松田哲夫の王様のブランチ出版情報ニュース

「王様のブランチ」本コーナー情報 (2009.04.18)

「王様のブランチ」本のコーナー(2009.4.18)

『恋文の技術』と「宝島社ブランドムック」


<総合ランキング>  (日販調べ・4/6~4/12)
① 空知英秋・大崎知仁『銀魂 3年Z組銀八先生 4』(集英社)
② 湊かなえ『告白』(双葉社)
③ 中村克『最後のパレード』(サンクチュアリ出版)
④ 浜崎あゆみ『Ayuのデジデジ日記』(講談社)
⑤ 海堂尊『極北クレイマー』(朝日新聞出版)
⑥ 渡辺淳一『欲情の作法』(幻冬舎)
⑦ 菅野和夫『ポケット六法』(有斐閣)
⑧ 梨花『Love myself・梨花』(宝島社)
⑨ 加藤久仁生・平田研也『つみきのいえ』(白泉社)
⑩ 出口宗和『読めそうで読めない間違いやすい漢字』(二見書房)


<特集・宝島社ブランドムック>
◎『キャス・キッドソンへようこそ』1~2(宝島社)
◎『Cher 2009 Spring/Summer Collection』(宝島社)
◎『LESPORTSAC 35th Anniversary Special!!』1~3(宝島社)



成熟した消費社会である日本に、特定の“ブランド信仰”はもはやないに等しい。しかし、ブランド好きのDNAは、幅広い年代に受け継がれている。そんな人達の嗜好を巧みに掬い上げているのが、宝島社のブランドムック。国内外のブランドと提携し、デザイナーや新商品などをオールカラーで紹介するムックに、ロゴ付きの雑貨(バッグ、Tシャツなど)をセットした。価格はそのアイテムによって1000円~3000円台の幅があるが、中心は1000円台前半。大人気の理由は、1冊にそのブランドの最新情報やコンセプトが詰め込まれ、しかもアイテムつきで1000円台で入手できるという「お得感」。不況の今、1000円台で好きなブランドアイテムをもつ夢を叶えるブランドムックに、ますます期待が寄せられる。4月中旬発売のバッグブランド「LeSportsac」のブランドムック制作過程に密着。編集者やブランド担当にインタビュー。ブランドムック本の魅力などを伺いました。


<今週の松田チョイス>
◎森見登美彦『恋文の技術』(ポプラ社)



松田 森見登美彦さんの奇想天外な面白小説、『恋文の技術』です。
N 地方に飛ばされた、うだつの上がらない大学院生。退屈を紛らわすために考えたのが「文通武者修業」。かつての仲間たちに手紙を書きまくる。友人の恋の相談に乗り、妹に説教を垂れ。でも本当に気持ちを伝えたい人には、思うような手紙が書けなくて。森見節満載、ほろにが可笑しい新・書簡体小説。>
松田 今の時代、携帯やメールが全盛で、「手紙」ってあまり書かなくなっていると思うんですね。こういう時代に、あえて全編「手紙」だけの小説を書くというところが、森見さんの面白いところで。手紙を書く人は一人でも、送る相手によって、文体とか表現とか内容とか変わってきますよね。そのへんの微妙なニュアンスを楽しんでいると、お話は、だんだんあやしげな雰囲気を漂よわせてくるんですね。最後には、アッと驚く仕掛けが待っているんですが。終始、森見さんの愉快なたくらみにのせられながら楽しんでいける、風変わりな恋愛小説でしたね。
谷原 デミちゃんも読んだんだよね。
出水 読ませてもらいました。なかなか、人の手紙って見ることないじゃないですか。だから、人のプライベートな部分を覗いているような、ドキドキするような感じもあるんですけども。やはり、送る相手によって、文体とか言葉の使い方が変わっていくので、人間のもつ多面性のようなものを垣間見ることができるようで。私も、アメリカに住んでいたときに、祖父母に手紙を送っていたんですが、実は、自分の意外な一面を、その手紙を通じて見られちゃったんじゃないかと、いま思い返して、恥ずかしくなっちゃったんですが。お手紙っていいなあ、書きたいなあと思う一冊でした。
谷原 宛てた人以外に読まれると恥ずかしいですね。さあ、皆さんも手紙の魅力、再認識してみたらいかがでしょうか。

「王様のブランチ」本コーナー情報 (2009.04.04)

「王様のブランチ」本のコーナー(2009.4.4)

『蛇衆』と「春のお出かけ本特集」


<総合ランキング>   (啓文堂書店全店調べ・3/16~24)
① 茅田砂胡『海賊とウェディング・ベル』(中央公論新社)
② 中村克『最後のパレード』(サンクチュアリ出版)
③ 加藤久仁生・平田研也『つみきのいえ』(白泉社)
④ 『CREA due Cat no.2 ネコ萌え!』(文藝春秋)
⑤ 出口宗和『読めそうで読めない間違いやすい漢字』(二見書房)
⑥ 小宮一慶『どんな時代もサバイバルする会社の「社長力」養成講座』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
⑦ 今尾恵介『日本鉄道旅行地図帳 11号(中国四国)』(新潮社)
⑧ 渡辺淳一『欲情の作法』(幻冬舎)
⑨ 村上龍『無趣味のすすめ』(幻冬舎)
⑩ 内田康夫『砂冥宮』(実業之日本社)


