初号試写を見る事ができた2

 いよいよ、7月12日発売の「週刊ヤングサンデー」に、「包帯クラブ」第1回が掲載されました。発売されたばかりのほやほやの一冊を手に取り、読み始めました。ラフ原稿で大筋はわかっていたのですが、ていねいにペン入れされた完成稿46ページからは、この作品に込められたオオイシさんの気持ちが、ひしひしと伝わってきました。
 すでに包帯クラブが活動を開始しており、そこにきた依頼の一つから物語をはじめています。いきなり「包帯を巻く」ことの意味の核心から語り出すという構成は、なかなかシャープだなと思いました。やはり、ドラマチックな作品が並んでいるコミック誌のなかでは、これぐらいのインパクトがないと霞んでしまうのでしょう。
 翌週、第2回が掲載されました。ここでは、原作冒頭のエピソードが描かれています。たしかに、構成は原作とは異なっているのですが、ちょっとした台詞などにも、原作がきめ細かく生かされています。ぼくは、担当編集者である福本さんが、大事そうに抱えていた、付箋が無数に貼り付けられた原作本を思い出しました。彼らコミック化のチームの方々が、原作をとっても大事にしてくれていることが感じられて嬉しくなりました。

 連載第1回、第2回と読み進んでいくうちに、原作、映画、コミックには、それぞれ独自のテイストがあることに気が付きました。映画には、まず<勢い>というか<スピード感>というか、そういうものを第一に感じました。堤監督の映像もそうですし、柳楽くん、石原さんの躍動感溢れる演技や、高橋瞳さんやハンバートハンバートの音楽も、その印象を加速していたように思います。そして、それが結果として観客の心を揺さぶり、映像作品としての感動を巻き起こしてくれるのでした。
 では、オオイシさんのコミック作品には、何を感じたかといえば、ズバリ<優しさ>でした。人々の悲しみや痛みを優しく包み込んでくれる、そういう感じがとってもいいなと思ったのです。青年誌に掲載されている漫画としては、絵柄といい描線といいキャラクターといい、きわめて優しいのです。だからといって、読んでいて印象が薄くなることはありません。かえって1コマ1コマが読み手に強く焼きつけられるような気がしました。例えば、ぼくには、第1回のクライマックス、靴に巻かれた包帯の連続したイメージが鮮明に残っています。
 では、ひるがえって、原作の特徴は何かと言えば、<しなやかさ>ではないかと思いました。どんなに苦しいことでも、悲しいことでも、こわばったり、かたまったりしないで、柔軟にしなやかに対応していく、そういう若者の姿が感動を誘ってくれたのでした。こういう風に感じるのは、作者である天童さんのしなやかな姿勢が反映しているのかもしれません。そして、原作のもっているしなやかな性質があるからこそ、映画化されても、コミック化されてもメッセージが変わらずに伝わっていくのかもしれないと思いました。
 それにしても、この「包帯クラブ」という作品には、それぞれのステージにおいて、素晴らしいチーム作りを進めていくという効能があるような気もしています。「ブランチ」というテレビの場所でも、筑摩書房という出版の場所でも、製作委員会という映画の場所でも、「週刊ヤングサンデー」というコミックの場所でも、それは見事に実現されていったのです。
 それぞれのチームのことを思ってしみじみとしていたら、嬉しいニュースが飛び込んできました。原作『包帯クラブ』の久しぶりの重版が決まったというのです。部数は8万部、これで累計26万部になりました。増刷分は映画化を前面に押し出した新カバーの装いで、8月初頭に店頭に並びます。この8万冊は、どのような場所で、どのような人たちの手に渡るのでしょうか。その一つ一つの出会いのことを想像すると胸が熱くなります。