私たち二人は、この対談を通して「フューチャリストへの強い志向性」という共通点を発見した。フューチャリストとは、専門領域を超えた学際的な広い視点から未来を考え抜き、未来のビジョンを提示する者のことである。
 では私たちは、何のために未来を見たいと思うのか。
「自分はいま何をすべきなのか」ということを毎日必死で考えているから、そのために未来を見たいと希求するのである。
 私たちはいま、時代の大きな変わり目を生きている。それは、同時代の権威に認められるからという理由だけで何かをしても、未来から見て全くナンセンスなことに時間を費やし一生を終えるリスクを負っている、ということだ。
 同時代の常識を鵜呑みにせず、冷徹で客観的な「未来を見据える目」を持って未来像を描き、その未来像を信じて果敢に行動することが、未来から無視されないためには必要不可欠なのである。……


梅田望夫(「おわりに」より)

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