<春のお出かけ本特集>
◎今尾恵介『日本鉄道旅行地図帳』(新潮社)



最新刊がランキング入り。累計120万部を突破した、今売れているおでかけ本。日本の鉄道、全線・全駅・全廃線――その全ての位置を日本地図上に正確に記載した日本初の地図が遂に誕生。さぞかしマニアックな一冊だろうと中を見ると……鉄道ファンならずとも、楽しい鉄道のおでかけが楽しめるシカケがいっぱい。地図が苦手な女性読者にも人気とか。


◎『東京さんぽ』『京都さんぽ』『おでかけさんぽ』(昭文社)



春の行楽シーズン到来。人気のおでかけ本を特集。書店のガイドブックコーナーを見てみると、目立つのは「さんぽ」の文字。異例の売り上げを誇る「ことりっぷ」(昨年2月に創刊、38冊で累計180万部)の最新刊も「さんぽ」がキーワード。アンケートで「じっくりゆっくり旅したい」という声が多く寄せられたことから始まった。


◎K&Bパブリッシャーズ『東京散歩マップ』(成美堂出版)



旅のガイドブックの老舗が制作した“散歩本”。20数年のキャリアを活かし、他社のおでかけ本にはないコース仕立てに特徴がある。その①散歩コース完全指定、その②スタート地点とゴール地点にはある工夫が、その③「コースの高低差」案内もある。


<今週の松田チョイス>
◎矢野隆『蛇衆』(集英社)



松田 スピードと迫真力、時代小説のニューウェーブ、矢野隆さんの『蛇衆』です。
N 室町末期、金のためにだけ戦う屈強な傭兵集団がいた。「蛇衆」。彼らが加勢した軍は絶対に負けない。しかし、侍たちの陰謀と裏切りに仲間を失ったとき、彼らははじめて自分たちのために戦うことを決意する。四百の軍勢対六人。「それでも私は行く」。ジェットコースターのように疾走する超絶時代アクション。>
松田 ぼくは、この矢野さんを、『のぼうの城』の和田さんと一緒に「時代小説のニューウェーブの旗手」という風に呼びたいと思うんです。なんといっても、文章が短いフレーズでたたみ込むように書かれていて、スピード感があって迫力があるんですね。戦闘シーンも圧倒的なすごさがあるんです。この文章の感覚って、やはり若い作家さんなんで、ゲーム世代の感覚だなあっていう気がしましたね。ただ、そういうゲーム感覚だけではなくて、蛇衆六人の不幸な生い立ちが明らかになっていくと、彼らの恋とか友情とか、そういった人間的な部分があらわになっていって、胸を打つんですね。最後には自分たちだけのための戦いに立ち上がるんですけども、そのシーンが圧巻なので、ぜひ読んでもらいたいですね。
谷原 ぼくも読ませてもらったんですが、普通、時代物でしたら、侍であるとか町人であるとか、封建社会の枠の中に注目することが多いと思うんですけども、今回の『蛇衆』は、そういう枠から外れたはぐれ者が主人公じゃないですか。それって、ぼくが大好きな隆慶一郎さんの流れに繋がるといいますか、隆さんの世界を、よりエンタテインメントとしてスピーディかつ大胆に作り替えているという意味で、とても楽しみな新人の作家さんがでてきたなと思います。
松田 そうですね。
谷原 戦国ブームにまだのっていない方、ぜひぜひ、この時代小説から入っていくのもいいかもしれません。

「王様のブランチ」本コーナー情報 (2009.03.29)

「王様のブランチ」本のコーナー(2009.3.28)

『風の中のマリア』と「佐藤和歌子『悶々ホルモン』」


<マンガ大賞ランキング>
①末次由紀『ちはやふる』(講談社)
②小山宙哉『宇宙兄弟』(講談社)
③羽海野チカ『3月のライオン』(白泉社)
④安倍夜郎『深夜食堂』(小学館)
⑤小林まこと『青春少年マガジン1978~1983』(講談社)
⑥中村光『聖(セイント)☆おにいさん』(講談社)
⑦河合克敏『とめはねっ!鈴里高校書道部』(小学館)
⑧東村アキコ『ママはテンパリスト』(集英社)
⑨島袋光年『トリコ』(集英社)
⑩久保保久『よんでますよ、アザゼルさん。』(講談社)


<特集・佐藤和歌子『悶々ホルモン』>
◎佐藤和歌子『悶々ホルモン』(新潮社)



雑誌「モーニング」で連載され好評を博した、ホルモンが食べられる44軒のガイドブック『悶々ホルモン』。20代にしてひとり焼き肉常連の著者が、究極のホルモン道を開拓したこのエッセイは、女子が、しかも20代がホルモンの旨さを伝えきっていると話題になっている。佐藤さんは、なぜひとりで焼肉屋に通うようになったのか? それは「男に失望し、同時に女としての自分にも失望したから」。そんな佐藤さんと「テナム」(五反田)という焼肉屋で待ち合わせ。ホルモンど素人の渡辺志穂(21)に、本の内容に沿った形でホルモン道を披露してくれる。実際に食べながら、ホルモンの魅力を描ききったエッセイにまつわる話を聞く。


