明るい絶望」みたいな物語を楽しく書けちゃうというところが、太宰が天才であるゆえんかなあと思いますね。
優香 木本さんも読まれたんですよね?
木本 思ってた以上に読みやすくて面白かったんですけど。本当に死んじゃいたいと思ったときでもしらけてしまうような絶望的な状況なんですが、これは、手紙が届くという物語なんですよ、作家さんに。太宰治さんに送られてきた手紙という感覚なんですよ。最後に、手紙が終わったところに、その作家さんの感想が「気取った悩みですね」というんですよ。それが清々しくて、そんな戦後の絶望的に時代に、あっ「ルーキーズ」があったらよかったのに、と思いましたね。
松田 本当に素晴らしい短編がたくさんあるんですが、もう一つ、「満願」というたった3ページの作品があるんですが、こんなに短い中に豊かなイメージと味わい深いドラマが盛り込まれているんです。世界中、作家はたくさんいますが、こういう作品を書ける人って滅多にいないと思いますね。
谷原 松田さんのペンもいいですよね。
松田 太宰ペン(と、胸に挿した「太宰治ボールペン」を見せる)。
出水 ちなみに、松田さんオススメの短編は、こちらの『ちくま日本文学 太宰治』に収録されています。皆さんも、是非、この機会に太宰治の世界に触れてみてはいかがでしょうか。

「王様のブランチ」本コーナー情報 (2009.06.07)

「王様のブランチ」本コーナー(2009.6.6)

『1Q84』と「『世界一の美女になるダイエット』」


<総合ランキング> (文教堂書店全店調べ・5/25~5/31)
① 村上春樹『1Q84 1』(新潮社)
② 村上春樹『1Q84 2』(新潮社)
③ 蛇蔵『日本人の知らない日本語』(メディアファクトリー)
④ 小松成美『YOSHIKI/佳樹』(角川書店)
⑤ 山崎豊子『運命の人 3』(文藝春秋)
⑥ エリカ・アンギャル『世界一の美女になるダイエット』(幻冬舎)
⑦ 齋藤真嗣『体温をあげると健康になる』(サンマーク出版)
⑧ 小宮一慶『どんな時代もサバイバルする会社の「社長力」養成講座』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
⑨ 湊かなえ『告白』(双葉社)
⑩ 出口宗和『読めそうで読めない間違いやすい漢字』(二見書房)


<特集・『世界一の美女になるダイエット』
◎エリカ・アンギャル『世界一の美女になるダイエット』(幻冬舎)



イネス・リグロンを支え、知花くらら、森理世を内側から美しくしたミス・ユニバース・ジャパン公式栄養コンサルタントがはじめて明かす真実のダイエット法。ダイエットとは、賢く食べること。何を食べて、何を食べないか、美しくなる食べ方を紹介します。1週間スペシャルダイエットプログラムや、美女になる油のとり方も収録。今回、著者であるエリカさんのお宅に訪問。美女になるための食生活を指南して頂くためリポーターの食生活をチェック。さらに、エリカさんの美の秘訣を探るべく自宅をチェック。常備グッズやライフスタイルに迫りました。


<今週の松田チョイス>
◎村上春樹『1Q84』1・2(新潮社)



