『エ/ン/ジ/ン』と「室井滋『マーキングブルース』」


<総合ランキング>   (有隣堂書店全店調べ・3/8~3/14)
① 中村克『最後のパレード』(サンクチュアリ出版)
② 加藤久仁生・平田研也『つみきのいえ』(白泉社)
③ 出口宗和『読めそうで読めない間違いやすい漢字』(二見書房)
④ 渡辺淳一『欲情の作法』(幻冬舎)
⑤ 勝間和代『断る力』(文藝春秋)
⑥ 堂本剛『堂本剛と頭のなか』(日之出出版)
⑦ 細野真宏『「未納が増えると年金が破綻する」って誰が言った?』(扶桑社)
⑧ M・シャイモフ『「脳にいいこと」だけをやりなさい!』(三笠書房)
⑨ 工藤龍矢『グーグル営業!』(インプレスジャパン)
⑩ 飯島奈美『LIFE』(東京糸井重里事務所)
<BOOKニュース>
◎小林麻耶『まや☆日記』(小学館)



TBSアナウンサー小林麻耶の人気ブログ『まや☆日記』が大幅加筆されて待望の書籍化。TBSアナウンサー6年間の軌跡はもちろん、自身が出演した番組の制作の裏側から、お気に入りスポットなども紹介。撮り下ろしプライベートフォトも収録したファン必見の一冊です。


<特集・室井滋『マーキングブルース』>
◎室井滋『マーキングブルース』(メディアファクトリー)



女優のかたわらエッセイなどで天才的な才能をみせ数々のヒット作を書いてきた室井滋さんのはじめての小説。「猫と女」の物語と、物語と重なるテーマの軽妙エッセイとのカップリングで、ただカワイイだけの猫本ではなく、「ノラ猫の誇り高さ、たくましさ、健気さ」と女性の生き方との重ね合わせています。ムロイ氏が街で撮った猫写真付き。猫を6匹飼っているという室井さん、ロケ現場に一匹連れてきてもらい一緒にインタビュー。初めての小説を書くにあたっての気持ちやきっかけ、猫との出会いなどをお伺いしました。


<今週の松田チョイス>
◎中島京子『エ/ン/ジ/ン』(角川書店)



松田 風変わりだけど、なぜか惹きつけられるお話、中島京子さんの『エ/ン/ジ/ン』です。
N 身に覚えのない幼稚園の同窓会の招待状を受け取った、葛見隆一。仕事と恋人を失い、長い人生の休暇にさしかかった隆一は、会場でミライと名乗る女性と出逢う。彼女は、人嫌いだったという父親の行方を捜していた。手がかりは、「厭人」、「ゴリ」の、二つのあだ名だけ。いったい父は何者だったのか?>
松田 これは、中年にさしかかった男女が、自分たちが生まれた時代、1970年代に、父や母は何を考え、どう生きていたのかを、時を超えて探っていくというお話です。主人公たちや、彼らが出逢う人びとが個性的でチャーミングなので、なんだか、彼らのタイムトラベルに同行しているような気分になっていきます。そして、最後には、親の世代から子の世代に、「何か」が脈々と続いている、そういう手応えを感じさせるラストが待っているんです。
谷原 ぼくも読ませてもらったんですが、ぼくは1972年生まれなんです。ぼくたちが子どもの時、自然が残っているところで遊んでいたんですが、その頃のことを思い出しました。そして、ヘンリー・ダーガーのことがでてくるんですが、世田谷美術館の「アウトサイダー展」で絵を見ているので、そこからはグッと身近に感じられましたね。
松田 現実にあったことをちりばめて、そこに物語をからめていくので、不思議なテイストのお話になっていますね。