『5年3組リョウタ組』と「特集・山口隆」


 <月間コミックランキング>(2008.2/1~2/25 文教堂書店全店調べ)
 1位 岸本斉史『NARUTO―ナルト―』41巻(集英社)
 2位 久保帯人『BLEACH―ブリーチ―』32巻(集英社)
 3位 天野明『家庭教師ヒットマン reborn!』18巻(集英社)
 4位 空知英秋『銀魂』22巻(集英社)
 5位 村田雄介『アイシールド21』28巻(集英社)
 6位 大暮維人『天上天下』18巻(集英社)
 7位 北条司『エンジェル・ハート』25巻(新潮社)
 8位 石川雅之『もやしもん』6巻(講談社)
 9位 羽海野チカ『3月のライオン』1巻(白泉社)
10位 ハロルド作石『BECK』32巻(講談社)
谷原 松田さん、羽海野チカさんの9位にランクインした新しい作品ですが。
松田 『ハチクロ』でデビューして、いきなりブレイクしたという人ですけども、今度は青年コミックなんですね。本当に意欲的な人だなあと思います。読み始めると、孤独な青年と、それを包み込むように見守る三姉妹というお話で、本当に目が離せない。これからどうなるんだろうって、楽しみな作品ですね。


<特集・山口隆『叱り叱られ』>
◎山口隆『叱り叱られ』(幻冬舎)



ニューアルバム「音楽の子供はみな歌う」で、日本語ロックに新しいページを開いたサンボマスター。そのボーカル&ギター、作詞作曲を担当する山口隆。彼の初の本格的対談集『叱り叱られ』が、ついに発売。世代、文化、コミュニティの断絶を音楽は越えていけるのか? ゼロ年代にデビューした山口が山下達郎、大瀧詠一、岡林信康、ムッシュかまやつ、佐野元春、奥田民生という、彼が敬愛する6人の巨星たちに、問い、語り、思考した革命的な音楽論。ツアー真っ最中の山口さんを直撃。全身全霊を注いだライブパフォーマンスの原点となった中学生時代のロック体験、今回の対談で印象に残った言葉などをお聞きしました。


<今週の松田チョイス>
◎石田衣良『5年3組リョウタ組』(角川書店)



松田 テレビ番組のコメンテーターとしても活躍していますし、最近は小説を3作続けて発表しました石田衣良さんの『5年3組リョウタ組』という作品です。
N あの石田衣良さんが、学校社会を鮮やかに切り取った作品、『5年3組リョウタ組』。主人公は熱血でもなく内気でもない、ごく普通の小学校教師、リョウタ先生。問題児童にドキドキ、上司のパワハラには無力感。ペーパーワークに押しつぶされそうになりながら、それでも前向きにぶつかっていく姿が爽やかな感動を誘う学園小説です。>
松田 石田さんは、これまで『4TEEN』とか『池袋ウエストゲートパーク』とか、若者たち、少年たちの群像を鮮やかに描いてきたんですが、今度は、教師の目線で子供たちを描くという、初めての試みなんですね。主役のリョウタ先生というのは、教師ものにありがちな「熱血教師」ではなくて、普通の青年なんですね。茶髪でおしゃれなネックレスをして、教頭先生に注意されたり、合コンを楽しみにしていたりするという先生なんです。そういう先生の前に、いろいろな難問が次々と押し寄せてくるんですけども、迷ったり、つまずいたりしながら、前向きに一生懸命にやっている姿が、すごく感動的なんですね。教育問題というと、すごく大げさに構えちゃうんですが、結局、子どもと普通の目線でつきあうことが大事だということを教えてくれる。そういう作品でもあるんですね。
谷原 なるほど、実は翔太君も読んだとか。
翔太 はい。本当に泣けましたね。熱血ではないんですけども、逆にそれが感情移入とかしやすくて。ほんと、ぼくは本とかあんまり読まないんですが、スラッと読めて、本当に楽しかったなと思いました。