谷原 お待たせしました。今週の「松チョイ」は、さきほどもちょっと紹介した村上春樹さんの『1Q84』ですよね、松田さん。
松田 はい。ノーベル文学賞に一番近い日本人作家といわれています村上春樹さん。世界が大注目の最新長編小説です。
N 夜の都会から始まる物語『アフターダーク』から5年、村上春樹さんの最新長編は、2巻で1000ページを超える大作。今回、村上さんの希望により、発売まで内容に関する情報は一切伏せられていました。それも読者の期待感を高め、売り切れの書店が続出。純文学にもかかわらず、発売1週間で、なんと96万部。いまや『1Q84』は社会現象に。あなたは読まずにいられますか?>
松田 一言で言いますと、「*松田の一言*スリリングな謎と冒険の物語」ですね。ほんと、めっちゃ面白いですね。1000ページを超える大作ですが、グイグイ引き込まれて最後まで読み終わりました。この物語には二人の主人公がいて、スポーツインストラクターの女性と、小説家志望の予備校教師の男性で、この二人の物語が交互に出てくるんですね。それで、謎が次々と出てきますし、いろんな危機も迫ってきます。謎の美少女も出てくるし、怪しげな人物も次々に出てくるし、本当に冒険でハラハラドキドキするという物語なんです。
木本 ほんまに楽しそうにしゃべってはりますね。
松田 本当はねえ、ここから、具体的に楽しいところを言いたいんですが、まだ読んでいない人のために、ここから先は黙っていようと思うんですが。さすがは世界の村上春樹さんで、スケールのものすごく大きなミステリー&ファンタジーを読ませてもらったという、本当に楽しいです。
谷原 ぼくはまだ1巻しか読んでないんですけども。村上さんは大好きで、ほとんど読んでいるんですが、いままでの村上さんの主人公って、キャラクターの色が希薄で、それだけにその主人公に没入しやすかったんですが、今回、主人公のキャラクターに肉付けがされていて、リアリティがあるんですよ。で、世界観自体も現実的な世界観が続いていて、なんか今までと違うなあと思っていたら、気付いてみたらぼくは、村上さんの異世界というか、現実とちょっと位相がずれた世界というか、そこに没入している自分を見つけたときに、ゾゾッとしましたね。これは、さすがだな、5年間待ってよかったなと本当に思いました。
木本 これは1984年が舞台なんですよね。Qというのは9とかかっているんですね。
松田 そうなんですが、ちょっとズレた違う世界に……。これ以上は言えないですね。
谷原 言えないですね。
松田 なかなか買えない人もいるので。
谷原 来週の初めには、ほとんどの本屋さんに並ぶようになっているらしいので、是非是非皆さん、買ってください。


<BOOKニュース>
◎松田哲夫『「王様のブランチ」のブックガイド200』(小学館)



N 「王様のブランチ」第1回からのレギュラー出演者、松田哲夫さん。13年間にわたって、泣いたり笑ったり、800冊近くの本を紹介してきました。今回、その中から200冊を厳選した本のガイド『「王様のブランチ」のブックガイド200』を刊行。「ブランチ」ブックコーナーの裏側もちょこっと紹介しつつ、松田さんが今まで紹介した本を、「泣いた」「笑った」「怖かった」「ドキドキした」など、9つのジャンルに分け、ベスト10形式で紹介。これから本を読み始めたい方、何を読んだらいいのかわからない方にオススメしたいラインアップになっています。現在、都内の大型書店などで、このガイド本で紹介した本を集めたブックフェアを展開中です。是非、足を運んでみてください。あなたの人生を変える1冊との出会いがあるかもしれません。
優香 さまざまなジャンルがあって、松田さんが紹介していただく本は、本当に面白い本ばかりなんですよ。
松田 ありがとうございます。ぼくも、この番組のおかげで、いろんな本に出会えて幸せだなあと思うんですね。ですから、皆さんが本を読むときのガイドにしてくださればいいなと、こういう本をまとめたので、是非、参考にしていただければと思います。
谷原 言ってみれば、いわば本の世界の、『ミシュランガイド』のようなものですよね。

「王様のブランチ」本コーナー情報 (2009.05.31)

「王様のブランチ」本コーナー(2009.5.30)

『くまちゃん』と「ビートたけし『漫才』」


<総合ランキング>  (有隣堂書店全店調べ・5/17~5/23)
① エリカ・アンギャル『世界一の美女になるダイエット』(幻冬舎)
② 小宮一慶『どんな時代もサバイバルする会社の「社長力」養成講座』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
③ 蛇蔵『日本人の知らない日本語』(メディアファクトリー)
④ 湊かなえ『告白』(双葉社)
⑤ 川島令三『<図説>日本の鉄道東海道ライン第3巻』(講談社)
⑥ 國貞克則『財務3表一体分析法』(朝日新聞出版)
⑦ 山崎豊子『運命の人 1』(文藝春秋)
⑧ 出口宗和『読めそうで読めない間違いやすい漢字』(二見書房)
⑨ 宮台真司『日本の難点』(幻冬舎)
⑩ 宮部みゆき『名もなき毒』(光文社)


