森や川、野原や丘を精細に描きながら、物語は青年の恋の行方を追って高調して行く。謎の老主人の過去が明かされる時、青年の名も明らかに――

晩夏 (下)
  • シリーズ:ちくま文庫
  • 1,650円(税込)
  • Cコード:0197
  • 整理番号:し-20-2
  • 刊行日: 2004/04/07
    ※発売日は地域・書店によって
    前後する場合があります
  • 判型:文庫判
  • ページ数:496
  • ISBN:978-4-480-03945-3
  • JANコード:9784480039453

この本の内容

「薔薇の家」から庭を越えて農場へ。時には遠く赤い十字架の建つライト丘まで。夏の光が溢れる中、独り散策を繰返すナターリエ。そんな姿を知りながら、青年もまた近郊の野や山を独り黙然と彷徨する。ある日の夕暮れ。二人の道は丘の上のベンチの木陰で交錯する。交わされる、穏やかで、慎ましやかで、僅かな会話…描かれる自然、森や川、野原や丘の何という味わい深さ。物語は、祝祭の時へ向かって静かに高まって行く。一人また一人と明かされる登場人物たちの名前。青年の名もまた高らかに宣言される時が…物語の終わるのが惜しい―ニーチェが再読三読に値すると評し、「ドイツ文学の至宝」と激賞した世界文学の逸品。

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