「芥川賞・直木賞の予想」と「特集・この夏のオススメのガイドブック」


<特集・ブランチ厳選 この夏のオススメのガイドブック>


夏休みまであとわずか。旅行に行く人、まだ計画が決まってない人、長い休みが取れない人、それぞれにぴったりの旅本を紹介します。


◎「ことりっぷ」シリーズ(昭文社)



仲のいい女友達と2泊3日のショートトリップ。働く女性が週末に行く小さな旅を提案。女性に嬉しい気配りたっぷりのレストランやホテルをセレクトし、実際の旅に即したモデルコースを提案。


◎「旅行読売 臨時増刊号 思いたったらひとり旅」(旅行読売出版社)



日本全国の一人泊歓迎の宿、オススメスポットなど133選を紹介します。また、昔町、ローカル線、温泉、グルメ、神社、花など目的別にも観光スポットを紹介しています。


◎おののいも『てくてく北京』(ワニブックス)



今年の海外旅行先で、注目なのは、オリンピックも開催される北京。この町を著者が歩きつくします。写真ではなく詳細で楽しいイラストで、著者がひとり旅で見たもの食べたものの全てを紹介してくれます。


◎『島田紳助のすべらない沖縄旅行ガイドブック』(幻冬舎)



今、一番売れているガイドブック(アマゾン調べ)。芸能界一の沖縄通による最強ガイドブック。沖縄渡航80回以上の紳助さんが独断と偏見で沖縄のいいところをピックアップし、楽しみ方を提案します。(紳助さんのインタビューあり)


<今週の松田チョイス>


小林 今週の<松田チョイス>は特別編です。来週15日に発表となります、第139回芥川賞・直木賞の予想を松田さんに言っていただきます。
松田 はい。
小林 まず、芥川賞からまいります。候補になったのは、こちらの7作品です。この中で、松田さんが注目するのは、楊逸(ヤンイー)さんの『時が滲む朝』です。


◎楊逸『時が滲む朝』(文藝春秋)



松田 前回も受賞直前まで言った楊さんなんですけども、今度の作品は、1989年の、中国の民主化運動が天安門事件で挫折するんですね。それに参加した若者たちが、その後、不遇な人生を送っていくという話なんです。彼らが、尾崎豊の歌にすごく共感する。挫折の重さみたいなものが切なく迫ってくるんですね。ちょうど、北京オリンピック開幕直前で、中国のことにいろいろ関心をもたれていると思うので、今、是非読んでもらうといい作品だと思います。受賞してもらうと、中国人作家で初の受賞ということですから、ちょっと期待したいなと思います。
小林 さて、続いて参りましょう。注目の直木賞です。候補になったのは、こちらの6作品です。この中で、松田さんが「本命」としたのは、この作品です。


◎山本兼一『千両花嫁 とびきり屋見立て帖』(文藝春秋)



N 直木賞候補2回目となる山本兼一さんの『千両花嫁 とびきり屋見立て帖』。時は幕末、京都の茶道具屋の娘ゆずと店の奉公人だった真之介。二人は、駆け落ちして道具屋を構えたばかり。見立てと度胸と夫婦愛で、いわくつきの道具を捌き、勝海舟に坂本龍馬、新撰組とも渡り合う。夫婦の成長を軸に、商人の心意気を描く連作小説。>
松田 まず、キャラクターがとっても魅力的なんですね。道具屋の若夫婦と奉公人たちも素敵ですし、それに実在の坂本龍馬とか近藤勇とか高杉晋作なんかがからんでくる。だから、歴史的な事実とフィクションが見事に融合してて、本当にワクワク楽しませてくれます。それに、道具屋だけに、道具の「目利き」、道具話がまた、すごく楽しめるんですね。本当に、いぶし銀のような、味のある作品で、直木賞は新人賞なんですが、もうベテランの域に達している筆致だなあという気がしました。
谷原 ぼくも時代小説マニアなもので、チェックさせていただいたんですけども。いま、松田さんが「キャラクターが素晴らしい」とおっしゃったんですが、若夫婦の真之介とゆずさんの相性がすごくいいんですよね。道具の目利きを旦那さんがちゃんとやるんですけども、ゆずさんの方が、もともと道具屋のお嬢さんなんで、こちらの方が目利きのランクが上なんですよ。で、旦那さんは道具の目利きをするんですけども、幕末の志士たちの人物の目利きもするじゃないですか。町人と武士、志士たちというと、志士側で描かれている幕末物って多いんですけども、町人側から見た話なんですごく面白かったです。
松田 そうですね。町人が強くなってきた時代でもあるんですね。でも、主人公の夫婦がいいので、真之介は是非、谷原さんに演じてもらいたいし、ゆずさんは蒼井優さんかなあとか思ったりして。
谷原 いやあ、是非、やらせていただきたいですね。最後に若旦那の面目躍如のところもありますので、皆さん是非読んでいただきたいです。