<特集・ビートたけし『漫才』>
◎ビートたけし『漫才』(新潮社)



ビートたけしさんの最新刊『漫才』。今回は、私(松田哲夫)と出水麻衣アナでビートたけしさんにインタビューしました。本は、結成35年ツービート復活!爆笑・元祖毒ガス漫才、新作完全収録しており、テレビでは絶対放映出来ない内容。「今の漫才しか知らない人にとってはまことに過激に思えるかもしれないし、昔のツービートを知っている人なら懐かしく思うかもしれない」とおっしゃるビートたけしさんに「漫才」の魅力、ツービート時代のたけしさんの衝撃(爆笑)エピソード、今と昔の「漫才」の違いなど、楽しいお話を伺いました。
<特集VTRとその前後に話した私のコメント+α>
松田 いやあ、緊張しましたが、話し始めると、まっすぐに言葉のやりとりをしてくださるので、とっても楽しかったですね。厳しさと優しさ、そしてお茶目なところもある、スケールの大きい人ですね。そういうたけしさんの書いた『漫才』という本は、30数年前のツービートがタイムマシンに乗ってやってきて、今の舞台で、ふんだんに毒舌をまぶした笑いを披露してくれた、そんな感じです。とことん下品で、バカバカしくて、ふんだんに笑える本ですね。


<今週の松田チョイス>
◎角田光代『くまちゃん』(新潮社)



松田 角田光代さんの最新作、面白くてしみじみ考えさせられる恋愛小説『くまちゃん』です。
N お花見の飲み会で苑子はくまちゃんに出会った。食事をし、デートを重ねる日々。それがある日、終わりを告げた。「10人いれば10通りの恋があり、10通りの失恋がある」。角田光代最新作、仕事に、恋に、真っ直ぐ生きるあなたのための恋愛小説。「四回ふられても、私はまた、恋をした」。>
谷原 松田さん、この本の魅力というのは。
松田 一言で言うとこうです。「ふられ話に花が咲く」。この中には、7編の軽妙なタッチの恋物語が描かれているんですが、最初の5編は、前の話で「ふった」人が、次の話で別の人に「ふられる」という、ふってふられて、恋の輪が繋がっていくという構成になっているんですね。そこが絶妙に面白いですね。というのは、同じ人でも、恋する相手によって、性質や生活態度などが微妙に変わっていくんですね。そのへんを絶妙に描き分けているところが角田さんのうまいところだなあと思いました。
優香 私も読みましたけれども、松田さんがおっしゃったように、恋愛って、その時によって違うじゃないですか。前の時は、もっと消極的だったのに、相手によって積極的になってみたりとか、そういうのが面白いですよね。いろんな自分を発見できるというか。なんだか、自分がなくなってしまって、どうしようとか思うんだけど、それがいいんだって思えました。ああ、こんな恋愛でいいんだ、いろんな恋のかたちがあって。
松田 それで、最後の2編で思いがけない展開があって、そこがまた深いんですね。全体に軽妙なタッチなんだけど、実は深い恋愛小説だということが、最後まで読むとわかります。さすがは角田さんですね。
優香 是非、デミちゃんに読んでもらいたいですね。
出水 是非、読みたい。恋をしたい。

「王様のブランチ」本コーナー情報 (2009.05.23)

「王様のブランチ」本コーナー(2009.5.23)

「道尾秀介『龍神の雨』」


<総合ランキング>  (有隣堂書店全店調べ・5/10~5/16)
① エリカ・アンギャル『世界一の美女になるダイエット』(幻冬舎)
② 国分太一・ケンタロウ『太一×ケンタロウ 男子ごはんの本』(M.Co.)
③ 小宮一慶『どんな時代もサバイバルする会社の「社長力」養成講座』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
④ 山崎豊子『運命の人 1』(文藝春秋)
⑤ 出口宗和『読めそうで読めない間違いやすい漢字』(二見書房)
⑥ 蛇蔵『日本人の知らない日本語』(メディアファクトリー)
⑦ 山崎豊子『運命の人 2』(文藝春秋)
⑧ 『もっとからだにおいしい野菜の便利帳』(高橋書店)
⑨ 中山美穂『なぜならやさしいまちがあったから』(集英社)
⑩ 湊かなえ『告白』(双葉社)


