筑摩書房

表面的なルポルタージュを超える衝撃の一冊。

性風俗のいびつな現場 坂爪真吾 著

熟女専門、激安で過激、母乳が飲めるなど、より生々しくなった性風俗。
そこでは、どのような人たちが、どのような思いで働いているのか。
その実態に追い、これからの風俗がどこへ向かうのかを考える。
表面的なルポルタージュを超え、風俗に画期的な意味を見出した一冊。

ちくま新書 JANコード 9784480068682  本体 820 円+税

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性風俗のいびつな現場 坂爪真吾 著

目次

はじめに
◆逝きし風俗の面影/浄化作戦による、黄金時代の終焉

第一章 地方都市における、ある障害者のデリヘル起業体験記

障害を抱えながらの一念発起/「脱いでくれる女性」を、どうやって集めるのか?/デリヘルが「アナログ極まりない」サービスである理由は?/どのような男性が、どのように利用するのか/地方にも押し寄せる、価格破壊の波/デリヘル経営をやめたきっかけ/二元論では割り切れない、複雑な多面体の世界

第二章 妊婦・母乳専門店は「魔法の職場」

「でき婚」の若い主婦やシングルマザー、未婚妊婦からの応募が多い/短い勤務時間、少ない接客人数/どんな男性が母乳を吸いに来るのか/待機所兼託児所の風景/店長の個人史/皆が売らないものを売る仕事/「夜の世界のワークライフバランス」を実現できる女性の割合は? 証言 「kaku‐butsu SOD覆面調査団 風俗ランキング」の野望

第三章 「風俗の墓場」である激安風俗店が成り立つカラクリ

コストカットのため、女性はネットカフェで待機/過激なサービスを無料オプションとして提供する「風俗の墓場」/ビジネスとしての健全化の必要性/激安風俗店で働く女性の実像/生本番サービスが「合理的」になる理由/それでも彼女が悪質な激安風俗店で働くのはなぜか?/福祉や行政につないでも救われない/婦人保護施設は、激安風俗店に敗北したのか?/「非合理の合理性」の壁 証言 売春以上恋人未満の「会員制高級交際クラブ」

第四章 「地雷専門店」という仮面

「デブ・ブス・ババア」を集めた、レベルの低さ日本一の「地雷専門店」/なぜ地雷専門店は「アウト」なのか/「専属ヘアメイク」「リピーターが九割」の謎/女性に長く働いてもらうための仕組みづくり/働く「地雷女性」のリアル/地雷嬢たちの抱える困難/メイクの仕方もセックスの仕方も分からない?/客の本番要求から逃げろ!/線引きを曖昧にしているがゆえに稼げる/つかもうぜ! デッドボールドリーム/救済としての店外恋愛/本当に「地雷」なのは?/限りなくソーシャルワークに近い風俗/支援と搾取の境界線 証言 歌舞伎町とまちづくり

第五章 熟女の・熟女による・熟女のためのお店とは?

「女は五二から」/応募女性の実像/熟女はいくら稼げるのか/熟女には「村」が必要/熟女に抱かれたい男性客の気持ち/古本業界から風俗業界へ/ニーズを掘り起こす/「女を抱く場所ではなく、女に抱かれに行く場所」/熟女のリスク管理/自らと子どもを不幸にする、シングルマザーのプライド/何歳まで稼げるのか/支援と不信の狭間で/「おかあさん」の目指す場所/超えられない限界と消せないリスク 証言 風俗に役に立つデザインとは?

第六章 ドキュメント 待機部屋での生活相談

紙おむつとソーシャルワーク/もらえるお金はもらった方がいい/激安風俗店とソーシャルワークとの連携可能性/「最後の砦」としての風俗店/デッドボールの待機部屋内で、無料の相談会を開催/夫の自殺・借金・詐欺被害という不幸の連鎖/離婚とDV/アキレス腱としての家族/精神疾患との付き合い方/即断即決で社会資源につなぐ/風俗を「最前線の基地」にせよ

終章 つながる風俗
風俗と福祉、そして社会をつなぐために
あとがき