浪速のスーパーティーチャー守本の授業実践例

第一章 詩

第一章 詩

1 「木」 田村隆一

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④ 具体に寄り添う

 ここで、詩の表現に基づき、その情景を具体的に考えていきます。

 「目ざめている」から夜明け前。しかも、さまざまな木々が、「星の光りのなかに」にいる情景です。考えられる答えのひとつは、遠景として木々をとらえ、その上空に星空が広がっている光景です。星影が木々に降りそそいでいる光景を、遠目から見ているわけです。しかし、どうも座りがよくない。せっかく見て取った木々の個性も、遠目では見えません。

 もう一つは、森の中から星空を見上げるのです。木々の枝々からも星の光が見えています。露で濡れた葉々には星の光が漂っています。若木は夜明けを待ちきれないかのように背伸びをしています。老樹は落ち着いて静かに夜明けを待っています。それぞれが星の光の中で、それぞれの夜明けを迎えようとしているわけです。人間たちの知らないところでの静かなドラマの始まりです。その具体的な情景を絵にするという作業も効果的です。一人一人の生徒の心の中に、それぞれの森と星空がイメージできているのですから。しかし今の教室では、そこまでの時間のゆとりがありませんから、頭の中に描くしかありません。何にしても、このような具体的な光景をイメージできるかどうかで、本当に詩の理解ができたかどうかがわかります。勝手に生徒に想像させるのではなく、あくまでも表現に即して、しかも、それでいて奔放に想像させたいものです。

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