戦後思想家としての司馬遼太郎
近代日本と
司馬遼太郎を
問い直す試み。
司馬作品をそれが書かれた時代のなかで読み解くことにより、近代日本の形成とナショナリズムの役割について、彼が深めていった思索の軌跡を明らかにする。
没後十年以上たって、戦後が終焉したいま、司馬を読む行為は、戦後の日本、なかんずくナショナリズムとは何かを探ることである。『竜馬がゆく』『坂の上の雲』などを、戦後の時空間のなかで読み解く。全編書き下ろし。
第1章 はじまりとしてのサラリーマン(新聞記者としての司馬遼太郎―『名言随筆サラリーマン』
書き出された小説世界―「白い歓喜天」
「忍び」に託した社会認識―『梟の城』)
第2章 幕末維新期への関心(一九六二年の司馬遼太郎―「魔女の時間」
幕末の集団と人物―『燃えよ剣』
幕末維新の歴史像―『竜馬がゆく』)
第3章 東アジアのなかの日本国家論(躍動する日本国家像―『坂の上の雲』
国民国家創出の困難―『翔ぶが如く』
「日本人」をめぐって―「故郷忘じがたく候」
時間と空間の新たな把握―『街道をゆく』1)
第4章 文明論の展開(現代史への踏み出し―『ひとびとの跫音』
移動する民の記述―『菜の花の沖』
東アジアの歴史文明へ―『韃靼疾風録』
文化交流と少数民族への眼―『街道をゆく』2)
第5章 時評によるメッセージ(北方論と台湾論―『街道をゆく』3
時論と発言―『この国のかたち』)
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