当世大学入試現代文事情

第2回 2009年大学入試の新鋭

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① 原研哉の「推敲」をめぐって

 2009年の春、東京大学の前期入試で出題された原研哉の「推敲」という文章があります。同じ箇所が、学習院大学文学部・成蹊大学文学部・学習院女子大学でも出題されました。これは2008年5月に刊行された『白』(中央公論新社)の中に収録されています。この本の別の箇所からも、早稲田大学文学部などで出題されました。

 筆者は、これまで大学入試ではお馴染みというわけではありませんでしたが、今を時めくグラフィックデザイナーで、含蓄のある文章も多数発表しています。この「推敲」という文章は、題名からもわかるように、中国唐代の詩人賈島の「推敲」の故事や「徒然草」の92段「ある人弓射ることを習ふに」にも触れられており、現代文明に対する批判的なコメントもこめられています。

 さらに分量的にも、入試問題作成者にも教科書編集者にも好まれやすい題材です。2008年11月に行われた大手予備校の模試でも出題されました。一方、筑摩書房でも『高校生のための現代思想ベーシック ちくま評論入門』(2009年3月刊)にも収録されています。

 このように各方面で注目されていたということは、おそらく、新しい学習指導要領のもとでの新教科書の編集現場でも話題になり、取り上げる会社も出てくるのではないでしょうか。

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