森永流「幸せに生きるヒント」

北原照久

 森永さんとは、平成八年十月に始まり、僕がはじめてメインキャスターを務めた、「HAMA大国ナイト」(テレビ神奈川)という番組に、三年間一緒に出演していました。この番組は、毎週金曜日夜八時から二時間の生放送で、ニュースのコーナーや食のコーナー、横浜ベイスターズのコーナー、もちろん僕のコレクションを紹介するコーナーなど盛り沢山の情報番組でした。
 中でも、その週の色々な事件や経済の話を、男女関係に置き換えて分かりやすく解説をする「今週のかわら版」というコーナーでは、森永さんが毎回奇抜な服装やヘアスタイルで登場し、周囲を楽しませつつ、僕が初めてのメインキャスターで緊張の連続だったのを、和ませてくれたことを懐かしく思い出します。その頃から森永さんの解説は分かりやすく、とても勉強になり素晴らしいなと感心していました。
 三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)客員研究員、経済アナリスト、テレビやラジオのレギュラー出演など、多方面で活躍している森永さんは、コレクターでもあり、現在四三種類のものを同時並行で収集しています。ミニカー・指人形・ファーストフードトイなどのおもちゃ系から、ペットボトルのフタ、お茶の空き缶、変わったものだと、有名人のサイン入り名刺など、その分野は多岐にわたっています。脈絡がないと言ってもよいのですが、面白いと思ったらなんでも集める、という変な人なのです。
 森永さんの書籍の中で「北原さんはメチャクチャ変な人」と書かれたことがあるのですが、僕に言わせると、森永さんこそ「超メチャクチャ変な人」だと思います。でも、森永さんが勉強して、経済のことを我々にも分かりやすく教えてくれる努力には、頭が下がると同時に、世界中を探しても、こんな変な経済アナリストはいないと確信しています。
 また、僕は一月末に出版した『北原コレクションちょっといい漢字』(評言社)で、コレクションの写真集を含めて、五八歳でちょうど五八冊出版し、書籍出版でエージシュートしたのですが、森永さんは『年収300万円時代を生き抜く経済学』(光文社)が四六万部のベストセラーになり、その印税やラジオの出演料で、自宅近くに博物館まで建ててしまいました。コレクションでは、質・量共に自信があるのですが、書籍の売上と印税に関しては、完全に森永さんに脱帽です。 
 今回の『森永卓郎の経済なんでも相談室』は、僕でも、本当に目からウロコの一冊です。誰にでも分かりやすく読めるように、Q&Aにした点や、たとえ話を交えながら解説した本書から、森永さんの優しさや人柄までが感じられます。堅苦しくなく、難しくなく、次の話にどんどん入っていけて、あっという間に読んでしまい、読後には満足感が残り、勉強になったなと感じられる一冊です。
 世界や日本の経済状況、景気のこと、税金や株のこと、将来を幸せに暮らすための経済の常識、これからなにをすればよいのかまで森永流に解説をしています。中には「面接のテクニックは、異性を口説くテクニックと似ている」などと、得意の男女関係に置き換えて分かりやすく分析しているところもあり、ただの経済を勉強する本とは一味違います。
 ラジオの出演のため、平日はホテルに泊まり、午前三時頃にスタジオ入りをしていて、睡眠時間が二時間ぐらいしかなく、とてつもなく忙しい森永さんが、いつどこでこのような本を書いているのか……。
 起業する人、サラリーマンの人、学生諸君など全ての人に、良いヒントを与えてくれると共に、これからを生き抜くためのバイブルとして是非読んでもらいたい一冊です。最後の「お金はあっても幸せにはなれない」には、涙が出るほど感動しました。恐るべし森永卓郎。

(きたはら・てるひさ おもちゃコレクター)

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森永卓郎の経済なんでも相談室

森永 卓郎 著

定価1,470円(税込)