<特集・道尾秀介『龍神の雨』>
◎道尾秀介『龍神の雨』(新潮社)



降りしきる雨よ、願わくば、僕らの罪を洗い流しておくれ――。人は、意図せずに犯した罪に対し、どこまで償いを負わねばならないのだろう。暗転する事件の果て、二組の子供達がたどり着いた、慟哭と贖罪の真実とは? 現代版『罪と罰』とも言うべき贖罪の物語。今回、独特の世界観をもつ作家として、大きな注目を集めている道尾秀介を特集。道尾さんの仕事場にて、新作『龍神の雨』について、作家・道尾秀介についてインタビューしました。道尾さんの執筆方法や趣味(ギターが仕事場に4本ある)、過去にバンドをやっていたり営業をやっていたりした時の話、作家・道尾秀介が誕生するきっかけ、作家になろうと思った理由などを伺いました。
(道尾秀介 2004年、『背の眼』で第5回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞しデビュー。2006年、『向日葵の咲かない夏』で第6回本格ミステリ大賞候補。同年、『流れ星のつくり方』で第59回日本推理作家協会賞短編部門候補。2007年、『シャドウ』で第7回本格ミステリ大賞受賞。2009年、『カラスの親指』で第140回直木賞候補、第62回日本推理作家協会賞受賞。「このミステリーがすごい!2009年版」作家別投票第1位。)


谷原 松田さん、道尾さんの新作『龍神の雨』の「松田の一言」は……。
松田 こうです。(フリップを出して)「土砂降りの雨・子供たちの哀しみ」。
この物語は、あらゆる場面で烈しい雨が降っているんですね。道尾さんの非常に優れた描写力で描かれているんで、読んでいると、ぼくたちも降り注ぐ雨を浴びているような感じがしてきます。この雨が、実は、子供たちを追い詰めていく、歪んだ家庭環境のようなものを象徴しているんです。そして、お話は最悪の方向に向かっていくんですね。人間の醜い部分まで踏み込んでいくお話なんですけども、終始、どこかに清潔感があるんですね。だからこそ、より一層、子供たちの哀しみが切々とぼくたちの胸に迫ってくるんですね。本当に迫力のある物語ですね。

「王様のブランチ」本コーナー情報 (2009.05.17)

「王様のブランチ」本コーナー(2009.5.16)

『遠くの声に耳を澄ませて』と「茂木健一郎vs竹内一郎」


<総合ランキング>  (三省堂書店全店調べ・5/4~5/10)
① 出口宗和『読めそうで読めない間違いやすい漢字』(二見書房)
② 山崎豊子『運命の人 1』(文藝春秋)
③ 東野圭吾『パラドックス13』(毎日新聞社)
④ 湊かなえ『告白』(双葉社)
⑤ 副島隆彦『日米「振り込め詐欺」大恐慌』(徳間書店)
⑥ 山崎豊子『運命の人 2』(文藝春秋)
⑦ 蛇蔵『日本人の知らない日本語』(メディアファクトリー)
⑧ 国分太一・ケンタロウ『太一×ケンタロウ 男子ごはんの本』(M.Co.)
⑨ 真山仁『レッドゾーン 上』(講談社)
⑩ エリカ・アンギャル『世界一の美女になるダイエット』(幻冬舎)


<特集・茂木健一郎vs竹内一郎 対談>
◎茂木健一郎『化粧する脳』(集英社)



◎竹内一郎『見た目で選ばれる人』(講談社)



