『造花の蜜』と「西野亮廣『Dr.インクの星空キネマ』」


<総合ランキング>  (三省堂書店全店調べ・1/26~2/1)
① 出口宗和『読めそうで読めない間違いやすい漢字』(二見書房)
② バクラ・オバマ『オバマ演説集』(朝日出版社)
③ バクラ・オバマ『オバマ大統領就任演説』(朝日出版社)
④ マーシー・シャイモフ『「脳にいいこと」だけをやりなさい!』(三笠書房)
⑤ 清原和博『男道』(幻冬舎)
⑥ 山本兼一『利休にたずねよ』(PHP研究所)
⑦ 五木寛之『人間の覚悟』(新潮社)
⑧ 塩野七生『ローマの亡き後の地中海世界 下』(新潮社)
⑨ 大前研一『「知の衰退」からいかに脱出するか?』(光文社)
⑩ 湊かなえ『告白』(双葉社)


<特集・西野亮廣『Dr.インクの星空キネマ』>
◎西野亮廣『Dr.インクの星空キネマ』(幻冬舎)



人気お笑い芸人「キングコング」の西野亮廣さんが描いた渾身の力作絵本。フジテレビ「笑っていいとも」の番組中に描いた西野さんの絵を司会のタモリさんが絶賛。本格的に絵本を描くきっかけになったとか。素人とは思えぬ想像力と精緻な画力は、ファンならずとも読んでみたい1冊! どうして星は流れるの? どうして人は夢を見るの? 丘の天文台にひとりで暮らすおじいさん、時代遅れのハシゴ屋さん、村人から恐れられているバケモノ、世界中のみんなのために“夢の脚本”を書き続ける人。それぞれの思いで毎日星空を見上げる孤独な人たちが、小さな幸せを見つける感動のファンタジー。星空を見ることを忘れてしまった大人が泣く、子供が微笑む、優しさが心に沁みる物語。「はねるのトびら」の収録前にブランチをよくみているという西野さんを直撃。絵本を書くきっかけ、絵を描こうと思ったきっかけ、周りの人の反応などをインタビューをしてきました。
松田 素晴らしいですね。夢の世界で思う存分遊びたいという気持ちが緻密な絵から伝わってきます。そういう西野さんの夢の中に、ぼくたちが迷い込んだような奇妙な感覚のある不思議な絵本で、とっても楽しいですね。


<今週の松田チョイス>
◎連城三紀彦『造花の蜜』(角川春樹事務所)



松田 とんでもなく面白いミステリーです、連城三紀彦さんの『造花の蜜』です。
N 幼稚園でひとり息子が誘拐された。しかし、担任は開き直ったように告げる、「だって、私、お母さんに……あなたにちゃんと圭太クン渡したじゃないですか。」事件の不可解な幕開けから渋谷スクランブル交差点での身代金受け渡しまで、どんでん返しの連続にあなたは翻弄され続ける。事件の驚くべき真相とは……。>
松田 読んでみるとわかるんですが、とにかく驚くし、とにかく面白いんです。最初はシーリアスな誘拐劇として物語は始まるんです。緊迫感にあふれた描写の連続に引き込まれていくと、犯人の意外な動きがあって、物語がどんどんどんどん変わっていくんですね。その後に、何度も思いがけないどんでん返しが続いて、最後には、とんでもないところまで読者を連れてってしまうんです。……言えないのがつらいんですが。
谷原 ぼくも、読んだんですが、どんでん返しと言えば、この間「太チョイ」でも紹介したジェフリ・ディーヴァーがすごく有名じゃないですか。でも、それに負けないくらい、筋立てだとか、伏線のうまさみたいなものがあったりして。ただ違うのは、ジェフリ・ディーヴァーはとてもエンタテインメント性が強いとすると、こっちの方は、日本的な情動であったりとか、上質なドラマを観ているような読後感があって。ぼく自身、キャラクターの魅力にひきこまれて……犯人とそれを追う警部のキャラクターに……。
松田 あんまり言うとネタバレになっちゃいますよ。
優香 そうなんだあ。
谷原 すごい、引き込まれました。
小林 読みたーい。
松田 本当にいろんなミステリーの要素がいっぱい入っていて、一冊でミステリー大全集という感じの大傑作ですね、これは。
谷原 一度読み始めたら止まらない、怒濤のエンタテインメントを、皆さんぜひ読んでみてください。