筑摩書房

中原中也賞詩人が鮮烈に放つ初の小説集

星へと墜ちていくぼくらの疾走。

地下アイドルの“きみ”、イケメンの“あいつ”、冴えない“ぼく”、ギリギリを生きる魂たちが織りなすダークでポップな純度300%の青春小説

ASTRAL SEASONS.BEASTLY SEASONS

あいつ、人なんて殺したくない、殺せない、はずなんだ。あいつ、それを、きみのために、きみのせいで。きみが人を殺したせいで。それでも、それでもぼくはきみが好き。あいつだってきみが好き。ずっときみが大好きで、いつか嘘でも奇跡でもまぐれでもいいから、きみに、武道館に行ってほしかった。そんな夢をみていたんだ。きみみたいに努力もできない、きみみたいに必死になれない、ぼくらが。(本書より)