緊急寄稿 震災からの経済復興――これから何をするべきか

これ以上の国債発行は財政破綻をもたらすか

 しかし、復興費の財源として、今後、5年間程度の間、毎年、10兆円程度、総額40兆円〜50兆円程度の復興国債を発行すれば、財政が破綻するのではないか、という心配があるであろう。
 11年3月末の中央政府の債務総残高(普通国債に財投債などを加えた内国債残高と借入金の合計)の対GDP比(10年末の名目GDPに対する比。11年3月末現在、10年度のGDPは得られないため)は、172%で、諸外国に比較して極めて高い。例えば、OECD(経済協力開発機構)のデータが得られる09年のドイツ、フランス、イギリス、及びアメリカの政府債務総残高の対GDP比は、44%、61%、75%、53%であるから、日本はこれらの国の2倍から4倍に相当する高さである。
 11年度には、新たに普通国債が約44兆円発行される予定のため、11年度末の普通国債残高は10年度末よりも4.7%増えて、667兆6千億円に達すると予測されている。
 国の借金がこのような状況で、さらに、東日本大震災の復興国債を今後5年間程度の間に40〜50兆円発行することに対しては、財政破綻のリスクを高めるのではないかと懸念されるかもしれない。
 具体的には、国民が国債を買わなくなり、大量の売却に回るため、国債価格が暴落し、逆に、国債金利が急騰するという心配である。
 しかし、長期国債金利(10年もの新発債金利)は10年4月よりも財政の見通しが悪化した11年3月現在の方が0.1ポイント低く、国債金利が急騰する気配はない。
 11年1月に、格付け会社スタンダード&プアーズは日本国債をAAからAAマイナスに格下げしたが、日本国民は国債を安全な資産として買い続けている。確かに、長期国債金利は10年10月を底に、11年2月中旬過ぎまで上昇傾向にあった。しかし、それは財政悪化が懸念されたためではなく、この期間に予想インフレ率がマイナスであるものの、上昇したためである。
 3月11日に東日本大震災が発生してからは、むしろ低下傾向にある。これは、人々が一層のデフレを予想するようになったからであると思われる。
 日本の長期国債金利が低位安定している基本的な理由は、人々が日本では当分の間、デフレが続くと予想していることにある。したがって、人々の予想インフレ率が急激に何十%も上昇しない限り、長期国債金利が急騰することはない。
 しかし、このことは、長期国債金利を低位に安定させておくために、いつまでもデフレのままでいればよいことを意味しない。
 財政破綻を避けるには、デフレを早期に脱却して、長期的には、インフレ率を2%程度で安定させ、日本経済の名目成長率を先進主要国並の4%程度に引き上げる必要がある。
 ところで、日銀の国債引き受けとは、政府が発行した国債を日本銀行が購入することをいう。ではなぜ、政府が発行した国債の購入を投資家に任せずに、日銀が購入すべきなのだろうか。


 これ以降についての解説は、来月発売予定の拙著『経済復興──大震災後の再建のために』(仮題)で、詳細に述べることにしたい。また、この著書では、日本がこれまでに直面した、関東大震災、太平洋戦争の敗戦、阪神・淡路大震災という危機においてとられた復興対策を検討し、東日本大震災からの復興を考える参考にしたい。

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