「直木賞予想」と「森見登美彦『宵山万華鏡』」


<総合ランキング>  (有隣堂全店調べ・6/29~7/5)
① 村上春樹『1Q84 BOOK1(4月-6月)』(新潮社)
② 村上春樹『1Q84 BOOK2(7月-9月)』(新潮社)
③ 蛇蔵・海野凪子『日本人の知らない日本語』(メディアファクトリー)
④ 藤井旭『欠ける太陽を見よう!皆既日食2009/7/22』(星の手帖社)
⑤ エリカ・アンギャル『世界一の美女になるダイエット』(幻冬舎)
⑥ 山崎豊子『運命の人 4』(文藝春秋)
⑦ トレーシー・アンダーソン『ザ・トレーシーメソッドDVD-BOOK』(マガジンハウス)
⑧ くるねこ大和『くるねこ 其の4』(エンター・ブレイン)
⑨ 三木谷浩史『成功の法則92ヶ条』(幻冬舎)
⑩ 森見登美彦『宵山万華鏡』(集英社)


<特集・森見登美彦『宵山万華鏡』>
◎森見登美彦『宵山万華鏡』(集英社)



森見登美彦氏さんの新刊『宵山万華鏡』は、奇怪、痛快、あったかい、傑作幻想小説。祇園祭宵山の京都。現実と妖しの世界が入り乱れる夜に、幼い姉妹、ヘタレ大学生、怪しい骨董屋、失踪事件に関わる叔父と姪などが次々と迷い込み……。森見流ファンタジーの新境地がここに誕生。京都に住んで京都についての作品を書いてきた森見さんに、作品の生み出し方などを、いつも持ち歩いているメモや小学生の時描かれた初作品を見せていただきつつインタビューしました。また今回は、出版を記念して、ファン感謝イベントが開催されており、なぜ女性に人気なのか、ファンの方や、イベントに参加されていた本上まなみさんに伺いました。
谷原 松田さん、森見さんの新作はいかがでした。
松田 <*松田の一言*「妖しの世界に連れてって!」>
お祭りっていうのは、町をあげての一大ページェントですけども、胸躍る妖しい世界でもあるんですね。そういう風に、お祭って魅力とともに魔力もあるんで、それをふんだんに盛り込んだ面白い物語なんです。本上(まなみ)さんもおっしゃっていたんですが、連作短編なんですが、前のお話に出てきた場面や出来事に、次の話で違う光が当てられていって、どんどん大きなパノラマが見えてくるという迫力満点の物語でもあるんですね。


<今週の松田チョイス>
*直木賞・芥川賞予想!*

優香 今週は、松田チョイス特別編ということで、先日発表された直木賞ノミネート作品を松田さんに解説していただきます。
松田 どれも面白く、魅力的な作品ばかりなので悩ましいですね。
出水 来週15日に決定する芥川賞の候補作品はこちらとなっています。
<芥川龍之介賞候補作品>
●磯崎憲一郎「終の住処」(「新潮」)
●戌井昭人「まずいスープ」(「新潮」)
●シリン・ネザマフィ「白い紙」(「文學界」)
●藤野可織「いけにえ」(「すばる」)
●松波太郎「よもぎ学園高等学校蹴球部」(「文學界」)
●本谷有希子「あの子の考えることは変」(「群像」)
谷原 この中で、松田さんが気になるのは?
松田 今回は、劇作家が二人、戌井昭人さんと本谷有希子さんがノミネートされていますが、ぼくは本谷さんに注目したいなあと思っています。
谷原 続いては直木賞ですね。
出水 直木賞の候補作品はこちらです。
<直木三十五賞候補作品>
●北村 薫『鷺と雪』(文藝春秋)
○西川美和『きのうの神さま』(ポプラ社)
●貫井徳郎『乱反射』(朝日新聞出版)
●葉室 麟『秋月記』(角川書店)
●万城目学『プリンセス・トヨトミ』(文藝春秋)
●道尾秀介『鬼の跫音』(角川書店)
出水 北村薫さんは6度目の候補。映画監督の西川美和さん、映画「鴨川ホルモー」の原作者万城目学さん、「このミステリーがすごい!」で1位に輝いた道尾秀介さんも候補となっています。
谷原 こちらはどうですか?
松田 前回の天童荒太さんのように、「この人!」という決め手がないんですが、ぼくは敢えて映画監督の西川美和さんを本命にしたいと思います。
N 以前、「ブランチ」の特集でも紹介。僻地の医療をテーマに描いた短編集。公開中の映画「ディア・ドクター」のアナザーストーリーでもある。>
松田 この短編集は、単なる映画のアナザーストーリーじゃないんですね。映画では絶対に表現できないような心の揺らぎや気配や匂い、そういうものをものすごくうまく使って小説を書いているんですね。ところが、読んでいるとぼくたちの頭の中には鮮やかな映像が浮かんでくる。すごい文章力だと思いますね。