09.11.06
終電あとの浅草クルーズ 第3回
観光客が寝ちゃったあとの、サラリーマンが遠くの我が家に帰っちゃったあとの、浅草地元民のための深夜の浅草を徘徊する旅の第3回目。今夜はロック&アンダーグラウンドな空間をハシゴしよう。
トライバルビレッジ浅草
「時はバタバタと過ぎてゆきます。人生とはなんだろな? 私共は馬鹿の手口で探りつつ、殺風景な観光地でどんちゃん騒ぎをやってます」という本人たちのステートメントがすべてを言いあらわす、注目の演劇集団<鉄割アルバトロスケット>。その構成員がオーナーと店長を務めるのが<トライバルビレッジ浅草>。2008年8月オープンで、まだ1周年を迎えたばかりである。
トライバルビレッジとは、ちょっとニューエイジ風の店名でもあるが、もともとここが<民俗村>という韓国カラオケスナックだったから、というだけの理由。ちなみに俳優でもあるオーナーの小林成男さんは、ここに来るまでは恵比寿に住んでいたが、浅草のほうがはるかにラクに暮らせるそう。「だって、こんな格好じゃTSUTAYAにビデオ返しにも行けないって格好で、ここじゃメシ食いに行ってますから」。
浅草ビューホテル脇という、中心部でありながら観光客はあまり足を運ばないエリアの、小さなビル。階段を上がった2階の店はライブラリー、カフェ&バー空間、それに3畳ほどのステージにゆる~く分かれているが、しばしば開かれるイベントによっては、客の座る場所より演奏空間のほうが広くなったりもする。
スタッフが個人的に推すアーティストの展覧会があったり、ライブがあったり、「近所の、ふつうの人をゲストに呼んで、飲みつつ語っていただく『ご近所トークショー』なんてのもあって、こないだは近くのタバコ屋のオッサンに来てもらいました。開演2時間前に呼んで、がんがん飲ませて、好きな女のタイプとか、いままでやった女でいちばんきれいだったのはとか、どうでもいいような話をするイベントでした(笑)」という、ケオティックかつアナーキーな営業姿勢が、非常に好もしい。
行くたびにちがうことをやっていて、そのたびに小さな箱がぜんぜんちがう空間に見えて。そういうフリーフォームな感覚が、トライバルビレッジの、そして鉄割アルバトロスケットのスタイルでもあるのだろう。
10月1日から11月30日までは、『日本入図美博物館展』と題して、初代彫長の貴重な下絵を展示中。初代彫長こと中野長四郎さんは、40年以上のキャリアを持つ彫師であるとともに、浅草で平成13年から<入図美博物館>という個人ミュージアムを運営されていた。現在、ミュージアムのほうは休館中だが、ご本人が大切に保管してきた原画の数々をはじめ、墨入れの道具や、東京大学医学部標本室に保存されている、かつて彫長さんが墨を入れた故人の標本写真など、いまやここでしか見られないコレクションが、さらりと展示されている。展示スタイルも、いかにもフリーフォーム。展覧会終了後は、おそらく見るチャンスがなくなってしまうので、会期中にぜひどうぞ!
トライバルビレッジ浅草
東京都台東区西浅草3丁目27-1-2F
http://tv-asakusa.com/
トライバルビレッジ浅草
「時はバタバタと過ぎてゆきます。人生とはなんだろな? 私共は馬鹿の手口で探りつつ、殺風景な観光地でどんちゃん騒ぎをやってます」という本人たちのステートメントがすべてを言いあらわす、注目の演劇集団<鉄割アルバトロスケット>。その構成員がオーナーと店長を務めるのが<トライバルビレッジ浅草>。2008年8月オープンで、まだ1周年を迎えたばかりである。
トライバルビレッジとは、ちょっとニューエイジ風の店名でもあるが、もともとここが<民俗村>という韓国カラオケスナックだったから、というだけの理由。ちなみに俳優でもあるオーナーの小林成男さんは、ここに来るまでは恵比寿に住んでいたが、浅草のほうがはるかにラクに暮らせるそう。「だって、こんな格好じゃTSUTAYAにビデオ返しにも行けないって格好で、ここじゃメシ食いに行ってますから」。
浅草ビューホテル脇という、中心部でありながら観光客はあまり足を運ばないエリアの、小さなビル。階段を上がった2階の店はライブラリー、カフェ&バー空間、それに3畳ほどのステージにゆる~く分かれているが、しばしば開かれるイベントによっては、客の座る場所より演奏空間のほうが広くなったりもする。
スタッフが個人的に推すアーティストの展覧会があったり、ライブがあったり、「近所の、ふつうの人をゲストに呼んで、飲みつつ語っていただく『ご近所トークショー』なんてのもあって、こないだは近くのタバコ屋のオッサンに来てもらいました。開演2時間前に呼んで、がんがん飲ませて、好きな女のタイプとか、いままでやった女でいちばんきれいだったのはとか、どうでもいいような話をするイベントでした(笑)」という、ケオティックかつアナーキーな営業姿勢が、非常に好もしい。
行くたびにちがうことをやっていて、そのたびに小さな箱がぜんぜんちがう空間に見えて。そういうフリーフォームな感覚が、トライバルビレッジの、そして鉄割アルバトロスケットのスタイルでもあるのだろう。
10月1日から11月30日までは、『日本入図美博物館展』と題して、初代彫長の貴重な下絵を展示中。初代彫長こと中野長四郎さんは、40年以上のキャリアを持つ彫師であるとともに、浅草で平成13年から<入図美博物館>という個人ミュージアムを運営されていた。現在、ミュージアムのほうは休館中だが、ご本人が大切に保管してきた原画の数々をはじめ、墨入れの道具や、東京大学医学部標本室に保存されている、かつて彫長さんが墨を入れた故人の標本写真など、いまやここでしか見られないコレクションが、さらりと展示されている。展示スタイルも、いかにもフリーフォーム。展覧会終了後は、おそらく見るチャンスがなくなってしまうので、会期中にぜひどうぞ!
トライバルビレッジ浅草
東京都台東区西浅草3丁目27-1-2F
http://tv-asakusa.com/















1956年、東京生まれ。現代美術、建築、写真、デザインなどの分野で執筆活動、書籍編集。93年、東京人のリアルな暮らしを捉えた『TOKYO STYLE』刊行。96年、日本各地の奇妙な新興名所を訪ね歩く『珍日本紀行』の総集編『ROADSIDE JAPAN』により第23回木村伊兵衛賞を受賞。
97年〜01年『ストリート・デザイン・ファイル』(全20巻)。インテリア取材集大成『賃貸宇宙』。04年『珍世界紀行ヨーロッパ編』、06年『夜露死苦現代詩』、『バブルの肖像』、07年『巡礼』、08年『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』など著書多数。現在も日本および世界のロードサイドを巡る取材を続行中。