<今週の松田チョイス>
◎百田尚樹『風の中のマリア』(講談社)



松田 去年、『ボックス!』で「ブランチBOOK大賞・新人賞」を受賞した百田尚樹さんの最新作『風の中のマリア』です。
N 百田尚樹の書き下ろし最新作『風の中のマリア』。主人公は、なんとスズメバチのハンター。その名はマリア。彼女の命はたったの30日。恋もせず、母となる喜びを味わうこともなく、ひたすら狩りを続ける、自然界最強のハタラキバチ。短く激しい命が尽きるとき、マリアが見たものとは?>
谷原 松田さん、主人公は「ハチ」ということですが、感情移入できるんですか。
松田 いやあ面白かったですね。なんといっても、オオスズメバチの生態が、驚くべきことばかりなんですね。女王バチを中心に「女だけの帝国」を作り上げていくという、その生き方、戦い方、そして死に方が正確に描かれているんです。そこに、スズメバチの内面に、人間の気持ちを当てはめていくと、そこから、スケールの大きなスペクタクルとか神話的世界が立ち上がってくるんですよね。
優香 わたしも読ませていただきましたけども、ハチの話で250ページですか、こんなに書けるというのはすごいなと思いました。それと、女性って、昆虫って苦手じゃないですか。
はしの 節の感じとか……。
優香 そうなんですよね。ハチというとよけいね、接したこともないですけれども、すごく面白くて。全然知らなかったこともたくさんあって、30日しか生きられないとか。そういうことも勉強できたりとか……。あと、わたしが好きなシーンはですね、マリアとオスバチのラブシーンがあるんですよ。淡い恋なんですけども、触覚同士をチョッとあわせるというキスシーンのような。一生、恋はできないんですけども、そこでちょっと恋心のようなものが……。
松田 本当に、主人公のマリアのけなげな生き方がすごく切なく胸をうつんですね。読み終わると、昆虫の話なのに、もっと大きな「いのち」の物語として、ぼくらに迫ってきて……。
優香 そうですね。
松田 素晴らしい物語だと思いましたね。
優香 かっこいいんですよ、戦士マリアが。
谷原 たしかに知らない世界ですからね。『風の中のマリア』で皆さんも心を刺されてみてはいかがですか。

「王様のブランチ」本コーナー情報 (2009.03.23)

「王様のブランチ」本のコーナー(2009.3.21)

『エ/ン/ジ/ン』と「室井滋『マーキングブルース』」


<総合ランキング>   (有隣堂書店全店調べ・3/8~3/14)
① 中村克『最後のパレード』(サンクチュアリ出版)
② 加藤久仁生・平田研也『つみきのいえ』(白泉社)
③ 出口宗和『読めそうで読めない間違いやすい漢字』(二見書房)
④ 渡辺淳一『欲情の作法』(幻冬舎)
⑤ 勝間和代『断る力』(文藝春秋)
⑥ 堂本剛『堂本剛と頭のなか』(日之出出版)
⑦ 細野真宏『「未納が増えると年金が破綻する」って誰が言った?』(扶桑社)
⑧ M・シャイモフ『「脳にいいこと」だけをやりなさい!』(三笠書房)
⑨ 工藤龍矢『グーグル営業!』(インプレスジャパン)
⑩ 飯島奈美『LIFE』(東京糸井重里事務所)
<BOOKニュース>
◎小林麻耶『まや☆日記』(小学館)



TBSアナウンサー小林麻耶の人気ブログ『まや☆日記』が大幅加筆されて待望の書籍化。TBSアナウンサー6年間の軌跡はもちろん、自身が出演した番組の制作の裏側から、お気に入りスポットなども紹介。撮り下ろしプライベートフォトも収録したファン必見の一冊です。


<特集・室井滋『マーキングブルース』>
◎室井滋『マーキングブルース』(メディアファクトリー)



女優のかたわらエッセイなどで天才的な才能をみせ数々のヒット作を書いてきた室井滋さんのはじめての小説。「猫と女」の物語と、物語と重なるテーマの軽妙エッセイとのカップリングで、ただカワイイだけの猫本ではなく、「ノラ猫の誇り高さ、たくましさ、健気さ」と女性の生き方との重ね合わせています。ムロイ氏が街で撮った猫写真付き。猫を6匹飼っているという室井さん、ロケ現場に一匹連れてきてもらい一緒にインタビュー。初めての小説を書くにあたっての気持ちやきっかけ、猫との出会いなどをお伺いしました。


<今週の松田チョイス>
◎中島京子『エ/ン/ジ/ン』(角川書店)



