映画「包帯クラブ」の公開から、早いもので半年の時間が過ぎました。天童さんの小説から始まり、テレビ、映画と広がっていった波紋は、その後も、静かに着実に広がりつつあります。
今年の初めには、堤監督がブルーリボン賞監督賞の候補にあがっているとのニュースが流れてきました。残念ながら、受賞には至りませんでしたが、映画賞で監督賞の候補になったのははじめてということで、監督は喜んでいらっしゃったそうです。
映画のDVDも2月15日に、ポニーキャニオンから発売になりました。初回限定生産のプレミアム・エディションには撮影風景など、特典映像もたくさん入っています。ぼくも数カット登場し、一カ所ではひとこと言葉を発しています。このDVDにも「王様のブランチ応援ムービー」というシールが貼られていて、「ブランチ」との絆がきちんと示されています。
「ブランチ」の中野プロデューサーに「売れ行きはどうなんですか」と尋ねると、「とってもいいみたいで、ポニーキャニオンさんも喜んでいるそうです」という嬉しい返事がかえってきました。
この映画は1月10日から、韓国でも上映されました。それに併せて、韓国の出版社から韓国語訳『包帯クラブ』も刊行されました。映画のポスターといい翻訳本といい、ハングル表記のものを眺めていると、一つの作品が海を渡って拡がっていくさまがはっきりと感じられて、新たな感慨を覚えました。
翻訳本といえば、昨年7月には、台湾版も刊行されています。残念ながら、本文は読めませんが、韓国版といい台湾版といい、訳者や編集者の思いがこもった素敵な装丁でした。それぞれの国で、一人でも多くの人たちに届いてほしいと思いました。

まず、高橋瞳さんは「包帯クラブ」エンディング・テーマの「強くなれ」も収録されているニューアルバム「Bamboo Collage」発売にあわせた全国ツアーでした。12月9日、渋谷O-WESTで開かれたライブに、ぼくは天童さんと出かけました。Tシャツにジーンズという普段着姿の高橋さんは、ステージを駆け回り、ポップでロックな曲を次々と披露してくれました。小柄な彼女がよく見えるようにとステージには「瞳専用お立ち台」が用意されていましたが、それにピョコンと飛び乗って歌う彼女からは爽やかな若さが迸っていて、とっても可愛く、パワフルでした。
ハンバートハンバートは佐藤良成さんと佐野遊穂さんという、男女二人のデュオですが、今年の初めに「おいらの船」というライブコンサートを開きました。こちらには、天童さんは見に来られないというので、ぼくが託されたメッセージ(手紙)をもって、1月25日、渋谷DUO-Music Exchangeに行きました。彼らのライブは高橋さんとうってかわって、もっと大人の雰囲気でした。アコースティックでフォークっぽいテイストの曲が多いのですが、全体として独特の透明感がありました。曲によって、温かさがあるかと思えば、しっかりと陰影もあるという奥の深い世界を表現していました。ステージの後、楽屋を訪れると、佐野さんのおなかがせり出していて、もうすぐ産休にはいるということでした。考えてみると、この『包帯クラブ』プロジェクトが動き出してから、周辺で出産というニュースをたびたび聞くようになりました。物語の中だけではなく、現実の世界でもいのちの繋がりを実感できるというのは、素晴らしいことだなあとあらためて思いました。
さて、原作者の天童さんですが、いま、7年がかりの作品「悼む人」(「オール讀物」連載)の執筆が佳境に入っています。この作品も『包帯クラブ』と響きあう世界を描いています。今年中には文藝春秋から刊行されるということです。そして、この「悼む人」を書き終えたら、いよいよ『包帯クラブ』パート2の執筆が本格始動することになりそうです。ぼくは、読者のみなさんとともに、その日がくるのをじっと待っています。
ここまで書いて、事実確認をしてもらおうと、アップ前に天童さんにFAXで送ると、すぐに返信が来ました。そこには、このように書かれていました。
「久しぶりなので、これまでより客観的に読めたせいでしょうか、松田さんの、『包帯クラブ』と、この作品にさまざまな形で力を貸して下さった方々(あるいはもう、クラブメンバーの一員として活動してくれた方々、という方が合っているかもしれませんね)に対する愛情が、文章の隅々にまでゆきわたっているのを感じました。この原稿のなかに満ちている“やさしさ”が『包帯クラブ』なんだよ、と言いたいくらいです。
同クラブが、いきいきと息づいていることも伝わってきます。
早くパート2を読みたいと思ったほどです。
『〜との、まだ長い旅』『〜との、まだまだ長い旅』も、拝読したいので、第一走者として、あらためて、心して、よい表現を志してゆきたいと考えております。(いま毎日少しずつですが、メモをとって進めています。) 天童荒太」
- 01「王様のブランチ」から始まった
- 02『永遠の仔』という作品の衝撃
- 03文庫版『家族狩り』が刊行される
- 04『包帯クラブ』が生まれた
- 05さらに成長していく物語
- 06映画化への道が開かれる
- 07製作委員会・ロケハン・脚本
- 08クランクインそしてロケ地訪問
- 09撮影はクライマックス(前)
- 10撮影はクライマックス(後)
- 11「初号試写」を観ることができた(1)
- 12「初号試写」を観ることができた(2)
- 13「初号試写」を観ることができた(3)
- 14堤監督からバトンが返ってきた
- 15コミック化も始動する(前)
- 16コミック化も始動する(後)
- 17完成会見・完成披露試写の日
- 18夜空の試写会 in 大磯高校
- 19映画公開へのカウントダウンが始まる
- 20映画公開と読者からのメッセージ
- 21DVDの発売、韓国での上映・出版などなど
- 227年がかりの大作『悼む人』が完成する(前)
- 237年がかりの大作『悼む人』が完成する(後)



