『廃墟建築士』と「ブーム到来!漢字勉強本」


<総合ランキング>  (文教堂書店全店調べ・2009年2月9日~2月15日)
① 出口宗和『読めそうで読めない間違いやすい漢字』(二見書房)
② 清原和博『男道』(幻冬舎)
③ 押切もえ『モデル失格』(小学館)
④ M・シャイモフ『「脳にいいこと」だけをやりなさい!』(三笠書房)
⑤ 湊かなえ『告白』(双葉社)
⑥ 内田康夫『還らざる道』(祥伝社)
⑦ 野村克也『あぁ、監督』(角川書店)
⑧ 大前研一『さらばアメリカ』(小学館)
⑨ 山本兼一『利休にたずねよ』(PHP研究所)
⑩ 中谷巌『資本主義はなぜ自壊したのか』(集英社インターナショナル)


<特集・ブーム到来!漢字勉強本>
国のトップたるお方が「未曾有」を「みぞゆう」と読み、恥をさらしたあの事件。そこからぐんぐん部数を伸ばしている本が、漢字勉強本。たくさん出版されている漢字勉強本の中から、売れ筋の3冊を紹介。それぞれの著者(編集代表者)などにインタビュー。それぞれの本のウリ、オススメの問題を出題してもらいます。


①出口宗和『読めそうで読めない間違えやすい漢字』(二見書房)



現在87万部の大ベストセラー。著書の出口さんによると、漢字勉強本は去年の“おバカブーム”から徐々に部数を伸ばしていたが、麻生さんがきっかけとなって大ブレイクしたそうです。


②日本語倶楽部『読めないとバカにされる漢字1500』(河出書房新社)



“大人として必須の漢字1500”を集めた漢字勉強本で、現在11万部のベストセラー。民主党石井議員が直々に出版社に電話し、「おもしろかったので麻生さんへの質疑の際に使いたい」と連絡してきた話題の本。


③現代総合研修センター『漢字でゼッタイ恥をかかない本』(ロングセラーズ)



今年2月1日初版にもかかわらず、既に7万部を突破。パソコンや携帯が浸透して、漢字が書けない、漢字の変換ミスが多い現代っ子向けの漢字勉強本。“書けるようになる”、“変換ミスをなくす”にこだわった一冊。


<今週の松田チョイス>
◎三崎亜記『廃墟建築士』(集英社)



松田 架空の物語なのに不思議なリアリティがある短編集、三崎亜記さんの『廃墟建築士』です。
N ちょっと不思議な建物をめぐる奇妙な事件を描いた短編集『廃墟建築士』。犯罪率の高い七階だけを撤去する。魂の安らぐ空間・廃墟を新築する社会。夜のなると本が空を飛ぶ図書館。意識がある蔵の話。ありえないことなど、ありえない。現実と非現実が同居する4編収録の三崎亜記の最新作。>
谷原 実は、ぼくも読ませてもらったんですが、4編が収録されている短編集で、その中で「図書館」という1編があるんですけども、夜になると本たちが自由に飛び回るんですよ。本好きのぼくとしたら、その様を想像するだけでワクワクしちゃって。もしや、家にある本棚の本が飛んだりしたら、見たいような見たくないような、怖いような不思議なものですよね。
松田 「ナイト・ミュージアム」みたいな世界ですね。それぞれに、現実世界とちょっとズレた世界が描かれるんですね。でも、その世界では「あたりまえ」のことだと思われていて。そういうことを、法令とかマニュアルとか歴史記述といった、わりにクールな、客観的な文章で書かれているんですね。特別大げさに、「変なことがあるよ」って言ってないんだけど、そこから、すごく「情」みたいなもの、情感みたいなものがふつふつと湧き起こってくるんです。建物の話なんです、全部、それぞれの建物が、いつの間にか生き物みたいな感じで伝わってくるんですよね。本当に不思議なテーストが味わえる、楽しい作品集ですね。
谷原 不思議なリアリティがありますよね。