「道尾秀介『龍神の雨』」


<総合ランキング>  (有隣堂書店全店調べ・5/10~5/16)
① エリカ・アンギャル『世界一の美女になるダイエット』(幻冬舎)
② 国分太一・ケンタロウ『太一×ケンタロウ 男子ごはんの本』(M.Co.)
③ 小宮一慶『どんな時代もサバイバルする会社の「社長力」養成講座』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
④ 山崎豊子『運命の人 1』(文藝春秋)
⑤ 出口宗和『読めそうで読めない間違いやすい漢字』(二見書房)
⑥ 蛇蔵『日本人の知らない日本語』(メディアファクトリー)
⑦ 山崎豊子『運命の人 2』(文藝春秋)
⑧ 『もっとからだにおいしい野菜の便利帳』(高橋書店)
⑨ 中山美穂『なぜならやさしいまちがあったから』(集英社)
⑩ 湊かなえ『告白』(双葉社)


<特集・道尾秀介『龍神の雨』>
◎道尾秀介『龍神の雨』(新潮社)



降りしきる雨よ、願わくば、僕らの罪を洗い流しておくれ――。人は、意図せずに犯した罪に対し、どこまで償いを負わねばならないのだろう。暗転する事件の果て、二組の子供達がたどり着いた、慟哭と贖罪の真実とは? 現代版『罪と罰』とも言うべき贖罪の物語。今回、独特の世界観をもつ作家として、大きな注目を集めている道尾秀介を特集。道尾さんの仕事場にて、新作『龍神の雨』について、作家・道尾秀介についてインタビューしました。道尾さんの執筆方法や趣味(ギターが仕事場に4本ある)、過去にバンドをやっていたり営業をやっていたりした時の話、作家・道尾秀介が誕生するきっかけ、作家になろうと思った理由などを伺いました。
(道尾秀介 2004年、『背の眼』で第5回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞しデビュー。2006年、『向日葵の咲かない夏』で第6回本格ミステリ大賞候補。同年、『流れ星のつくり方』で第59回日本推理作家協会賞短編部門候補。2007年、『シャドウ』で第7回本格ミステリ大賞受賞。2009年、『カラスの親指』で第140回直木賞候補、第62回日本推理作家協会賞受賞。「このミステリーがすごい!2009年版」作家別投票第1位。)


谷原 松田さん、道尾さんの新作『龍神の雨』の「松田の一言」は……。
松田 こうです。(フリップを出して)「土砂降りの雨・子供たちの哀しみ」。
この物語は、あらゆる場面で烈しい雨が降っているんですね。道尾さんの非常に優れた描写力で描かれているんで、読んでいると、ぼくたちも降り注ぐ雨を浴びているような感じがしてきます。この雨が、実は、子供たちを追い詰めていく、歪んだ家庭環境のようなものを象徴しているんです。そして、お話は最悪の方向に向かっていくんですね。人間の醜い部分まで踏み込んでいくお話なんですけども、終始、どこかに清潔感があるんですね。だからこそ、より一層、子供たちの哀しみが切々とぼくたちの胸に迫ってくるんですね。本当に迫力のある物語ですね。