松田 風変わりだけど、なぜか惹きつけられるお話、中島京子さんの『エ/ン/ジ/ン』です。
N 身に覚えのない幼稚園の同窓会の招待状を受け取った、葛見隆一。仕事と恋人を失い、長い人生の休暇にさしかかった隆一は、会場でミライと名乗る女性と出逢う。彼女は、人嫌いだったという父親の行方を捜していた。手がかりは、「厭人」、「ゴリ」の、二つのあだ名だけ。いったい父は何者だったのか?>
松田 これは、中年にさしかかった男女が、自分たちが生まれた時代、1970年代に、父や母は何を考え、どう生きていたのかを、時を超えて探っていくというお話です。主人公たちや、彼らが出逢う人びとが個性的でチャーミングなので、なんだか、彼らのタイムトラベルに同行しているような気分になっていきます。そして、最後には、親の世代から子の世代に、「何か」が脈々と続いている、そういう手応えを感じさせるラストが待っているんです。
谷原 ぼくも読ませてもらったんですが、ぼくは1972年生まれなんです。ぼくたちが子どもの時、自然が残っているところで遊んでいたんですが、その頃のことを思い出しました。そして、ヘンリー・ダーガーのことがでてくるんですが、世田谷美術館の「アウトサイダー展」で絵を見ているので、そこからはグッと身近に感じられましたね。
松田 現実にあったことをちりばめて、そこに物語をからめていくので、不思議なテイストのお話になっていますね。

「王様のブランチ」本コーナー情報 (2009.03.14)

「王様のブランチ」本のコーナー(2009.3.14)

『プリンセス・トヨトミ』と「絵本『つみきのいえ』」


<総合ランキング> (啓文堂書店全店調べ・3月2日~3月8日)
① 渡辺淳一『欲情の作法』(幻冬舎)
② 出口宗和『読めそうで読めない間違いやすい漢字』(二見書房)
③ 『キャス・キッドソンへようこそ2』(宝島社)
④ 中村克『最後のパレード』(サンクチュアリ出版社)
⑤ 『Cher 2009 Spring/Summre Collection』(宝島社)
⑥ 加藤久仁生・平田研也『つみきのいえ』(白泉社)
⑦ 万城目学『プリンセス・トヨトミ』(文藝春秋)
⑧ 堀江貴文『徹底抗戦』(集英社)
⑨ 天童荒太『悼む人』(文藝春秋)
⑩ M・シャイモフ『「脳にいいこと」だけをやりなさい!』(三笠書房)


<特集・絵本『つみきのいえ』>
◎加藤久仁生・平田研也『つみきのいえ』(白泉社)



水に囲まれつみきを積んだような部屋で、ひとりの老人が暮らしている。水没している階下にのこぎりを落とした彼は、それを拾うためにもぐり、それぞれの部屋に刻まれた家族の思い出にめぐりあう。――アニメ「つみきのいえ」はアヌシー国際アニメーションフェスティバル最高賞、第81回米国アカデミー賞短編アニメーション賞を受賞して話題になりました。世界中の子どもと大人が感動したアニメを作者2人が絵本にしました。アカデミー賞受賞が追い風となって、絵本『つみきのいえ』は20万部突破しています。「ブランチ」では、加藤久仁生さんが所属する制作会社ROBOTを訪問し、「ALWAYS三丁目の夕日」等をつくってきた映像制作プロダクションの、アニメーションキャラクターをつくる部署に所属している加藤さんのデスクを拝見して、“Thank you my pencil”鉛筆も発見しました。実際に加藤さんが鉛筆で「つみきのいえ」のおじいさんを描いてもらったり、アニメーションを創る時と、絵本を創る時の絵の違いをコメントしてもらいました。また、「つみきのいえ」のストーリーをつくった㈱ROBOTの先輩・平田研也さんにも創作秘話を伺いました。


<今週の松田チョイス>
◎万城目学『プリンセス・トヨトミ』(文藝春秋)



松田 『鴨川ホルモー』、『鹿男あをによし』と、に面白い作品を次々と発表してきている万城目学さんの最新長編小説『プリンセス・トヨトミ』です。
N 万城目学の最新長編小説『プリンセス・トヨトミ』。それは、五月末日の木曜日午後四時のこと。なんと大阪が全停止。そのきっかけは、会計検査院の三人の調査官だった。彼らの見た「プリンセス・トヨトミ」とは一体? 前代未聞のエンタテイメント始動!>
優香 わたし、万城目さん大好きなんですけども、万城目さんらしく、空想の話を現実かと思わせる、もっていき方がうまいなあと……。今回は、とっても大人っぽいお話だなという印象でしたが。
松田 そうなんですね、そこが「万城目マジック」のすごいところで。個性的なキャラクターが次々出てきて、ユーモラスな話を読んでいると、突然、別世界の扉が開いて、とんでもない世界が見えてくるという、本当に楽しませてくれる作品だと思いますね。
谷原 祥太くんも、万城目さんの映画「鴨川ホルモー」に出るよね。
祥太 はい、ぼくは慶太と双子役、三好兄弟で出るんです。観てください。ぼくも『プリンセス・トヨトミ』読ませていただいたんですけども、登場する三人の調査官のキャラクターが個性的で、いろんなやりとりも細かくて面白いんです。ちょっと『ホルモー』とは違った万城目ワールドというか、すごい面白かったです。
谷原 皆さんも万城目マジックにはまってみたらいかがでしょうか。

