6月終わりまでに、マスコミ関係者に向けての試写会は何回も行われてきました。口コミで評判が広がったためでしょうか、回を重ねるに従って入場者数が増えてゆき、とうとう、定員を大きく超える人たちが集まったために、お詫びして別の日に見ていただくようにお願いした日もありました。そのため、当初、予定していた試写会の回数を大幅に増やすことになりました。映画通の人に聞くと、こういうことはそうそうないようです。
7月23日、いよいよ、映画完成のご披露をすることになりました。当日は、六本木ミッドタウンタワー4Fカンファレンスで完成会見が開催されます。記者会見に先だって、近くの六本木スタジオで13時15分から、天童さんへのオフィシャルインタビューの収録がありました。これは、JNN系列各局に流すパブリシティなどに使用されます。この日、天童さんをアテンドすることになっているぼくは、ここで合流しました。
収録後、ミッドタウンタワーに移動すると、控え室にはすでに出演者たち(柳楽くん、石原さん、田中くん、関さん、佐藤さん)が集合していました。残念ながら、貫地谷さんはNHKのドラマ撮影のために出席できないそうです。一歩遅れて堤監督も到着しました。
まず、記者会見場の外のデッキで写真撮影が行われました。驚くほどの数のスチールとムービーのカメラマンが集まっていました。記者会見場には包帯でできたゲートをくぐって、天童さんを筆頭に、堤監督、柳楽くん、石原さん、田中くん、関さん、佐藤さんが順次登場しました。まず、天童さんが「この映画を見てから二日ぐらい体が熱いままでした。こういう素晴らしい映画の原作者であるということに誇りを感じています」と力強く語ってくれました。その後、監督と出演者たちが、この映画の見どころ、撮影時の楽しいエピソードなどを披露してくれました。柳楽くんは、ディノ役の熱い演技とうってかわった朴訥な受け答えで笑いを誘っていました。石原さんは、まさにワラ役そのままのしっかりした口調で、「今日は、包帯のコサージュを着けてきました」と包帯をアピールしていました。
記者会見が終了すると、再び、六本木スタジオに戻り、今度は天童さんと堤監督の対談の収録が行われました。堤監督が「この続編が読みたいですね」と天童さんに水を向けると、「ぼくも読みたいですよ」と笑いを誘い、「もし、第2作、第3作と書いたら、映画も撮ってくれますか」と逆に迫りました。堤監督は力強く「もちろん!」と答えて、二人は固い握手を交わしました。この対談は、映画公開直前に「王様のブランチ」で放映されることになっています。
続いて、天童さんはパンフレット用のインタビューを受けた後、丸の内TOEIに向かいました。ここで、完成披露試写会がおこなわれるのです。控え室で出番を待っていると、「ヤングサンデー」の編集者と一緒に漫画家のオオイシさんがやってきました。緊張気味に天童さんに挨拶していましたが、「いい作品ですよ」という励ましの言葉に嬉しそうに微笑んでいました。
時間が来ると、記者会見と同じメンバーが壇上に並び挨拶をしました。その後、客席をバックにしての撮影が始まりました。このとき、観客の人たちは、予め配られていた包帯を高く掲げてくれました。この光景はとてもいい絵になっています。

試写が始まると、天童さんとぼくは、TBSへと向かいました。「王様のブランチ」の本コーナーで、9月8日と15日の2回、『包帯クラブ』の特集を組むことになっています。そのための打ち合わせを綿密におこないました。この日、ぼくは、初めて『包帯クラブ』の創作ノートを拝見させて頂きました。登場人物の過去から未来までの詳細な年譜や場面ごとの「香盤表」などがビッシリと細かい字で綴られているのを見ていると、この作家の作品に込める情熱がヒシヒシと伝わってきました。
こうして、天童さんとぼくの長い一日は、22時過ぎに終わりました。近くの居酒屋でビールで喉を潤し、遅めの晩飯をとりながら、この日にあったあれこれのことを話し、『包帯クラブ』をめぐるこれまでのことを二人で反芻しました。この日は、かなり密なスケジュールで、天童さんもかなりお疲れの様子でしたが、「今日は楽しかった」と満足そうな表情でした。
先日、ある出版社で、映画化作品を数多く手がけている編集者に『包帯クラブ』のことを話していたとき、「ぼくの経験で言うと、原作者が映画を褒めるということは、滅多にないことですよ」との反応が返ってきました。ましてや、天童さんは映像作品については厳しい目を持っている人です。その彼が、ここまで映画を褒めるというのは、稀有なことなんだろうなあ、と思いました。
- 01「王様のブランチ」から始まった
- 02『永遠の仔』という作品の衝撃
- 03文庫版『家族狩り』が刊行される
- 04『包帯クラブ』が生まれた
- 05さらに成長していく物語
- 06映画化への道が開かれる
- 07製作委員会・ロケハン・脚本
- 08クランクインそしてロケ地訪問
- 09撮影はクライマックス(前)
- 10撮影はクライマックス(後)
- 11「初号試写」を観ることができた(1)
- 12「初号試写」を観ることができた(2)
- 13「初号試写」を観ることができた(3)
- 14堤監督からバトンが返ってきた
- 15コミック化も始動する(前)
- 16コミック化も始動する(後)
- 17完成会見・完成披露試写の日
- 18夜空の試写会 in 大磯高校
- 19映画公開へのカウントダウンが始まる
- 20映画公開と読者からのメッセージ
- 21DVDの発売、韓国での上映・出版などなど
- 227年がかりの大作『悼む人』が完成する(前)
- 237年がかりの大作『悼む人』が完成する(後)



