『森に眠る魚』と「X'masに贈りたい絵本さがし」


<一般書ランキング> (リブロ池袋本店調べ・12/8~12/14)
① マーシー・シャイモフ『「脳にいいこと」だけをやりなさい!』(三笠書房)
② 奥野宣之『読書は1冊のノートにまとめなさい』(ナナ・コーポレートコミュニケーション)
③ 勝間和代『起きていることはすべて正しい』(ダイヤモンド社)
④ 伊藤理佐『おんな窓 2』(文藝春秋)
⑤ 美香『モデル・美香の女磨きダイアリー』(角川春樹事務所)
⑥ 『このミステリーがすごい!』(宝島社)
⑦ 沢木耕太郎『旅する力』(新潮社)
⑧ 水野敬也『大金星』(小学館)
⑨ 『ミシュランガイド東京2009日本語版』(日本ミシュランタイヤ)
⑩ 天童荒太『悼む人』(文藝春秋)


<BOOKニュース>
◎内澤旬子『おやじがき』(にんげん出版)



こぎれいで健康な、ちょいワルおやじが急増する現代。耳毛上等、臭気充満、世間の目なんて気にしない、そんなおやじは現在絶滅を危惧されています。そんな、絶滅に瀕したおやじの生態に迫った一冊。


<絵本特集・X'masに贈りたい絵本さがし>
◎俵万智『かーかん、はあい』(朝日新聞出版)



クリスマスはプレゼント用に絵本を買う大学生・社会人も増えるシーズン。新聞連載の絵本コラムをまとめた本『かーかん、はあい』を出版した俵万智さんが絵本選びをアドバイスしてくれました。俵さんといえば短歌で有名ですが、現在5歳の息子さんの育児をきっかけに、絵本もかなりくわしくなったとか。「一文が短くて声に出して読んで楽しむという点では、短歌も絵本も同じなんです」と語る彼女。大量の絵本に触れる中で“大人の絵本の楽しみ方”を幾つも発見したという俵さんが都内最大級の在庫を誇るクレヨンハウスで、クリスマスプレゼント用の絵本を選んでくれました。最後に、俵さんからブランチへ素敵なクリスマスプレゼントが! 「クリスマス」と「絵本」を題材に、短歌を一首頂きました。
松田 『かーかん、はあい』っていうのは、とっても素敵な本で、愛らしい本なんですね。お母さんと子どもが絵本を一緒に読みながら語り合うという、本当に微笑ましい姿なんですね。それと、子どもがいろんなことを発見するんですよね。その時の輝きと俵さんの感動みたいなものが、ものすごくストレートに伝わってきます。そして、最後の章でお子さんが、ちょっと一言言うんですけども、それがウルッと来るんですね。最後まで読んでもらえればわかります。とっても素敵な一冊です。是非読んでみてください。


<今週の松田チョイス>
◎角田光代『森に眠る魚』(双葉社)



松田 血も流れませんし、化け物も出てこないんですけども、本当に怖い話です。角田光代さんの『森に眠る魚』です。
N 角田光代の最新作『森に眠る魚』。「お受験」が盛んな、とある町で知り合った5人の母親たちは、互いに心を許しあう「ママ友」。しかし、育児に悩み、「お受験」に翻弄されるうち、5人の関係性はしだいに変容していく。「あの子さえいなければ」。「私さえいなければ」。母親たちの深い孤独と痛み、そして日常生活に潜む恐怖をあぶりだした力作。>
松田 ここに出てくる「ママ友」たちは、本当に親しくなった瞬間、今度は、お互いに頼る気持ちが大きくなっていくので、ちょっとした行き違いから、ねたみや疑いが生まれてきます。ただ、作者は、そういう一人一人に優しく寄り添って、理解してあげようとしているんですね。だから、逆に苦しみみたいなものがつらく伝わってくる。本当に、何とも言えない怖い世界なんですけどもね。
谷原 なるほど。優香ちゃん、読んでみたんですよね。
優香 ものすご~い怖いです。
はしの いま、感想を言う前に顔がすごくなりました。
優香 もう、もう、ものすごく恐ろしいんです。よく、男の人の妄想って、なんかロマンチックだったり、可愛かったりするじゃないですか。女の人って、なんか現実的な妄想っていうか……。女の人の、仲のいいグループがあって、その中で二人が喋っていたりすると、「アレッ、もしかして自分のこと悪く言われてるんじゃないか」とか、そういうことを気にすることが多いじゃないですか、女性の方が。そういう関係性のことなので、人間的な怖さ、そういうものなんです。
松田 そこに、いつも子どもが関わってくるんで、「ママ友」の大変なのは、そういうところで……。そして、彼女たちの辛さが臨界点に達したときに、とんでもないことが起きるんですよ。これは、ちょっと、読んでみないとわからないんですが。
優香 はあい。
松田 ただ、その後に、また日常に帰って行く、それを、ささやかな希望があると読むのか、深い絶望と読むのか、いろんな読み方ができると思うんですけどもね。
谷原 ぼくも読んで、女性の心理を学んでみたいと思います。
優香 はあい。