「王様のブランチ」本コーナー情報 (2009.03.07)

「王様のブランチ」本のコーナー(2009.3.7)

『深夜食堂』と「篠山紀信 at 東京ディズニーランド」


<総合ランキング> (文教堂書店全店調べ・2月23日~3月1日)
① 渡辺淳一『欲情の作法』(幻冬舎)
② 出口宗和『読めそうで読めない間違いやすい漢字』(二見書房)
③ 松本ぷりっつ『うちの3姉妹特別編 ハワイでおっぺけぺ』(主婦の友社)
④ 天童荒太『悼む人』(文藝春秋)
⑤ M・シャイモフ『「脳にいいこと」だけをやりなさい!』(三笠書房)
⑥ 『珍獣ハンターイモトの動物図鑑』(日本テレビ放送網)
⑦ 清原和博『男道』(幻冬舎)
⑧ 押切もえ『モデル失格』(小学館)
⑨ 勝間和代『断る力』(文藝春秋)
⑩ 五木寛之『人間の覚悟』(新潮社)


<特集・篠山紀信 at 東京ディズニーランド>
◎篠山紀信『MAGIC』(講談社)



写真集『MAGIC』とは? 誰もいなくなった東京ディズニーランドやディズニーシーでキャラクターたちは一体何をしているのだろうか? 誰も見たことのない秘密の時間。魔法の力を使って、巨匠・篠山紀信が見てしまった。篠山さんは、久々にミッキーたちに会うため、再び、東京ディズニーランドにやってきた。レポーターの英玲奈と出会い、ミッキー&ミニーと再会しました。そして、篠山さんオススメフォトスポットへ移動し、ドナルド、プルート、グーフィーも合流しました。最後に、篠山さんにアドバイスしてもらって、英玲奈が篠山さんとキャラクターたちちを撮影しました。
松田 ぼくは篠山さんに写真を撮ってもらったことが何回かあるんですが、絶妙のトークで、写される人を笑わせて、いつの間にかシャッターを押しているんですね。あの篠山さんの明るさとディズニーランドの楽しさとがあいまって、こんなに素敵な一冊が誕生したんでしょうね。


<今週の松田チョイス>
◎安倍夜郎『深夜食堂』1~3(小学館)



松田 しみじみと味わい深いコミック、安倍夜郎さんの『深夜食堂』です。
N 盛り場の片隅にあるめしや「深夜食堂」。営業時間は夜12時から朝7時まで。メニューは「豚汁定食、ビール、酒、焼酎」だけ。「あとは勝手に注文してくれりゃあ、できるもんなら作るよ」というのが主人の営業方針。このお店に集うわけありのお客さんたちの人生が交錯する人情物語。>
松田 このお店で、お客さんたちが食べるのは、赤いタコウインナー、きのうのカレー、猫まんま、インスタントラーメン、魚肉ソーセージなどなど、料理とかグルメとはほど遠いものばかり。でも、それがとっても美味しそうなんです。それは、それぞれの食べ物に、人びとの大切な思い出や記憶が重なっているからなんですね。そういう人生ドラマが隠し味になっているので、この「深夜食堂」の何気ない食べ物がかけがえのないものだっていう気がしてくる。だから、この漫画を読むと、そこに出てくるものを、今すぐにでも食べたいという気持ちになってしまうんですね。作者の安倍さんは、41歳でデビューしたという遅咲きのコミック作家なんですが、そういう人生経験の豊かさが、この漫画の一つ一つのエピソードに活かされていると思いますね。

「王様のブランチ」本コーナー情報 (2009.03.01)

「王様のブランチ」本のコーナー(2009.2.28)

『喋々喃々』と「田淵久美子『女の道は一本道』」


<総合ランキング>  (三省堂書店全店調べ・2/16~2/22)
① 出口宗和『読めそうで読めない間違いやすい漢字』(二見書房)
② 渡辺淳一『欲情の作法』(幻冬舎)
③ 勝間和代『断る力』(文藝春秋)
④ 押切もえ『モデル失格』(小学館)
⑤ 宮部みゆき『英雄の書(上・下)』(毎日新聞社)
⑥ M・シャイモフ『「脳にいいこと」だけをやりなさい!』(三笠書房)
⑦ 酒巻久『「会社のアカスリ」で利益10倍!』(朝日新聞出版)
⑧ バクラ・オバマ、English Expres編集部『オバマ大統領就任演説』(朝日出版社)
⑨ 野村克也『あぁ、監督』(角川書店)
⑩ 平子理沙・中村和孝『E'toile』(講談社)


<特集・田淵久美子『女の道は一本道』>
◎田淵久美子『女の道は一本道』(小学館)