今回は、『化粧する脳』(集英社)の著者茂木健一郎さんと『見た目で選ばれる人』(講談社)の著者竹内一郎さんに“見た目の重要性”そして「見た目」でモテる方法について対談をしていただきます。“伝えることよりリアクション”とか“化粧することの隠された意味”とか“見た目を磨くレッスン”など、必見の知識が満載でした。
(茂木健一郎 1962年東京都生れ。脳科学者。『脳とクオリア』、『「脳」整理法』、『ひらめき脳』など著書・訳書が多数あり、軒並みベストセラーになっている。またTV番組などでもお馴染みである。)
(竹内一郎 1956年福岡県生まれ。宝塚造形芸術大学教授。『戯曲 星に願いを』で、文化庁舞台芸術創作奨励賞佳作、『哲也 雀聖と呼ばれた男』で講談社漫画賞を受賞。『人は見た目が9割』がミリオンセラーに。)


<今週の松田チョイス>
◎宮下奈都『遠くの声に耳を澄ませて』(新潮社)



松田 ていねいに物語を紡ぎ出す期待の新人・宮下奈都さんの『遠くの声に耳を澄ませて』です。
N 「ほんの少し心をほどけば、私たちはいつだってどこにだって行ける。」 OL、母親、大学生、看護婦。毎日を頑張って生きる人たちのもとに、突然届く「声」。疎遠になってしまった人たちからのメッセージや思い出。それが、彼女たちの日常に小さな変化をもたらす。少し前に進む勇気をくれる12の物語。>
谷原 松田さん、この本は?
松田 一言で言いますと、こういう本です。「貴女(あなた)の小さな応援団!」です。十二の短編小説が収められているんですが、そのほとんどが女性が主人公なんですね。彼女たちは、気を張って、頑張って生きているんです。でも、なにかのきっかけで、立ち止まってしまうことがあって、そういう時に、どこか「遠く」からの「声」が聞こえてくる。たとえば、地球の裏側のラジオ放送だったり、南の島からの電話だったり、旅先からの絵葉書だったり、身近な人のちょっとした一言だったり……そういうささやくような声が、彼女たちのこわばりとかこだわりを優しく解きほぐしてくれて、そこから新たな一歩を踏み出すためのささやかな勇気をくれるんですね。そういう、いい話がぎっしり詰まっている素敵な一冊ですね。
谷原 そういう音に耳を澄ますということですね。
松田 そうですね。
谷原 えみちゃんも読んだんですか?
はしの はい、読みました。私が一番印象的だった短編はですね、ちょっと人間関係とかで気持ちがモヤモヤしている女性が、ある不思議なお医者さんのところに行って、そのお医者さんが「流しなさい」って言うんですよ。言葉の処方箋みたいなのを出したんですよ。で、私も何かあると、「何でだろう」とかクヨクヨしたり考えちゃったり、堂々巡りしちゃうんですよ。でも、「流す」ってマイナスの響きにも聞こえるけども、そこを潔く流すというのも、何かいい選択肢の一つではあるんだなということを、その短編を読んで思いましたね。
松田 そうですね。何か、ちょっとインチキ臭いお医者なんだけど、その言葉が自分にとって励ましになるというか、勇気を与えてくれるっていう感じなんですね。
谷原 なるほど、みなさんも小さな応援団の声に耳を澄ませてみてはいかがですか。

「王様のブランチ」本コーナー情報 (2009.05.09)

「王様のブランチ」本コーナー(2009.5.9)

『学校で愛するということ』と「西川美和『きのうの神さま』」


<総合ランキング>   (有隣堂書店全店調べ・4/26~5/2)
① 山崎豊子『運命の人 1』(文藝春秋)
② 東野圭吾『パラドックス13』(毎日新聞社)
③ 国分太一・ケンタロウ『太一×ケンタロウ 男子ごはんの本』(M.Co.)
④ 小宮一慶『どんな時代もサバイバルする会社の「社長力」養成講座』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
⑤ くるねこ大和『おばさんとトメ』(幻冬舎)
⑥ 副島隆彦『日米「振り込め詐欺」大恐慌』(徳間書店)
⑦ 湊かなえ『告白』(双葉社)
⑧ 北方謙三『楊令伝 9』(集英社)
⑨ 山崎豊子『運命の人 2』(文藝春秋)
⑩ 勝間和代『断る力』(文藝春秋)


<特集・西川美和『きのうの神さま』>
◎西川美和『きのうの神さま』(ポプラ社)



