「2009上半期BOOK界ムーブメント」


<特集・2009上半期BOOK界ムーブメント>
2009年上半期に起こったBOOK界でのムーブメント、ニュースなどを紹介。


★漢字本がバカ売れ!?
◎出口宗和『読めそうで読めない間違いやすい漢字』(二見書房)



麻生総理の誤読発言から売上げが急上昇。テレビ番組などでも特集され漢字本が一躍ブームに。2009年上半期のオリコン書籍ランキングで1位を獲得。


★村上春樹最新作『1Q84』が大ヒット!!
◎村上春樹『1Q84』1・2(新潮社)



今年5月に発売された村上春樹7年ぶりの長編小説。発売前から予約が殺到し純文学としては異例の売れ行きをみせた。この「1Q84」の現象は村上春樹の過去作にまで影響を及ぼし『ノルウェイの森』や『海辺のカフカ』が再び売上げを伸ばし、また。作中に登場したクラシック音楽ヤナーチェックの「シンフォニエッタ」もCD売上げが急上昇したとのこと。新潮社担当編集の方にインタビュー。
優香 松田さん、まもなくノーベル文学賞が発表されるということですが、村上春樹さんの可能性は、あるんでしょうか?
松田 今年も、村上さんが有力候補だと言われていますね。特に、エルサレムでのスピーチは大きなインパクトを与えたと思いますから、今年は一番のチャンスかもしれませんね。『1Q84』は、抜群に面白い作品ですが、過激な表現があることがマイナスになるという見方もあるようですね。


★ブランドムック本
◎『キャス・キッドソンへようこそ』1~2(宝島社)



◎『Cher 2009 Spring/Summer Collection』(宝島社)



宝島社のブランドムック本が大人気となっている。購入者の目的はムック本に付属されるブランドアイテム。ブランドショップで買えばそこそこの値段がするものがムック本だと本の値段で買えるということで大ブームに。ムック本のほかにも人気女性ファッション誌にもアイテムを付属することで売上げが上昇しているのだとか。


★脳ブーム 
◎茂木健一郎『化粧する脳』(集英社)



脳に関する書籍が売上げを伸ばし、書店では特設コーナーを設けるなど脳ブームといえる現象が。脳科学者である茂木健一郎さんの著書「脳を活かす」シリーズなど脳関連の本がベストセラーになった。さらに、新聞でもコラムで取り上げられたり、ゲームソフトになっていたりと脳に関するモノは本だけでなく様々な分野に影響を与えている。


★ミステリー作家が大活躍!
◎湊かなえ『告白』(双葉社)   本屋大賞2009を受賞



◎天童荒太『悼む人』(文藝春秋)  第140回直木賞受賞



◎北村薫『鷺と雪』(文藝春秋)   第141回直木賞受賞



◎道尾秀介『龍神の雨』(新潮社)  このミス2009年版作家別投票1位



優香 湊さんの『告白』は、読んでいて引き込まれました。松田さん、ミステリーファンじゃなくても楽しめる内容ですよね。
松田 そうですね。ここのところ人気のミステリー作品を見ていると、単なる謎解きではなく、社会的な問題に切り込んだり、人間心理を深く探ったりといった要素を加味した、上質のエンタテイメント作品になっているものがヒットしている。そんな感じがしますね。