第35回太宰治賞

第35回太宰治賞受賞作が決定いたしました!

 2019年5月7日(火)午後4時30分から、第35回太宰治賞(筑摩書房・三鷹市共同主催)の選考委員会が、三鷹市「みたか井心亭(せいしんてい)」で開かれ、選考委員4氏(荒川洋治、奥泉光、中島京子、津村記久子)による厳正な選考の結果、以下のように受賞作が決定しましたので、お知らせいたします。


第35回太宰治賞受賞作
「色彩」 阿佐 元明


【あらすじ】
 眼を怪我したことで、プロボクサーの道をあきらめた千秋は、幼馴染の高俊の紹介で彼が働く塗装会社に就職。いまは塗装の仕事にも馴れ、懐の深い親方と高俊の3人での仕事はそれなりに充実し、もうすぐ子供も生まれる。そんなところへ親方が少し仕事を広げるため、新しく人を雇うこととなる。入ってきた新人は美術の専門学校を出たが、画家への道をあきらめ、仕事を求めてきた若い加賀君。真面目で気の弱そうな新人だったが、塗装の仕事に関しては初めてとは思えないほど覚えが早い。意外な新人の才能に喜ぶ親方と高俊。初めて年下の後輩が出来た高俊は毎日のように彼を飲みに連れ歩く。酒には弱いが仕事は真面目で、妊娠中の千秋の妻も含め周囲に好意的に見守られる加賀君に対して千秋だけは違和感をぬぐえない。嫉妬とも違う感情を抱えながら日々の仕事をこなす千秋。加賀君の怪我、工場の壁への絵を描く大きな仕事を経て、突然、加賀君が仕事をやめて実家の果樹園を継ぐと言い出す。彼が去り、自分の持っていた違和感の正体に気が付いた千秋は自分がやり残していたことに向かう。塗装業で働く人々の仕事と日常を繊細な心理描写と共にリアルに描いた作品。

著者略歴
阿佐 元明(あさ・もとあき)
東京都出身、在住。
1974年生まれ、44歳、男性。

なお、贈呈式および記念パーティの予定は以下のとおりです。
2019年6月17日(月)午後7時より(於 如水会館)
受賞作には、記念品及び賞金100万円が贈呈されます。