映画監督西川美和さんは、06年公開の映画「ゆれる」で第61回毎日映画コンクール・日本映画大賞をはじめ数々の映画賞を受賞、世界的な評価も獲得しました。また自らが小説化した『ゆれる』が第20回三島由紀夫賞候補になりました。その西川さんが、3年ぶりの書き下ろし小説を発表しました。日常に潜む人間の本性を渾身の筆致であぶりだした短編集です。この作品は、笑福亭鶴瓶、瑛太らが出演、西川さんがメガホンをとった映画「ディア・ドクター」から生まれた、もうひとつの物語です。今回、僻地医療の小説を執筆し映画を製作する際に、西川さんが取材した西伊豆の診療所を訪問し、診療所の先生や看護師さんなどにお話を伺い、往診にも同行させて頂きました。インタビューでは、僻地医療をテーマにした映画と小説のことをお伺いしました。
谷原 松田さんは、西川さんの小説のどんなところに魅力を感じますか?
松田 西川さんて、映画と小説の表現の違いがよく分かってる人なんですね。だから、言葉でしか表現できない心の揺らぎとか気配とか匂いとかを、すごく効果的に使ってまして。ところが、それを読んでいますと、ぼくたちの頭の中に鮮明な映像が浮かんでくるんですよね。すごい才能の人だと思いますね。


<今週の松田チョイス>
◎中森明夫『学校で愛するということ』(角川書店)



松田 いまや世界でも知られている「おたく」という言葉の生みの親である中森明夫さんが21年ぶりに書いた小説『学校で愛するということ』です。
 ねぇ、君。学校は好きかい? 希望第一高等学校、通称「キボコウ」で月一回の小論文授業が。課題は「学校で愛するということ」。学園祭、部活、生徒会……さまざまな出来事を通して、学校で過ごす日々のことを読者に問いかける。サブカル系のビッグネーム・中森明夫の学園恋愛小説。>
谷原 松田さん、この本の魅力は?
松田 (フリップを出し)一言で言いますと「なつかしの胸キュン感覚!」。
谷原 「胸キュン」懐かしいですねえ。
松田 みんなが青春のひとときを過ごす「学校」なんですけども、やっぱりいろんな意味で、胸をときめかせてくれる場所だったなあっていう気がするんですね。このお話の中では、学校の屋上とか、校庭とか、教室とか、体育館とか……いろんな場所でいろんな出来事が起きて、それがパノラマのようにちりばめられていくんです。そこで、甘い思い出も、楽しい思い出もあるし、苦い思い出も、つらい思い出もあるんです。でも、そういうことも含めて、やっぱり学校って特別な場所だったし、特別な時間だったということが、過ぎ去って、振り返ってみると、しみじみと感じられる。そういうことをこの物語を読んで思い出しましたね。
谷原 思い出すと甘酸っぱい時ってありますよね。
優香 学校って皆さん行くし、それぞれに思い出があると思うんですけど。私は、中高と女子校だったんで、あこがれる先輩が女子だったんですね。私、フェンシング部だったんですけども、高校生の先輩が格好良くて、その先輩のようになりたくて、「書いてください」って透明な下敷きにメッセージを書いてもらったりとか、お手紙のやりとりをやらせてもらったりとか、そういうことを思い出したりとかしましたね。

「王様のブランチ」本コーナー情報 (2009.05.04)

「王様のブランチ」本コーナー(2009.5.2)

『ちはやふる』『とめはねっ!』と「手塚治虫展」


<特集*GWはここへ行こう!>
◎「生誕80周年記念特別展 手塚治虫展」(江戸東京博物館)



手塚治虫さんは、日本における「ストーリーマンガ」のパイオニアとして、また「テレビアニメーション」の創始者として昭和の時代に活躍し、その生涯においてマンガ作品約 700 タイトル(原稿枚数約 15 万枚)、アニメ作品約 70 タイトルという膨大な作品を産み出しました。今回の展覧会には、直筆のマンガ原稿やアニメーションの資料、愛用品などが数多く展示されています。番組では、わたし(松田哲夫)が斉藤慶太さん、森山愛子さんを、手塚ワールドに案内しました。「手塚さんが初めてマンガを描いたのは何歳のとき?」「ペンネームの由来は?」など折々に“手塚治虫クイズ”を出しながら天才の足跡を追いました。


