現場主義の知的生産法

関 満博

現場には常に「発見」がある! 現場ひとすじ三〇年、国内外の六〇〇〇工場を踏査した 歩く経済学者 が、現場調査の要諦と、そのまとめ方を初めて明かす。

現場主義の知的生産法
  • シリーズ:ちくま新書
  • 770円(税込)
  • Cコード:0234
  • 整理番号:340
  • 刊行日: 2002/04/18
    ※発売日は地域・書店によって
    前後する場合があります
  • 判型:新書判
  • ページ数:224
  • ISBN:4-480-05940-7
  • JANコード:9784480059406
関 満博
関 満博

セキ ミツヒロ

1948年生まれ。一橋大学名誉教授、明星大学教授。専門は産業論、中小企業論、地域経済論。現場主義を標榜し、100冊を超える著書を持つ。 「日本の製造業が危ない……体系だった後継者育成をしなければならない」と、2000年より全国の工業集積地などで私塾を展開。現在では20近くの都市・地域で塾が動いている。気仙沼市、浪江町などの震災復興委員も務める。『空洞化を超えて』(日本経済新聞社、サントリー学芸賞)、『現場主義の知的生産法』(ちくま新書)、『地域産業の「現場」を行く』1〜5(新評論)など著書多数。

この本の内容

現場には常に「発見」がある!国内五〇〇〇工場、海外一〇〇〇工場を踏査した“歩く経済学者”が、現場調査の勘どころを初めて明かす。実際に行ったモンゴル二週間四〇社調査をケースに、海外調査のルートづくり、インタビューの要諦、調査結果のまとめ方など、その全プロセスを公開する。調査が終わったらとにかく早く形にする、整理はしない、現場は刈り取るだけではなく育てるもの、等々、IT時代だからこそ心に染みる、超アナログ知的生産のすべて。

この本の目次

序 なぜ現場なのか
1 「現場」調査の準備編
2 いざ、現地へ―モンゴル二週間調査
3 結果をまとめる
4 生産性を上げる法
5 フィールドを育てる
結 「志」は現場で育つ

読者の感想

2009.6.24 サトシ

 本書は、フィールドワークの技法の良書である。本書の内容は、荷物は機内で手持ちの量しか持たない(空港で預ける時に込み時間の手間を減らす)、海外で衣服はなるべく買わず現地で買っても日本に帰国する前に捨てる(海外で買ったものを日本に帰国してから着ることもなく、棚に入れて次の海外視察の時に着る)、情報カード方式はカード整理しただけで仕事をした気になる、その情報カードと決別してからB5ノートと手帳を使いメモを取るようになった、論文は付き合っている彼女(彼氏)にも分かるように書けが、特に印象に残る。
 本書は「現場主義の知的生産法」と銘打った知的生産に関する書物の中で、人生論的に書かれたたった一つの書物である。現場の体験をエッセー化したものが、彼の著作の魅力である。理屈や理論より現場を歩けというメッセージに強く共感できる。

 大学生や大学院生は、本書を読み、現場とは何か、調査とは何かを見直してほしい。下手な質的調査や社会調査よりも本書が推し進める技法の方が有効なのである。統計とは現場を抽出したもので、決して数人や数十人取りましたと見せに来るものでもない。意味のないデータを生み出す前に、現場の声に耳を傾け書く事が必要である。
 本書は論文作法や論文教本ではないが、論文の書き方とは何かの書籍には抜け落ちている調査の技術や方法論が見事に描かれている。
 私は、本書「現場主義の知的生産法」と古郡氏の「論文・レポートのまとめ方(ちくま新書)」を読めば、卒論の書き方は一通り理解できるのではないかと思う。つまり、祖の両方を読み調査の方法と論文の形式を理解すれば、ぎりぎり合格の論文は書けるはずだ。

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