梅田望夫・茂木健一郎 最強コンビの「宣言」!


……時代がめぐり、いま、人々は再び未来に明るい何ものかを見始めているように感じられる。未来は、今日よりも良いものになるかもしれない。そんな気分が次第に熱を帯びてきているように思われる。少なくとも、私にはそのように感じられる。
 十分に遠くを見る眼と、疾走する脚力、そしてほんの少しの勇気さえあれば、未来に対する人類の信頼をもう一度復興することができる。そんなチャンスが巡って来ているのではないか。私の中で、フューチャリストとしての血が騒ぎ始めている。
 今日における明るい未来像を生み出すもととなっているのは、インターネットである。宇宙に住んだり、空中カーで超高層ビルの間を飛んでいく日が近い将来に来るということはないかもしれない。そのようなかつて描いた未来像とは異なる形で、インターネットは私たちの生活を根底から変えるかもしれない。かつての未来像の中で夢見られてきたこと、とてもできはしないと諦めていたこと、密かに胸に秘めたまま、誰にも喋らないでいたこと。そのような様々なことが、息を吹き返し、生命力を得ることになるかもしれない。
……(中略)……
 未来は予想するものではなく、創り出すものである。そして、未来に明るさを託すということは、すなわち、私たち人間自身を信頼するということである。
 私たちが人間を信頼すればするほど、未来は明るいものになっていく。少なくとも、私と梅田さんは、そのように信じている。
 この本は、私たち二人の「フューチャリスト宣言」なのである。


茂木健一郎(「はじめに」より)

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