『秋の牢獄』と「古谷千佳子」


「王様のブランチ」は、この日で第600回を迎えました。それを記念して、この日の放送は沖縄県那覇市の首里城から生中継でお送りすることになりました。
前日、昼前に那覇に到着し、先行ロケで沖縄に来ているディレクターのオススメの沖縄そばを食べて、首里城の中継ポイントを確認に行きました。すると、にわかに雨が降り出してきました。夜の19時からは、ホテル・ハーバービューで600回のお祝いのパーティが開かれました。その後、二次会、三次会とあったようですが、ぼくは22時でリタイア、部屋で本を読んでいました。若いスタッフの中には、3時過ぎまで飲んでいて、睡眠1時間で本番にのぞんだ強者もいたようです。
その晩は激しい雨で、翌日の天気予報も「曇り時々雨」というものでした。ところが、朝になると青空が広がり、まぶしいばかりの天気でした。気温も25度と高く、汗ばむような気候でした。ぼくは、自分のコーナーを無事終えて、ここで取り上げた『秋の牢獄』の作者恒川光太郎さんと一緒に沖縄そばを食べました。この「てぃしらじそば」という店は、新しい店だそうですが、恒川さんが一押しというだけあって、ジューシー(かやく飯)ともども絶品でした。
その後、みんなのオススメで「沖縄美ら海水族館」に行って、ジンベイザメが悠然と泳いでる姿を観賞しました。帰りに、今度はタクシーの運転手さんオススメのお店でまたまた沖縄そばを賞味しました。帰路は、20時半発の飛行機の予定だったのですが、整備が遅れて30分後に搭乗。すると、電気が切れ、エアコンが止まってしまいました。サブの電源が動かないとのこと。メイン電源で問題なく飛行できるということで1時間半遅れで出発しました。羽田に到着するまでは心配だったのですが、無事着くことができました。
なかなか、波乱に富んだ、面白い沖縄旅行でした。(写真は本番直前の様子です。)



<クリスマス絵本ランキング>  (11/1~30 青山ブックセンター本店調べ)
 1位 荒井良二『ぼくのおとぎ話からの手紙』(フレーベル館)
 2位 酒井駒子『よるくまクリスマスのまえのよる』(白泉社)
 3位 及川健二『ねこのセーター』(学習研究社)
 4位 アン・グッドマン『メリークリスマス、ペネロペ!』(岩崎書店)
 5位 パトリック・マクドネル『おくりものはナンニモナイ』(あすなろ書房)


<特集・海人写真家古谷千佳子>
沖縄在住の海人写真家古谷千佳子さん。東京に生まれ、家族旅行で訪れた沖縄の海に惹かれ、いつか沖縄に、と決意しました。そして、知り合ったウミンチュ(漁師)を通して、漁業の世界や海辺の暮らしに興味をもちました。自ら潜水漁法を経験後、東京でカメラマンの修業をかさね、再び沖縄にやってきて、本島、離島を飛び回り、海人の暮らしをカメラにおさめてきました。東京や沖縄で写真展を開催したり、雑誌などに作品を発表しています。古谷さんの撮影に同行して、その仕事ぶりと沖縄のおじいたちに寄せる熱い想いを語ってもらいました。


<今週の松田チョイス>
◎恒川光太郎『秋の牢獄』(角川書店)



松田 沖縄在住の新進気鋭の作家・恒川光太郎さんの最新作『秋の牢獄』です。
VTR デビュー作『夜市』で日本ホラー小説大賞を受賞し、直木賞候補にもなった恒川光太郎さんの珠玉の作品集『秋の牢獄』。11月7日、水曜日。女子大生の藍は、秋のその1日を、何度も繰り返している。毎日同じ講義、毎日同じ会話をする友人。朝になれば全てがリセットされ、再び11月7日が始まる……。>
松田 この本には三つのお話が収められています。ある1日が永遠に繰り返される話や、日本の各地を移動していく家に住むことになった男の話、幻を操れる超能力をもった少女の話です。どれも「閉じこめられる話」なんですね。主人公たちは、時間や場所などに閉じこめられてしまいます。そして、そういう自分が置かれた状況がわかってくると、彼らは深い絶望に陥ります。でも、その絶望の底から、いい知れない幸福感のようなものもわき上がってくるんです。ちょっとしたはずみに、フッと迷い込んでしまいそうな怪しいまでに美しい別世界を垣間見せてくれる、リアリティをもった現代の民話といった感じで、味わい深い物語ばかりです。
谷原 恒川さんは沖縄在住ということですが……。
松田 この本のお話は沖縄が舞台になっているわけではありませんが、日常生活の延長線上にスピリチュアルな世界が広がっている沖縄という土地からインスパイアされているということです。