『学校で愛するということ』と「西川美和『きのうの神さま』」


<総合ランキング>   (有隣堂書店全店調べ・4/26~5/2)
① 山崎豊子『運命の人 1』(文藝春秋)
② 東野圭吾『パラドックス13』(毎日新聞社)
③ 国分太一・ケンタロウ『太一×ケンタロウ 男子ごはんの本』(M.Co.)
④ 小宮一慶『どんな時代もサバイバルする会社の「社長力」養成講座』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
⑤ くるねこ大和『おばさんとトメ』(幻冬舎)
⑥ 副島隆彦『日米「振り込め詐欺」大恐慌』(徳間書店)
⑦ 湊かなえ『告白』(双葉社)
⑧ 北方謙三『楊令伝 9』(集英社)
⑨ 山崎豊子『運命の人 2』(文藝春秋)
⑩ 勝間和代『断る力』(文藝春秋)


<特集・西川美和『きのうの神さま』>
◎西川美和『きのうの神さま』(ポプラ社)



映画監督西川美和さんは、06年公開の映画「ゆれる」で第61回毎日映画コンクール・日本映画大賞をはじめ数々の映画賞を受賞、世界的な評価も獲得しました。また自らが小説化した『ゆれる』が第20回三島由紀夫賞候補になりました。その西川さんが、3年ぶりの書き下ろし小説を発表しました。日常に潜む人間の本性を渾身の筆致であぶりだした短編集です。この作品は、笑福亭鶴瓶、瑛太らが出演、西川さんがメガホンをとった映画「ディア・ドクター」から生まれた、もうひとつの物語です。今回、僻地医療の小説を執筆し映画を製作する際に、西川さんが取材した西伊豆の診療所を訪問し、診療所の先生や看護師さんなどにお話を伺い、往診にも同行させて頂きました。インタビューでは、僻地医療をテーマにした映画と小説のことをお伺いしました。
谷原 松田さんは、西川さんの小説のどんなところに魅力を感じますか?
松田 西川さんて、映画と小説の表現の違いがよく分かってる人なんですね。だから、言葉でしか表現できない心の揺らぎとか気配とか匂いとかを、すごく効果的に使ってまして。ところが、それを読んでいますと、ぼくたちの頭の中に鮮明な映像が浮かんでくるんですよね。すごい才能の人だと思いますね。


<今週の松田チョイス>
◎中森明夫『学校で愛するということ』(角川書店)



松田 いまや世界でも知られている「おたく」という言葉の生みの親である中森明夫さんが21年ぶりに書いた小説『学校で愛するということ』です。
 ねぇ、君。学校は好きかい? 希望第一高等学校、通称「キボコウ」で月一回の小論文授業が。課題は「学校で愛するということ」。学園祭、部活、生徒会……さまざまな出来事を通して、学校で過ごす日々のことを読者に問いかける。サブカル系のビッグネーム・中森明夫の学園恋愛小説。>
谷原 松田さん、この本の魅力は?
松田 (フリップを出し)一言で言いますと「なつかしの胸キュン感覚!」。
谷原 「胸キュン」懐かしいですねえ。
松田 みんなが青春のひとときを過ごす「学校」なんですけども、やっぱりいろんな意味で、胸をときめかせてくれる場所だったなあっていう気がするんですね。このお話の中では、学校の屋上とか、校庭とか、教室とか、体育館とか……いろんな場所でいろんな出来事が起きて、それがパノラマのようにちりばめられていくんです。そこで、甘い思い出も、楽しい思い出もあるし、苦い思い出も、つらい思い出もあるんです。でも、そういうことも含めて、やっぱり学校って特別な場所だったし、特別な時間だったということが、過ぎ去って、振り返ってみると、しみじみと感じられる。そういうことをこの物語を読んで思い出しましたね。
谷原 思い出すと甘酸っぱい時ってありますよね。
優香 学校って皆さん行くし、それぞれに思い出があると思うんですけど。私は、中高と女子校だったんで、あこがれる先輩が女子だったんですね。私、フェンシング部だったんですけども、高校生の先輩が格好良くて、その先輩のようになりたくて、「書いてください」って透明な下敷きにメッセージを書いてもらったりとか、お手紙のやりとりをやらせてもらったりとか、そういうことを思い出したりとかしましたね。