新・ちくま文学の森16 心にのこった話 ─心にのこった話
老人と鳩 小山清/へんろう宿 井伏鱒二/善人はなかなかいない オコナー/片腕 テネシー・ウィリアムズ 他
- シリーズ:シリーズ・全集
- 1,922円(税込)
- Cコード:0393
- 整理番号:
- 刊行日:
1996/01/22
※発売日は地域・書店によって
前後する場合があります - 判型:四六判
- ページ数:384
- ISBN:4-480-10136-5
- JANコード:9784480101365
- 在庫 ×
雲よ(谷川雁)
老人と鳩(小山清)
へんろう宿(井伏鱒二)
一条の光(耕治人)
善人はなかなかいない(オコナー,フラナリー)
片腕(ウィリアムズ,テネシー)
佐橋甚五郎(森鴎外)
〓女抄録(矢田津世子)
マラブートの唾(カネッティ)
客(カミュ)
大集会(ヒューズ,ラングストン)
晴れたり君よ(宇野浩二)
山桜(石川淳)
セエヌ河の名無し女(シュペルヴィエル)
すみれの君(ボルガー)
船乗りの少年の話(ブリクセン)
2009.10.29 義翁
「読む」って、おもしろい。
世の中、学ぶための読書も大事だろうけれど、長い人生には、ただ面白がるためだけの読書っていうのも結構重要なんじゃなかろうか、と思う。むしろ、そうやって面白がって読めた物語のほうが心の中に残りやすいような気がする。
何らかのカタチで物語が少しでも心の中に残ると、その残ったぶんだけ、心は豊かになるのだ、と私は信じてやまないのです。・・・読んだ物語の数だけ(ちょっとずつだけど)心は豊かになり、ひろがってゆく。それはホントのホントにちょっとずつだから傍目にはよく判らないかもしれない。でも、読んだ本が積み重なり、それによって心に残るものがだんだん多くなって行けば行くほど、心は確実にひろがってゆく。やがては他の人にも、そのひろがりが目に見えてくるようになる・・・はず。
「ちくま文学の森」「新・ちくま文学の森」はまさにこの「おもしろがる読書」のための本なのだと思います。
文学を純粋におもしろがるための本。
その結果として(オマケと言ってしまってはナンですが)心に何かが必ず残る本。
そして、心が豊かになり、ちょっとずつだけれど、でも、しっかりと確かにひろがってゆく、そんな本。
最終巻である本書はそのタイトルの通り、私の心にも、ずっしりと沢山のものを残してくれました。
・・・普通、本には体温なんて無いはずなのに、ただの紙のページのはずなのに、それがほんのりと温かく感じられてくる物語、小山清の『老人と鳩』。
・・・人懐っこいおどけたおしゃべりが、逆にひしひしと切なく思われてくる、矢田津世子の『痀女抄録』。
・・・みじかい話なのに、恋や冒険、それから殺人、はたまた人情、変身なんていう展開もあったりして・・・おもしろい物語の要素がギュッと詰まった、ブリクセンの『船乗りの少年の話』。などなど・・・。
「文学の森」を読んで、いろんな物語にふれあい、さまざまな感想をそれぞれに抱いたけれど、結局は次の一語に尽きるのです。
やっぱり「読む」っておもしろい。
読んでよかった。
本書をお読みになったご意見・ご感想などをお寄せください。
投稿されたお客様の声は、弊社HP、また新聞・雑誌広告などに掲載させていただくことがございます。
※は必須項目です。おそれいりますが、必ずご記入をお願いいたします。
(ここから質問、要望などをお送りいただいても、お返事することができません。あしからず、ご了承ください。お問い合わせは、こちらへ)
歳
公開可 公開不可