『新世界より』と「特集・海堂尊『ジーン・ワルツ』」


<小説ランキング>(3/17~3/23 紀伊國屋書店新宿本店調べ)
 1位 東野圭吾『流星の絆』(講談社)
 2位 海堂尊『ジーン・ワルツ』(新潮社)
 3位 小川糸『食堂かたつむり』(ポプラ社)
 4位 川上未映子『乳と卵』(文藝春秋)
 5位 桜庭一樹『私の男』(文藝春秋)
 6位 万城目学『鹿男あをによし』(幻冬舎)
 7位 和田竜『のぼうの城』(小学館)
 8位 貴志祐介『狐火の家』(角川書店)
 9位 永井路子『岩倉具視』(文藝春秋)
10位 司城志朗『相棒』(小学館)
谷原 松田さん、「松チョイ」で特集しました2冊がいきなり7位と3位。ぼくが紹介した『のぼうの城』が7位で、優香ちゃんが紹介した『食堂かたつむり』が3位。
松田 本当に嬉しいですね。どっちも素晴らしい作品なので、是非読んでほしいですよね。
優香 えみちゃんも読んだんですよね。
はしの そうなんですよ。私も、先週の優香ちゃんの話を聞いて、すごい読みたくなって読んだんです。
優香 どうでした。
はしの 飛行機の中で読んだんで、後半、涙をこらえるのが大変。閉じては上向いて(上を向いて目をパチパチさせる)、また(本を)開けて、閉じては上を向いてと繰り返して。
松田 涙がこぼれてこないように。
はしの でも、作者の方が作詞家さんということがすごくわかる、スルーッと入ってくる文章で面白かったです。
優香 また後で語り合いましょう。
谷原 『のぼうの城』も面白いですよ。
はしの わかりました。


<特集・海堂尊『ジーン・ワルツ』>
◎海堂尊『ジーン・ワルツ』(新潮社)



あの『チーム・バチスタの栄光』シリーズの作者で現役医師でもある海堂尊さんが新作を発表しました。それが産婦人科を舞台にした『ジーン・ワルツ』。主人公は、美貌の産婦人科医・曾根崎理恵、人呼んで「冷徹な魔女(クール・ウイッチ)」。人工授精のエキスパートである彼女のもとに、それぞれの事情を抱える五人の女が集まった。神の領域を脅かす生殖医療と、人の手の及ばぬ遺伝子の悪戯がせめぎ合う。彼女は人のいのちをどこまで操ることができるのか? 『チーム・バチスタの栄光』を超えるドラマティックな衝撃があなたを襲う! 現役医師作家が日本最大の医療問題に挑んだ衝撃作! 作者の海堂さんを訪ね、この作品を書いた意図などを伺い、病理医としての素顔にも迫りました。
谷原 松田さん、海堂さんの新作『ジーン・ワルツ』はいかがですか?
松田 お医者さんなので、最先端の医療知識とか生命科学、遺伝子の世界の話とかがすごく面白く書かれているんですね。それだけじゃなくて、キャラクターも強烈で、『チーム・バチスタ』もそうでしたが、キャラクターが面白く動いてくれるので、ミステリーとしても楽しむことができる作品だと思います。


<今週の松田チョイス>
◎貴志祐介『新世界より(上・下)』(講談社)



松田 壮大なスケールの未来物語、貴志祐介さんの『新世界より』です。
 『黒い家』、『硝子のハンマー』など発表する作品が常に話題になる作家貴志祐介。彼が3年半の歳月をかけたSFエンタテインメントが『新世界より』。科学技術の衰退した1000年後の日本。そこは、「呪力」と呼ばれる超能力が支配する徹底した管理社会だった。何も知らされずに育った子供達に、想像を絶する悪夢が襲いかかる。博学な作者が、生物学、動物行動学などを駆使し、想像力の限りを尽くして描いた壮大な未来絵巻。>
松田 これは、千年後の世界でですね、ある女性が、それから千年後の人類に向けてある手紙を書いているという、めちゃくちゃスケールの大きい話なんです。
谷原 二千年後のことを見越して書いているという。
松田 そうなんですね。その女性が子どもの時代に、友だちと一緒に夏休みに冒険旅行をして、町の外に出てはいけないと言われているのに出て行って、すごい世界に、衝撃的な出来事に出会うんです。それから、ほんとうに血生臭い、巨大なスペクタクルが次々と起こっていって、最後には、なぜ、そういう世界ができていったのかということがわかるんですけども。また、未来生物、不思議な生物がいろいろ出てくるんですが、その奇妙な生態も面白いんですね。戦いのシーンもすごく迫力があります。で、千年後の未来物語というと、いかにも絵空事のように思われがちですが、今の社会にある生命観とか悪とか、そういうものを突き詰めていくと、こういう社会になっても、こういう世界になっても不思議ではないなと思わせて、リアルに迫ってくる、すごい迫力のある作品ですね。
谷原 松田さん、かなり分厚いですよね、この本。
松田 はい、1000ページ以上あります。いやあもう、ハラハラドキドキするんで、ページが減っていくのがもったいないぐらいで、「もう終わっちゃうのか」という感じで、迫力ありますね。
谷原 ぼくも、是非読んでみたくなりました。
松田 谷原さんは大好きだと思いますよ。