22歳処女。いや「女の童貞」と呼んでほしい──
日常の底に潜むうっすらとした悪意を独特の筆致で描く
第21回太宰治賞受作。
解説:松浦理英子

大学卒業を間近に控え、就職も決まり、単位もばっちり。
ある意味、手持ちぶさたな日々を送る主人公ホリガイは、身長175センチ、22歳、処女。
バイトと学校と下宿を行き来し、友人とぐだぐだした日常をすごしている。
そして、ふとした拍子に、そんな日常の裏に潜む「暴力」と「哀しみ」が顔を見せる...。
第21回太宰治賞受賞作にして、芥川賞作家の鮮烈なデビュー作。
この作品を初めて読んだ際の、大きな驚きと喜びを私は忘れることができない。
これほど明確な問題意識と倫理観に貫かれていて、
しかもその表現方法が生硬でもなければ野暮ったくもなくユーモアに満ち、
やわらかな肌触りの下にどくどくと脈打つ血の熱さをも感じさせる小説を読むのは、
随分久しぶりだという気がした。
松浦理英子(解説「魂が潰されないために」より)
芥川賞作家 津村記久子作品、
初にして待望の映画化に
佐久間由衣、奈緒をはじめ、
気鋭の若手俳優たちが挑む
ぐだぐだした彼らの日常はユーモラスに描かれ、
一方、ふとした折に顔を出す社会の闇にも、確かな問題意識と
倫理観を持ってきちんと向き合う。
主人公ホリガイ役に佐久間由衣、イノギ役に奈緒、
さらに小日向星一、笠松将、葵揚、森田想と気鋭の若手俳優たちを、
本作で長編三作目、緻密で力強い演出で定評の
監督吉野竜平が束ねる。