<今週の松田チョイスHYPER*GWはこれを読もう!>
優香 今回は、マッチョイもスペシャル! ということで、GWにオススメのコミックを2作品選んでくれたんですよね?
松田 いま、少女漫画でも青年漫画でも、人気の「文化系熱血コミック」というのがあるんですが、その中から2作品を取り上げさせていただきました。
◎末次由紀『ちはやふる』①~④(講談社)



<先日、「マンガ大賞」を受賞した『ちはやふる』。夢は自分の姉が有名モデルになること、という地味な小学生・千早。そんな彼女が競技かるたのチャンピオン・新と出会い、本当の自分の夢に目覚めていく。かるたでつながった友情を軸に描かれる、鮮烈青春ストーリー。読者も思わず熱くなる、主人公たちと競技カルタを戦っているような臨場感が魅力。実際にカルタの練習場に行き、担当編集者の坪田さんにインタビューをしました。かつては競技かるた・大学2年生の部で全国準優勝したこともあるほどの実力を持つ坪田さん。その実力を見せてくれると共に、競技かるたが、マンガの題材として、いかに面白いかを語ってくれました。>


◎河合克敏『とめはねっ!』①~④(小学館)



<書道に賭ける高校生を描いた『とめはねっ!』。上級生たちに脅されて書道部に入部することになった気弱な帰国子女・大江縁と、やはりだまされて入部した柔道の天才・望月結希。しかし、そこには思いもかけない奥深さと青春を賭ける切磋琢磨があった。でも、なぜいま書道なのか? 作者の河合さんが直筆メッセージをくれました。「ある日、たまたま高校の書道部を取り上げたドキュメンタリー番組をTVで観て、書道に打ち込んでいる女の子たちがカワイイなあと思ったことがキッカケです。」いま、高校部活動の一環として広まり始めた書道パフォーマンス、その要素を取り入れた『とめはねっ!』。思いもかけない面白さに、あなたもヒートアップするはずです。>


松田 両作品に共通するキーワードは二つあります。まずは「スポ根!!!」です。文化系のクラブ活動なのに、「友情・努力・勝利」というスポ根のお得意のテーマが満載されています。それだけじゃなくて、「ラブコメもの」の面白さもあるんですね。そして、二番目の「ウンチク満載!」というのは、書道とか百人一首とか、日本の伝統文化に関わるウンチクが盛りだくさんに入っていて、それも楽しめるんですね。谷原さんは『ちはやふる』をお読みになって……
谷原 はい、出ちゃいました(とフリップ「今年のNO.1!!」を示して)。百人一首とか、小さい頃、家とかでやるじゃないですか、お父さんやお母さんと。でも、『ちはやふる』の中で扱っているやりかたは、原平合戦といって、25枚、25枚で、相手と競っていくんですけども、5人で団体競技でやっていくんですよ。そのキャラクターがとても素晴らしくて、例えば、取ることだけに情熱を燃やしている子もいれば、もともとカルタが好きになったきっかけが、お祖父さんが名人で、そのお祖父さんの影響を受けたりだったり、初めて自分が得意なものを見つけたりだったり、もしくは歌そのものの世界観にひかれて打ち込んでいる子がいたりと、それぞれの切り口の面白さでグイグイ引き込まれていくんですよね、松田さん。
松田 『ちはやふる』も面白いんですが、『とめはねっ!』も書道という地味なものをテーマにしていながら、面白いキャラクターが次々出てくるんですね。コミカルで熱いお話なんで、谷原さんも是非読まれるといいと思いますね。
谷原 そうですね、「NO.1」という前に、読まなきゃいけないですね。 

「王様のブランチ」本コーナー情報 (2009.04.26)

「王様のブランチ」本コーナー(2009.4.25)

