シャボテン幻想
シャボテンへの偏愛が横溢した愛好家垂涎のバイブル。本書の説く「荒涼の美学」は、日常に疲れた現代人をいまだ惹きつけてやまない。解説 田中美穂
「シャボテンは、―この不思議な植物は、それが生えていた砂漠の、人煙絶えたはるかかなたの世界の孤独を、一本々々影ひいて持って来ている。雲もなく晴れて刳れた空の下の、ただ焼け石と砂ばかりの世界に、淋しく乾いた音をたてて風が吹き抜けている」作家・龍膽寺雄は小説執筆の傍らシャボテン栽培に打込み、世界的な研究者となった。多くの入門書、専門書、写真集を刊行したが、中でも本書はシャボテンへの偏愛が横溢した随想集で、彼の説く「荒涼の美学」、「寂寥の哲学」はいまだ多くの愛好家を惹きつけてやまない。
荒涼の美学(生きた心臓を捧げる 古代アステカの神饌
世界で一番珍奇な植物
大自然の建築設計
砂漠の救世主
『死の谷』『悪魔の花園』の同伴者
砂漠が生んだ近代造型
植物のいろごと遊び
アンデスの孤独
怪奇な生態
感情を動かす植物(?))
詩篇
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