宮崎あおいという国民的ヒロインを生んだNHK大河ドラマ「篤姫」。「波乱万丈の人生だった」と自らの半生を語る同ドラマの脚本家・田淵久美子さんが命を吹き込むようにして作り上げたヒロイン像・篤姫は、「不自由な時代に自由に生きた」姿が多くの女性視聴者の心を掴んだ。本書は、ドラマ「篤姫」生みの親・田淵さんが、自らの半生を振り返りながら現代女性たちに説く、語り下ろしの「篤姫的生きかた指南書」。「篤姫」脚本執筆に際し大きな支えとなり、篤姫の夫で将軍・家定のモデルでもあったという夫・瑞徳さんが撮影終了後に死去した今、責任と覚悟をもって自らの道を選び生き抜く「女の一本道」を語っている。著者の田淵さんにインタビューし、息子さんと娘さんにもコメントを頂きました。


<今週の松田チョイス>
◎小川糸『喋々喃々』(ポプラ社)



松田 皆さん、お待ちかねだったんじゃないかと思います。『食堂かたつむり』で印象的なデビューを飾った小川糸さんの第二作『喋々喃々』です。
N 処女作が大ヒットとなった小川糸、待望の第二作『喋々喃々』。ある日、店に訪れた男性客と、許されざる恋に落ちる。この小説の中に登場する飲食店は、ほとんどが谷中に実在するお店。主人公の恋模様とともに、情緒ある下町の様子がていねいに描かれた、きらめくような物語。>
優香 私も大好きな糸さんなんですけども、谷中はじめとする下町のガイドブックみたいな感じもあるんですね。
松田 そうですね。そういう部分もありますね。一つ一つの場面や描写がすごくていねいに描かれているんで、印象深いんです。東京の下町の情緒とか、町やお店の雰囲気とか、特に、美味しい料理やお菓子が出てくる場面がすごく素敵なんですね。
優香 糸さんらしいですね。『食堂かたつむり』と比べるとどうですか?
松田 「喋々喃々」という言葉は「男女がむつまじく語り合う様子」っていう意味なんですけども、そういうタイトルからもわかるように、ぐっと大人度が増したという感じです。主人公のお店「ひめまつ屋」というのですが、「秘めて」「待つ」恋が静かに静かに成長していくさまを描いているんですね。まあ、許されない愛なんで、読んでて切なくなる部分もあるんです。たぶん、若い女性の方たちが読むと、色んな思いを重ねて読まれて、素敵な恋物語として楽しめるんじゃないかなあっていう気がしますね。
優香 へえ、読みたーい。いいですね、借りていきます。

「王様のブランチ」本コーナー情報 (2009.02.22)

「王様のブランチ」本のコーナー(2009.2.21)

『廃墟建築士』と「ブーム到来!漢字勉強本」


<総合ランキング>  (文教堂書店全店調べ・2009年2月9日~2月15日)
① 出口宗和『読めそうで読めない間違いやすい漢字』(二見書房)
② 清原和博『男道』(幻冬舎)
③ 押切もえ『モデル失格』(小学館)
④ M・シャイモフ『「脳にいいこと」だけをやりなさい!』(三笠書房)
⑤ 湊かなえ『告白』(双葉社)
⑥ 内田康夫『還らざる道』(祥伝社)
⑦ 野村克也『あぁ、監督』(角川書店)
⑧ 大前研一『さらばアメリカ』(小学館)
⑨ 山本兼一『利休にたずねよ』(PHP研究所)
⑩ 中谷巌『資本主義はなぜ自壊したのか』(集英社インターナショナル)


<特集・ブーム到来!漢字勉強本>
国のトップたるお方が「未曾有」を「みぞゆう」と読み、恥をさらしたあの事件。そこからぐんぐん部数を伸ばしている本が、漢字勉強本。たくさん出版されている漢字勉強本の中から、売れ筋の3冊を紹介。それぞれの著者(編集代表者)などにインタビュー。それぞれの本のウリ、オススメの問題を出題してもらいます。


①出口宗和『読めそうで読めない間違えやすい漢字』(二見書房)



現在87万部の大ベストセラー。著書の出口さんによると、漢字勉強本は去年の“おバカブーム”から徐々に部数を伸ばしていたが、麻生さんがきっかけとなって大ブレイクしたそうです。


②日本語倶楽部『読めないとバカにされる漢字1500』(河出書房新社)



“大人として必須の漢字1500”を集めた漢字勉強本で、現在11万部のベストセラー。民主党石井議員が直々に出版社に電話し、「おもしろかったので麻生さんへの質疑の際に使いたい」と連絡してきた話題の本。


③現代総合研修センター『漢字でゼッタイ恥をかかない本』(ロングセラーズ)



今年2月1日初版にもかかわらず、既に7万部を突破。パソコンや携帯が浸透して、漢字が書けない、漢字の変換ミスが多い現代っ子向けの漢字勉強本。“書けるようになる”、“変換ミスをなくす”にこだわった一冊。


<今週の松田チョイス>
◎三崎亜記『廃墟建築士』(集英社)



