『田村はまだか』と「特集・槇村さとる『Real Clothes』」


先週(6月14日)は、9時前に発生した岩手・宮城内陸地震の影響で、「王様のブランチ」が中止になりました。そのために、先週の予定だった「特集」「松チョイ」が今週に繰り越しになりました。


<コミック・ランキング> (有隣堂アトレ恵比寿店 6/9~6/15)
 1位 尾田栄一郎『ONE PIECE』50(集英社)
 2位 浅野いにお『おやすみプンプン』3(小学館)
 3位 矢沢あい『Nana』19(集英社)
 4位 西村しのぶ『ライン』4(講談社)
 5位 瀧波ユカリ『臨死!!江古田ちゃん』3(講談社)
 6位 星野桂『D.Gray-man』15(集英社)
 7位 天野明『家庭教師ヒットマンreborn!』20(集英社)
 8位 黒丸・夏原武『クロサギ』19(小学館)
 9位 すえのぶけいこ『ライフ』18(講談社)
10位 井上雄彦・吉川英治『バガボンド』28(講談社)


<特集・槇村さとる『Real Clothes』>
◎槇村さとる『Real Clothes』1~4(集英社)



働いている女性の仕事や恋に対する等身大の悩みをリアルに描き、今、普段マンガを読まない20~30代の女性たちの間で、じわじわと人気となっているのが、槇村さとる『Real Clothes』(5/19・4巻発売・累計42万部)。主人公は、大手百貨店「越前屋」のふとん売り場勤務の天野絹恵(27)。「服なんてどうでもいい。表皮一枚のことじゃない」と思っていたのに、突然、エリート中のエリートが集まる婦人服第3部に異動……!? その手腕で4時間で1000万円を売り上げる部長・神保美姫や、その部下でやり手のバイヤーの田淵など、くせものぞろいの現場で、絹恵の人生が大きく動き始める……。35年にわたってマンガ界の第一線で活躍。作品には自分の働き方も反映していると語る槇村さん。今回はその仕事場での様子を紹介しつつ、読者から「力をもらえるセリフ」と評判の槇村流セリフ作り術など、作品作りの秘密について伺いました。


<今週の松田チョイス>
◎朝倉かすみ『田村はまだか』(光文社)



松田 久しぶりに、とっても気持ちのいい感動を与えてくれた長編小説、朝倉かすみさんの『田村はまだか』です。
N 札幌ススキノにあるとあるバーで、小学校の同窓会を終えた40歳の男女五人が「田村」を待っていた。大雪で列車が遅れ、クラス会に間に合わなかった「田村」。それぞれがある人との思い出を語り始めるが、「田村」はまだ来ない。人生にあきらめを覚え始めた世代が語り過ごした一夜は、怒涛の感動とともに幕を閉じる。>
松田 この作品は、絶妙な語り口のお話なんですね。クラス会で流れてきて、バーでグダグダ飲んでいる5人の男女という話なんですけども。なんとなく、名優揃いの舞台劇を観ているみたいな感じで、なんだか、バーのカウンターのこっち側にいて、彼らの話を盗み聞きしているみたいな臨場感があるんですよね。
優香 はい、そうなんです。私も読みました。本当におっしゃるとおりで、バーの空間がとっても良くて、みんなが「田村はまだか」って言うんですけども、そのセリフを言いたくなるように、田村さんを待っちゃうんですよね。
松田 そうですね。それで田村はなかなか来ないんですね。
優香 全然、来ないんですよ。
松田 その間に、ちょうど40歳の5人のそれぞれの人生が語られていくんですけども、いろいろ屈折していて、ちょっと人生を諦めかかっている人もいたりして。話を聞いていくと、なんで田村に会いたいと思っているかということがわかってくるんですね。それで、でも、田村はやってこないんですよ。ただ、最後には、人生っていろいろあるけどいいんだなあって、ある種深い感動のようなものが残る、不思議なテイストのお話ですよね。
谷原 田村は来るのか来ないのか、是非松チョイしてみてください。