自己・あいだ・時間 ─現象学的精神病理学

木村 敏

間主観性の病態である分裂病に「時間」の要素を導入し、現象学的思索を展開する。精神病理学者である著者の代表的論考を収録。
【解説: 野家啓一 】

自己・あいだ・時間 ─現象学的精神病理学
  • シリーズ:ちくま学芸文庫
  • 1,760円(税込)
  • Cコード:0110
  • 整理番号:キ-14-2
  • 刊行日: 2006/05/10
    ※発売日は地域・書店によって
    前後する場合があります
  • 判型:文庫判
  • ページ数:480
  • ISBN:978-4-480-08969-4
  • JANコード:9784480089694
木村 敏
木村 敏

キムラ ビン

1931年、旧朝鮮生まれ。1955年、京都大学医学部卒業。現在、京都大学名誉教授、河合文化教育研究所所長・主任研究員。専攻、精神病理学。著書に『自覚の精神病理』(紀伊國屋書店)、『異常の構造』(講談社現代新書)、『時間と自己』(中公新書)、『木村敏著作集』全8巻(弘文堂)、『関係としての自己』(みすず書房)、『臨床哲学講義』(創元社)、『あいだ』『自己・あいだ・時間』『分裂病と他者』(ちくま学芸文庫)など。訳書多数。1981年にシーボルト賞、1985年にエグネール賞、2003年に和辻哲郎文化賞、2010年に『精神医学から臨床哲学へ』(ミネルヴァ書房)で毎日出版文化賞を受賞。

この本の内容

精神の病態を一時的な疾患としてではなく人生全体の示す歴史的な歩みとして位置づけ、独自の思想を重ねてきた著者の代表的論考のかずかず。自己と他者の「あいだ」の病態として捉えられてきた分裂病を、「時間」の病態として、現象学的な思索を展開する。とりわけ鬱病者の“あとのまつり”的体制に対し、分裂病者が“前夜祭”的な時間体制をもつという新しい構図は世界的に大きな波紋を広げた。他者や世界との「あいだ」、自己自身との「あいだ」の歴史性における患者の生のあり方を追究した本書は、精神病理学と哲学を自由に横断する独創的な学問的達成であるといえよう。

この本の目次

1 鬱病と罪責体験
2 躁鬱病の病前性格と発病状況
3 いわゆる「鬱病性自閉」をめぐって
4 離人症の精神病理
5 分裂病の時間論―非分裂病性妄想病との対比において
6 時間と自己・差異と同一性―分裂病論の基礎づけのために
7 精神医学と現象学
8 自己・あいだ・分裂病
9 分裂病の診断をめぐって
10 内因性精神病の人間学的理解―「内因性」の概念をめぐって
11 比較文化精神医学序説―若干の基本概念の検討

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