松田 架空の物語なのに不思議なリアリティがある短編集、三崎亜記さんの『廃墟建築士』です。
N ちょっと不思議な建物をめぐる奇妙な事件を描いた短編集『廃墟建築士』。犯罪率の高い七階だけを撤去する。魂の安らぐ空間・廃墟を新築する社会。夜のなると本が空を飛ぶ図書館。意識がある蔵の話。ありえないことなど、ありえない。現実と非現実が同居する4編収録の三崎亜記の最新作。>
谷原 実は、ぼくも読ませてもらったんですが、4編が収録されている短編集で、その中で「図書館」という1編があるんですけども、夜になると本たちが自由に飛び回るんですよ。本好きのぼくとしたら、その様を想像するだけでワクワクしちゃって。もしや、家にある本棚の本が飛んだりしたら、見たいような見たくないような、怖いような不思議なものですよね。
松田 「ナイト・ミュージアム」みたいな世界ですね。それぞれに、現実世界とちょっとズレた世界が描かれるんですね。でも、その世界では「あたりまえ」のことだと思われていて。そういうことを、法令とかマニュアルとか歴史記述といった、わりにクールな、客観的な文章で書かれているんですね。特別大げさに、「変なことがあるよ」って言ってないんだけど、そこから、すごく「情」みたいなもの、情感みたいなものがふつふつと湧き起こってくるんです。建物の話なんです、全部、それぞれの建物が、いつの間にか生き物みたいな感じで伝わってくるんですよね。本当に不思議なテーストが味わえる、楽しい作品集ですね。
谷原 不思議なリアリティがありますよね。

「王様のブランチ」本コーナー情報 (2009.02.15)

「王様のブランチ」本のコーナー(2009.2.14)

『どこから行っても遠い町』と「村山由佳『ダブル・ファンタジー』」


<総合ランキング>  (三省堂書店全店調べ・2/2~2/8)
① 出口宗和『読めそうで読めない間違いやすい漢字』(二見書房)
② バクラ・オバマ、English Expres編集部『オバマ大統領就任演説』(朝日出版社)
③ マーシー・シャイモフ『「脳にいいこと」だけをやりなさい!』(三笠書房)
④ 押切もえ『モデル失格』(小学館)
⑤ バクラ・オバマ『オバマ大統領演説』(コスモピア)
⑥ 清原和博『男道』(幻冬舎)
⑦ バクラ・オバマ、English Expres編集部『オバマ演説集』(朝日出版社)
⑧ 山本兼一『利休にたずねよ』(PHP研究所)
⑨ 津村記久子『ポトスライムの舟』(講談社)
⑩ 中谷巌『資本主義はなぜ自壊したのか』(集英社インターナショナル)


<特集・村山由佳『ダブル・ファンタジー』>
◎村山由佳『ダブル・ファンタジー』(文藝春秋)



奈津・三十五歳、脚本家。尊敬する男に誘われ、家を飛び出す。“外の世界”に出て初めてわかった男の嘘、夫の支配欲、そして抑圧されていた自らの性欲の強さ。もう後戻りはしない。女としてまだ間に合う間に、この先どれだけ身も心も燃やし尽くせる相手に出会えるだろう。何回、脳みそまで蕩けるセックスができるだろう。そのためなら、そのためだけにでも、誰を裏切ろうが、傷つけようがかまわない。「そのかわり、結果はすべて自分で引き受けてみせる」。売れっ子シナリオライターとして活躍しながらも家庭での夫の支配的な態度に萎縮する日々を送っていた奈津は、年上の敬愛する演出家との情事を機に自らの女としての人生に目覚めていく。週刊文春で連載された村山由佳の衝撃の官能の物語。今回、仕事場で村山さんにインタビュー。「おいしいコーヒーの入れ方」シリーズや直木賞受賞作『星々の舟』とは全く違ったストーリーを書いた理由、発想のきっかけ等をインタビューしました。
谷原 松田さん、『ダブル・ファンタジー』いかがでしたか?
松田 テーマがテーマなので、生々しいシーンもたくさん出てくるんですけども、全体としては、透明感というか清潔感がある作品ですね。恋愛小説をたくさん書いてきて、ストーリーテリングがものすごく上手い人なので、とても楽しめる作品ですね。


<今週の松田チョイス>
◎川上弘美『どこから行っても遠い町』(新潮社)



松田 昨年、ブランチBOOK大賞に選ばれた川上弘美さんの最新作『どこから行っても遠い町』です。
N 川上弘美の『どこから行っても遠い町』。裸足で男のもとへ駆けていった魚屋の死んだ女房、一緒に小料理屋を営む元恋人の二人、不仲な両親のやりとりを傍らでみつめる小学生……。東京にある小さな商店街を行き交う人びとの、あやうさと幸福を描く。短編の名手・川上弘美の真髄を示す連作短編小説集。>
優香 はい、私も読ませていただきました。川上さんの作品って、微妙な気持ちの書き方がとてもリアルなんですよね。
松田 そうですね、この作品も、人と人との関係をしみじみと見つめたラブストーリーだと言えると思うんですよ。この町の人たちの暮らしには、それほど波乱はないんですね。でも、よく見つめていくと、それなりに悲しみや不幸せな部分もあって、それがいろんな物語を生みだしていくっていう感じです。優香ちゃんはどんな感じでした?
優香 私は、「ロマン」というお店をやっているおばあちゃまという人が、とってもセクシーで、口紅をピッタリ真っ赤とか真ピンクのを塗って、写真を撮るときに、マリリン・モンローのように撮るんです。ちょっと口を半開きにして。お茶目な部分があって、ズーッと一人でいるんですけども、でも、とっても寂しい思いをしていたりとか、そのギャップが切なかったりして、私は、このおばあちゃんが好きなんですけども。川上さんって、女性的な方なのかな、と思ったら、男性目線もとてもリアルに描いていて……
松田 子どもとかね……。一人一人の辛さとか悲しみみたいなものを、優しく包み込むように書いているんで、読んでいると、ここに出てくる一人一人がとっても愛おしく感じてくる。読んだ後に、ほのぼのとした気持ちになれる、本当にいい連作短編集ですね。