『パラドックス13』と「浅田政志『浅田家』」


<総合ランキング>  (三省堂書店全店調べ・4/13~4/19)
① 中村克『最後のパレード』(サンクチュアリ出版)
② 湊かなえ『告白』(双葉社)
③ 『LESPORTSAC 35th Anniversary Special!! Style1 ビューティガール』(宝島社)
④ 東野圭吾『パラドックス13』(毎日新聞社)
⑤ 『LESPORTSAC 35th Anniversary Special!! Style2 キャンディドッツ』(宝島社)
⑥ 『LESPORTSAC 35th Anniversary Special!! Style3 ボヤージュ』(宝島社)
⑦ 海堂尊『極北クレイマー』(朝日新聞出版)
⑧ 蛇蔵『日本人の知らない日本語』(メディアファクトリー)
⑨ 稲盛和夫『働き方』(三笠書房)
⑩ 梨花『Love myself・梨花』(宝島社)


<特集・浅田政志『浅田家』>
◎浅田政志『浅田家』(赤々舎)



父、母、兄、そして写真家本人の4人家族が、ラーメン屋や消防士や極道などに扮する『浅田家』。すべて、地元の三重県でいろいろな人の協力を得ながら撮影した写真は、「演出」の見事さ以上に、家族のかかわりがもたらす「記念写真」の力にあらためて驚かされる。浅田家の記念写真、それは自ら記念をつくっていく記念写真である。全員の休みを合わせ、場所を借り服を決め、シーンを皆で考え、タイマーのスイッチを押す。待っていてもなかなか来ない記念日を、写真を通じてつくり上げていく。そのとき写真は家族が集まるきっかけであり、記録でもある。この写真集『浅田家』が新人写真家に贈られる第34回木村伊兵衛賞を受賞。今回、写真家・浅田さんの撮影現場に密着しました。


<今週の松田チョイス>
◎東野圭吾『パラドックス13』(毎日新聞社)



松田 東野圭吾さん、ファン待望の最新作『パラドックス13』です。
N 運命の13時13分、突如、世界から人類が消えた。天変地異に襲われ、崩壊する東京。残された13人の中で善悪の価値観が壊れていく。大人気ミステリー作家東野圭吾が描く、究極のサバイバル・ストーリー『パラドックス13』。「世界が変われば、人殺しが善になることもある。」(東野圭吾)>
谷原 松田さん、こちらの作品を読み解くキーワードというのは?
松田 こちらです。(フリップに「サバイバル」「究極の謎解き」)
谷原 「サバイバル」ってどういうことですか。
松田 これまで、東野さんって、人間心理をきめ細かく描いたミステリーが多かったんですが、この作品では、壮大なサバイバル劇が展開されます。東京にとり残された13人。彼らに、想像を絶する天変地異が襲いかかるっていうお話なんです。そういう状況になると、善悪の基準とかですね、これまでの約束事が全部無効になっているということに、彼らは深い衝撃を受けるんです。
谷原 東野さんんというと、仕掛けの妙といいますか、とても筋立てがうまいと思うんですが、その中で「究極の謎解き」というのはすごいですね。
松田 本当に絶体絶命という状況になったときに、なんで、こんな過酷な世界が出現したのかという謎が解けるんですね。そして、驚くべきクライマックス・シーンががやってくる。本当にドキドキしますね。
谷原 一筋縄ではいかないんでしょうね、東野さんは。
優香 はい。なんかアピールがすごいみたいなんですが。
木本(「TKO」の一人。目の前に東野さんの本を積み上げて) ぼくは「東野圭吾依存症」なんです。大好きで、ほとんど全部作品を読んでいるんで。今回のもバッチシ読んでいるんですけども、感想とか求めません? ぼくもキーワードを書いてみました。「13人の共通点」。これはね、この東京に13人だけ生き残るんですよ。小さい子どもとか赤ちゃんとか青年とか、いろんな世代のいろんな人が出てくるんですけども、全部、ある共通点が浮かび上がってくるんですよ。
優香 何の共通点ですか?
木本 ゆうたらおもろないでしょう。そこを読むんやろ。
松田 そこに、謎解きがからむんですよね。
木本 東野さんの作品って90点以上あるんですが、どれも面白いんですが、今回は図抜けています。

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