浪速のスーパーティーチャー守本の授業実践例

第四章 評論

第四章 評論

評論について

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② 評論の理解――実感に寄り添う

 では、「本当の理解」とは何でしょうか。「心情の積み重ね」が小説とすれば、評論は「論理の積み重ね」と言えます。では、論理を読み手に伝えることが評論かといえば、そうではありません。評論は、論理を実感として伝えることを目的としているのです。「詩」の章でも述べましたが、「腑に落ちる」という言葉はないのでしょうが、自分の身体にすぽっと入って実感できて初めて理解したと言えるのではないでしょうか。それゆえに世の哲学者や評論家は、具体例のみならず、さまざまな比喩を通して自説を展開しようとしているのです。

 また予備校の話に戻りますが、そこでは、具体例や比喩は論理を導き出すものとして扱われ、例や比喩が紹介された後のまとめの箇所が重要だとして傍線を引きます。やはり論理が大事なのですね。しかし、この例や比喩にこそ実感が潜んでいることが多いのです。その実感に目を向けず、論理だけでつなげていくと結局は「腑に落ちない」という結果になる可能性があるのです。そうなると生徒の反応は、「筆者の言いたいことはわかったような気がするけれど、読んでいてどうも面白くない。ピンとこない。」ということになるのです。

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