「王様のブランチ」本コーナー情報 (2009.02.07)

「王様のブランチ」本のコーナー(2009.2.7)

『造花の蜜』と「西野亮廣『Dr.インクの星空キネマ』」


<総合ランキング>  (三省堂書店全店調べ・1/26~2/1)
① 出口宗和『読めそうで読めない間違いやすい漢字』(二見書房)
② バクラ・オバマ『オバマ演説集』(朝日出版社)
③ バクラ・オバマ『オバマ大統領就任演説』(朝日出版社)
④ マーシー・シャイモフ『「脳にいいこと」だけをやりなさい!』(三笠書房)
⑤ 清原和博『男道』(幻冬舎)
⑥ 山本兼一『利休にたずねよ』(PHP研究所)
⑦ 五木寛之『人間の覚悟』(新潮社)
⑧ 塩野七生『ローマの亡き後の地中海世界 下』(新潮社)
⑨ 大前研一『「知の衰退」からいかに脱出するか?』(光文社)
⑩ 湊かなえ『告白』(双葉社)


<特集・西野亮廣『Dr.インクの星空キネマ』>
◎西野亮廣『Dr.インクの星空キネマ』(幻冬舎)



人気お笑い芸人「キングコング」の西野亮廣さんが描いた渾身の力作絵本。フジテレビ「笑っていいとも」の番組中に描いた西野さんの絵を司会のタモリさんが絶賛。本格的に絵本を描くきっかけになったとか。素人とは思えぬ想像力と精緻な画力は、ファンならずとも読んでみたい1冊! どうして星は流れるの? どうして人は夢を見るの? 丘の天文台にひとりで暮らすおじいさん、時代遅れのハシゴ屋さん、村人から恐れられているバケモノ、世界中のみんなのために“夢の脚本”を書き続ける人。それぞれの思いで毎日星空を見上げる孤独な人たちが、小さな幸せを見つける感動のファンタジー。星空を見ることを忘れてしまった大人が泣く、子供が微笑む、優しさが心に沁みる物語。「はねるのトびら」の収録前にブランチをよくみているという西野さんを直撃。絵本を書くきっかけ、絵を描こうと思ったきっかけ、周りの人の反応などをインタビューをしてきました。
松田 素晴らしいですね。夢の世界で思う存分遊びたいという気持ちが緻密な絵から伝わってきます。そういう西野さんの夢の中に、ぼくたちが迷い込んだような奇妙な感覚のある不思議な絵本で、とっても楽しいですね。


<今週の松田チョイス>
◎連城三紀彦『造花の蜜』(角川春樹事務所)



松田 とんでもなく面白いミステリーです、連城三紀彦さんの『造花の蜜』です。
N 幼稚園でひとり息子が誘拐された。しかし、担任は開き直ったように告げる、「だって、私、お母さんに……あなたにちゃんと圭太クン渡したじゃないですか。」事件の不可解な幕開けから渋谷スクランブル交差点での身代金受け渡しまで、どんでん返しの連続にあなたは翻弄され続ける。事件の驚くべき真相とは……。>
松田 読んでみるとわかるんですが、とにかく驚くし、とにかく面白いんです。最初はシーリアスな誘拐劇として物語は始まるんです。緊迫感にあふれた描写の連続に引き込まれていくと、犯人の意外な動きがあって、物語がどんどんどんどん変わっていくんですね。その後に、何度も思いがけないどんでん返しが続いて、最後には、とんでもないところまで読者を連れてってしまうんです。……言えないのがつらいんですが。
谷原 ぼくも、読んだんですが、どんでん返しと言えば、この間「太チョイ」でも紹介したジェフリ・ディーヴァーがすごく有名じゃないですか。でも、それに負けないくらい、筋立てだとか、伏線のうまさみたいなものがあったりして。ただ違うのは、ジェフリ・ディーヴァーはとてもエンタテインメント性が強いとすると、こっちの方は、日本的な情動であったりとか、上質なドラマを観ているような読後感があって。ぼく自身、キャラクターの魅力にひきこまれて……犯人とそれを追う警部のキャラクターに……。
松田 あんまり言うとネタバレになっちゃいますよ。
優香 そうなんだあ。
谷原 すごい、引き込まれました。
小林 読みたーい。
松田 本当にいろんなミステリーの要素がいっぱい入っていて、一冊でミステリー大全集という感じの大傑作ですね、これは。
谷原 一度読み始めたら止まらない、怒濤のエンタテインメントを、皆さんぜひ読んでみてください。 

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